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15話 夢の国


「わんわんっ!わんわんっ!」


ハクは大好きなツムギとかけっこをしている。


「主様っ!大好きだわんっ!」


「うふふ。ハクったら♪」


楽しいな♪


主様♪


ハクの全ては


あなた様のために――


「ハク。ここまでよ。もうあなたとの旅は終わり」


「!?主様っ!?どうしてわんっ!?」


「だって、あなたもう人になっちゃったじゃない」


「そ、そんな!?主様!?

どんな姿になってもハクはあなた様の

家来だわんっ!」


「さようならハク。人と成ったあなたは

どこへでも好きな所へ行きなさい」


「……待って!待ってわんっ!」


離れていくツムギ。


なぜかいくら走っても追いつくことができない。


「アオォーン!!」


ハクの遠吠えは悲しく夜空に響くのでした。











「キャイン!キャイン!」


「むにゃぁ?ふにゃぁ〜どうしましたのハク?」


ツムギのベッドへ潜り込み涙を流すハク。


「あらあら〜怖い夢でも見たのかしら……?」


「くぅぅんくぅぅん……」


もふもふ……なでなで……








インディ国に入国したツムギ一行。


ヤマト国に並ぶ神々の国と呼ばれる

信仰深い国である。


今回、チャイ国に宣戦布告をして

二国は臨戦態勢。


危険は重々承知ですが、

責任を感じたツムギ一行は

インディ国の街で宿を取っていました。


「どうにかしてインディ国のお偉い方と

お話出来ないかしら〜?」


「いやぁ、ムギが間に入ってもさぁ……

トラブルになる嫌な予感しかしないけどね?」


「あらあら〜?

リッカちゃんわたくしだって、

やる時はやりますのよ〜?」


「インディのお城にはうちの子らをすでに

侵入させているけれど、

どうしても細かいことまでは判断できないのよね。

見ることと、人の会話を盗み聞きするのが

あたしの、限界。

なので街人からも話を聞くように

ヴァンパイアにも出てもらってるわ」


今回はアヤメも街で情報を集めている。


「王様はインディ史上最高の王様です」


「我が王マハラジャ・シルバ様こそ

世界の頂点に立つ絶対王である!」


「愚かなチャイ国に制裁を!」


「王様は神の声を聞き、

直接お声を届けることができる

この世で唯一の聖人でございます」


街の声を聞く限り、

インディ国の現王様は

かなりの国民の支持を得ている

圧倒的な君主のようです。


「おかえりアヤぽん〜♪街の声はいかがですか?」


「ええ。現王様は相当な支持を得ていますね」


「周りからどうにかするのは難しそうね」


「そうでございますね。王様が言えば

白いものでも黒と言いかねませんね……」


「鶴の一声ってやつね」


「わんっ!」


「……チラリ」


「にゃー」


なぜかみんなツムギの方を見ている。


「あらあら〜どうしてわたくしを見るのですか?」


「い、いえ!なんでもありませんムギ様……」


「主様に見蕩れているのでございます」


「……わん?」


「自覚ないのね……」


「アハハ!ムギムギ面白いにゃ♪」


うちの"絶対君主"様と

インディ国の王様をぶつけるのは

危険な気しかしませんね。


「しかし、どうも違和感がありますね」


「あたしも何か妙な雰囲気を感じるわ」


「王様を敬愛するのは素晴らしいですが

どうも何か、度が過ぎているような……」


「信仰の神も、不自然なのよね」


「あらあら〜なるほどです〜

インディ国は元々、

ヤマト国と同じく多神教派で、

たくさんの神を信仰していたはずなのですが、

聞いてる限り、一神教のように感じますね?」


「多神教?」


「ええ。ヤマト国でも天之御中主神《アメノミナカヌシノカミ》という

創造神がいるのですが、実際はそれ以外にも

八百万の神と呼ばれる神々が居られます」


「色んな神を崇めている多様性のある信仰ですね」


「対して一神教というのは

神は唯一の一柱のみでそれ以外は

偽りであるという教え。

民の統制を取るのには秀でていまして

強固な信仰性が特徴ですわ」


「へぇ、ムギのくせになんだか博識じゃない♪」


「うふふ〜♪アマハラ家も代々

天之御中主神を信仰しておりますから〜」


「つまりインディ国も、

多神教だったはずなのに

国王がどうも

一神教の匂いがするんですよね」


「ふむふむ」


「で、チャイ国側の主張のひとつに

――インディ国は悪魔に操られている――

というものがあります」


「悪魔!!」


「怖いアル!」


「ええ。このあたりが現インディ国の

違和感の正体ではないかと感じております」


「なるほどでございます……して、

どう動かれるのでございますか?」


「どうしたら仲直りして貰えるかしら〜?」


「国の外交問題などに本来

首を突っ込むものではありませんが……」


「ですけど〜このまま放置するのは

後味が悪いですわ?」


ツムギ様に罪の意識が芽生えている。

これを機に少し暴走を抑えてくれたら

ありがたいのですが……。


「しばらく滞在して

ゆっくり手を考えるしかないわね!

お食事も美味しいからあたしは

問題ないわよ!?」


「うふふ〜♪リッカちゃんったら

インディ国のカレーが気に入ったのね〜?」


「シチューとはまた違う、

このスパイシーさが癖になる〜♪」


「珍しく素直じゃないかリッカ♪」


「クスクス」


「なによぉ〜めんどくさい女みたいに

言わないでよぉ!」


「アハハ♪」





ご飯が美味しいから滞在する。


理屈ではない。


ツムギ一行の判断基準は


面白いかどうか。


楽しいかどうか。


可愛いかどうか。


美味しいかどうか。


ある意味わかりやすい


とても単純な感覚。







さぁ――



そして舞台は


それぞれの


夢の世界へと


誘われて行くのでございます――






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