第五話「結成式」
神殿の大広間には、朝の光が満ちていた。
高い天井に反響するのは、期待と歓声の声。
そのどれもが、未来への期待でできている。
――討伐隊、正式結成。
神官が一歩、前へ出る。
白い法衣を揺らしながら、静かに声を響かせた。
「これより、第三討伐隊の編成を発表する」
場の空気が、少しだけ張り詰める。
選ばれるということは、希望であると同時に、戦場へ送られるということでもある。
「剣士、レオ」
一人目が呼ばれる。
赤髪の少年が、迷いなく前へ出た。
まっすぐな背中。揺れない目。
「魔術師、クロード」
次は、冷えた空気をまとった男。
視線だけが静かに前を見ている。
「僧侶、セレナ」
柔らかな金髪が揺れ、祈るように一礼する。
「重戦士、ディオ」
大柄な男が、落ち着いた足取りで進み出る。
その存在だけで、場の空気が安定する。
「弓使い、ミリーネ」
明るい声がしそうなほど軽やかに、一歩前へ。
手を振る仕草に、わずかに緊張がほどける。
「双剣士、ゼン」
短く息を吐き、乱暴な足取りで前へ出る。
だが、その目は仲間を見ていた。
「召喚士、エイル」
最後に、少し遅れて前へ出る。
周囲を観察するような静かな目。
それぞれが並び立ち、一つの隊として形を作っていく。
神官の視線が、最後に残る一人へ向いた。
「回復術師、ティア」
一歩、前へ。
視線が集まる。
静かに、神官の声が続く。
「以上をもって、第三討伐隊とする」
それだけだった。
誰も特別扱いはしない。
ただ役割として、そこに置かれるだけの存在。
ティアは小さく息を吐く。
前の時も、同じだった。
今度は同じ道は選ばない。
だから今度は――。
視線を上げる。
仲間たちは自然と輪を作り始めていた。
レオが中心に立ち、ゼンが隣で腕を組む。
ミリーネが何か話して笑い、セレナが穏やかにそれを見ている。
ディオはその全体を見守るように立ち、
クロードは少し離れた場所で静かに観察している。
エイルは全員を見渡す位置にいた。
ばらばらなのに、ひとつの形になっていく。
ティアも、その中へ入る。
違うのはただ一つ。
――結末を知っているのは、自分だけだということ。
鐘が鳴る。
澄んだ音が、大広間に広がった。
その音の中で、世界はまた同じように動き出す。




