11話 誘拐
ここは、とある地下アジト。
「以上が、ヨミ様からの指示でございます」
「なんだそりゃぁ!?俺たちゃ暗殺が生業だぜ?
生け捕りなんざできるかよ?俺に依頼した以上
うっかり殺しちまっても文句言うんじゃねぇぞ?」
「お願いしますよ伏雷神様。
貴方様の能力なら可能でございましょう?」
「ち、こっちもデカい作戦の途中なんだ。
よくわからん箱入り娘の相手なぞしてられるか」
「鬼人を連れているらしいのです。
恐らく対抗できるのは貴方様だけかと。」
「別でよほどの報酬が出なきゃ
俺もルーローも動かねぇぞ?」
「ヨミ様の直命でございます」
そこへ
ブクブク太ったイカついヒゲの男が現れる。
「 別件ってなんの事なのネーン!?」
「ルーロー。
鬼人と獣人を連れたヤマト国の姫さんの捕獲だ」
「そんな事してる暇無いのネーン!」
「わかっちゃいるがその姫さんが
ちょうどチャイにいるらしくてな」
「こっちは作戦の最終段階。
チャイ王廷からついに!
【妖精の涙】を奪い取るのネン!
妖精の国は黄金の国と呼ばれる
金銀財宝まみれの伝説の国。
そこへ辿り着く唯一の手段がこの
チャイ国の秘宝【妖精の涙】
小銭稼ぎしてる暇はないのネン!」
「伏雷神様!ドン・ルーロー!
そこをなんとかお願いします……!」
「ヨミに伝えとけ!
テメエもたまには
自分で動きやがれとな!
黄泉醜女か鬼女だかしらねぇが
勘違いしていつまでも
偉そうにふんぞり返ってやがるなら
イザナミとの取引やめてやるのネン!」
「くっ!ドン・ルーロー!
無礼がすぎますぞ!」
「けっ!おい伏雷神。
作戦は明後日なのネン!
準備怠るなよぉ……?」
「どうせ作戦の要は俺なんだ。
お前もあまり調子に乗るなよルーロー?」
「け、仕事に関しては信用してるのネン!
いくぞ野郎ども!」
ザワザワ……
チャイ国の裏でなにやら不穏な動き。
さらにはツムギへ送られるイザナミの刺客。
ツムギ一行の運命やいかに――
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「ぱ!ぱ!パンダちゃぁぁん!!」
「しー!ムギ!あんた声がでかいのよ!!」
道場の裏手に侵入したツムギ一行だったが
パンダの姿が見えたところで
ツムギがヨダレを撒き散らして暴れだしている。
「あたしの針で麻痺させられたら
そのまま拉致して連れていく。
毛が深くて刺さらなければハクに任せるわよ」
どう見てもやってることは動物の誘拐。
「捕獲して名付けさえしてしまえば
パンダはムギ様についてくることになります。
ムギ様、ほんとにこんなこと、
これっきりにしてくださいませ……」
「ぱ、ぱんだぁぁぁ可愛い〜♡」
……ダメだ聞いていない。
見張りの道場門下生は
キラービー軍隊の針を喰らい
気を失っている。
さらに最後尾には
カエデが魔法で結界を張り
侵入に気づかれた瞬間処理に向かう。
うん。
姫様。
……これは悪いことですよ。
「……ムギ。
一匹は寝てる。
一匹は笹食べてる。
もう一匹はなんかウロウロしてるわね?
どれにする?」
「元気なウロウロしてる子がいいですわ♪」
「寝てる大人しいやつにしろよ!」
「ええ〜?だって選べって言いましたから〜」
「ムギ様!待ってください!
あのパンダこちらに気づいています!」
「気づかれてるわんっ」
ウロウロしていたパンダの一匹が
こちらへ向かってのそのそと歩いてきた。
「わたくし行きますわっ!」
パンダと向かい合ったツムギ。
優しく微笑み、パンダを撫でている。
「危険じゃないの?大丈夫?」
「大丈夫です。ムギ様があの微笑みをむけて
動物に襲われたことなど過去一度もございません」
ほどなくパンダはツムギとじゃれあいだした。
「パンダは猫熊と漢字で書きます。
猫はチャイ語でマオだそうですね。
ええ。パンダちゃん。あなたの名前は
【マオマオ】ですわ♪」
光り輝くパンダ。
この場で即擬人化をさせたツムギ。
だんだん擬人化への力が強くなっているのかも?
猫のような、それでいて熊のような、
猫と熊を足して割ってそれを獣人化したような
妙な生き物がそこに誕生した。
「にゃ!にゃ?ふにゃ!?」
自分の姿に驚いているパンダ改め、マオマオ。
「しー、ですわ、マオマオ。
よく聞きなさい。
選ぶのはあなたです。
また元の姿に戻って、
この施設でゆっくり暮らすか、
もしその姿が気に入ったのであれば、
このまま、わたくしについてきなさい」
「にゃにゃ!?」
「もちろん、ついてきますわよね?にぱー♪」
たまにとても、怖い顔しますよね?……ツムギ様。
「ついて行くにゃん!」
「決まりですわね!」
ツムギから目配せの合図が来たのを確認し
全キラービーが飛び立つ。
カエデが結界を解く。
「撤収だ!」
道場の裏にあった国の飼育施設から
パンダを一頭誘拐したツムギ一行。
誘拐?
いいえ。
彼女は一切悪びれずに
こう言うことでしょう。
「マオマオ自身がわたくしに、
ついてくることを望み、選んだのですわよ?」
かくして、
武術の達人である?元パンダの獣人
【マオマオ】が
ツムギ一行の新たな仲間になりましたとさ――




