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16話 夢の世界






⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆





「なんの真似だ!もう、わたしは

イザナミ家とは縁を切っている!

我が主はナデシコ様!

そして、今はツムギ様だ!」


「何を言っているのだ?

クロガネアヤメ。

お前のその鬼の姿は

まさに黄泉の国の家系。

鬼の者の家系。

イザナミ家の者ではないか!

アハハハハハ!!」


アヤメの姿はみるみるうちに

恐ろしい鬼の姿へと変わっていく。


「やめろ!もうお前らとは

やっていかないと誓ったのだ!

それはナデシコ様のご判断!

そしてそれを支えると誓った

我がクロガネ家の名誉と誇り!」


「じゃぁなんだその姿は?

その姿でお前はナデシコの前に立てるのか?

イザナミもアマハラも

お前は全てを裏切るのだ!

この裏切り者の一族め!」


「く!やめろ!」


「裏切り者!」


「裏切り者!」


「裏切り者!」


「裏切り者!」


「アヤぽんは裏切り者なのですわ〜」


「ツムギ様!?そ、そんな……」


「裏切り者のアヤメは嫌いですわ〜!」




うわぁぁぁぁ……!!!






⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆






それは


まさに


奇跡の瞬間――


暗くジメジメしたこの森の中は


魔力を帯びた


動物や植物たちが


人間共を食い散らかす。


まさに魔境の森。


わたしはこの森の主として


魔力を注ぎ続ける身。


わたしは何を目的に


何をしているのか。


多くの長い長い歳月を重ね、


もうそんなことは


気にもしなくなっていました。


ただただ、大樹として


魔力を垂れ流すだけの存在。


考えるだけ無駄なこと。




――そんな時


新たな息吹を森に与える


奇跡の人間に


出逢いました。


暗かった森が


明るく光り輝き


植物も動物も


人間も


手を取り


歌い踊る


そんな奇跡。


神よ。


感謝いたします。


わたしは


このお方と出逢うために


今までの歳月を重ねてきたのだと


信じることができます。


――ああ。


この奇跡に


この出逢いに


奇跡の人とのこれからの未来に


わたしの存在の全てを捧げましょう


愛しています


我が主様――




「あらあら〜いいわよついてこなくて

あなた、ただの樹じゃないの〜」


「しょ、しょんなぁ!?

あるじしゃまぁああ!?

やだやだ

カエデを置いて行かないで〜!!」



うわぁぁぁぁ……!!








⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆






神木?マンドラゴラ?

なんぼのもんよ?

この森の支配者は

あたしなんだからね!


動物も魔物も虫たちも

あたしのキラービー軍隊にひれ伏す。


神木もマンドラゴラも

ほっときゃいいのよ。

植物じゃん。

触らぬなんとかに祟りなしってね!


くくく。


今日もバカな人間、

冒険者があたしの蜂蜜に

惹かれてやって来たわ。


ほら、お前たち、

やっておしまい


――ぎゃぁぁあ――


アハハ!

滑稽だわ!


あたしのキラービー軍隊は最強!


この森の支配者はあたし!


あたしが最強なのよ!


ん?


……何この犬


ん?


……何この鬼


針効かないじゃん?


え!


マジ?


負ける?


あたしが!?


今まで負けたことなんて……


やだやだやだ!


あたし負けたくない〜!


やだぁぁ、ごめんなさい〜!!


「うふふ〜蜂ちゃん可愛いですね〜♡」


……は?か、可愛い?


何この人間?


可愛い?


あたしが?


散々動物も虫も人間も


ぶちころしてきた


このあたしが?


可愛い?


は?


はぁぁぁぁ!?


バカじゃないの!?


リッカ!?


何そのめちゃくちゃ可愛い名前!!


え!?全然嬉しくなんかないしっ!


はぁぁぁぁ?


バカじゃないの!?


バカじゃないの!?


……


そこまで言うなら


仕方ないから


ついていってあげても


……いいわよ



ほんとに!


感謝しなさいよねっ!!


は?


何残念な目で見てるのよ!


そ、そんなんじゃ


ないんだから〜!!







⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆







「お母様っ!お母様っ!」


「おいでツムギ。私の可愛いツムギ」


「お母様!お母様はアマハラではないの?」


「あらどうしたのツムギ?

昔はね、違う苗字だったのですよ?

でも、今はアマハラ。ツムギもアマハラよ」


「一緒!アマハラ!一緒!」


「そうよ私の可愛いツムギ……

さぁ今日は何の絵本を読み聞かせようかしら」


「お母様!ウララのお話がいいですわ!」


「ふふふ。ツムギはほんとウララが大好きね」


「へっちゃらウララですわ〜♪」


「ふふふ。ツムギ。残念ながらもう、

絵本は読んであげられなくなったわ」


「お母様!どうしましたの!?」


「先に逝く母を許して

ごめんねツムギ……」


「お母様!お母様!!」



血を吐き崩れ落ちるナデシコ。


ツムギの声はもう


母には届かない……





うわぁぁぁぁ!!







⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆






「あれ?いつもの施設?

にゃーは旅に出たはずなのに?」


「大人しく芸を覚えろ!パンダめ!」


昔の光景だ。


あの嫌な日々。


仲間たちは


みんな鞭で叩かれ


言うことを聞くだけの


嫌な日々。


「あなたはここに残りますか?

それともわたくしと共に来ますか?」


にゃーの前に現れたこの人間は

にゃーに新しい命をくれた。

にゃーに新しい道をくれた。


感謝。


とても、感謝。


未来には無限に道が広がっている。




――けれど




「お前は誰にゃ?なんで呼吸をしていない!?」


「あらあら〜?」


「にゃーの目を誤魔化せると思うにゃ!」


どごぉぉん!!


マオマオの正拳突きは


この偽物のムギムギを粉々に砕いた。



「なんにゃコレは?」



みんな


みんなは


どこにゃ!?







⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆








――ぁぁ。


いるんだよ。


夢の中で


これは夢だと気づくやつ。


だから


邪魔なんだよ。


あいつら。


呼吸法を使う……





――チャイ国のやつらは――












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