↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/7

第6話 死神の居場所


あの深き森林の地獄から生還した貴族軍は、自軍を救ったという謎の男、コードネーム『死神』の正体を探ろうと必死の捜索を開始。




だが、どれほど戦場周辺の村々を洗おうとも、経歴、年齢、出自、そのすべてに繋がる手掛かりは一切見当たらず、不明のまま。




そんな中、調査隊のもとへ奇妙なタレコミが舞い込む。




――なんでも、最近近くの城壁の建築現場に、己の筋肉だけで巨大な石材を軽々と運ぶ、とんでもない新入りが入ってきたらしい。




「ソイツだ……!」




調査隊の隊長は直感的に確信し、部下を引き連れて現場へと急行。




そして、彼らは目撃した。




大の大人たちが四人がかりで大梃子を使い、悲鳴をあげながら動かすような巨大な石材を、ただの上腕二頭筋の力だけで無造作に持ち上げ、平然とスタスタ歩いている『異物』の異常さを。




だが、さらに異常なのは周囲の反応だった。




現場監督とおぼしき小汚い男が、これ以上ないほどのホクホク顔でその大男に声をかけていたのだ。




「おーぃ。新入りぃー! その石をそこに置いたら、今夜は美味い酒を飲みに行くぞー!」




その場にいる全員が、目の前の異様な光景に対して完全に平然としている。


連日、その男が起こす超常的な力(筋肉)を見せつけられ、脳のネジが外れて慣れてしまったのであろう。




「おぃ……。間違いない、アイツだろ!」




恐怖に身を震わせる部下が、隊長の袖を引く。




「いや、待て。ただの、めちゃくちゃ筋肉が凄い一般の職人かもしれんだろ?」




「……隊長、それはないです」




冗談はさておき、意を決して声をかけようと貴族軍の調査隊が男に近づこうとした、その時だっ!




「コラァ! 誰だ貴様達! ここは城壁の建築現場だぞ、勝手に入ってくるんじゃねえ!!」




ビクッと、現場監督の鼓膜を破らんばかりの怒鳴り声に驚き、調査隊は足を止めた。


だが、こちらはれっきとした貴族直属の軍隊。


職務を忘れてはいない。




「これは失礼。我々は、貴族中央軍所属の調査隊である。とある戦場で起こった、一合で軍が全滅したという珍事を調査していた所、あの男の筋肉に行き着き、声をかけようと……」




「はー……。お前たちもか……」




調査隊の言葉を聞いた瞬間、現場監督は露骨に顔をしかめ、心底面倒くさそうに吐き捨てた。




「おい、忠告じゃないぞ。やめとけ、関わるな。……下手に近づくと、ソイツ、消えるぞっ!」




監督の目が、真っ直ぐに調査隊を見つめてくる。




それは恐喝の部類ではない。




かつて同じようにあの男をスカウトしようと強引に近づき、次の瞬間には男ごと綺麗に煙のように消え去られ、現場のスケジュールを大崩壊させられた者だけが持つ、憐れみにも似た残念な目。




(あっ。こいつ、前にも同じ事があったから、その後の役所への処理や書類の書き直しが大変なんだよなって顔をしてる……!)




「あっ、あ……あぁ。そうだな、我々は見なかった事にしておく。では、お邪魔した。我々はこれで……!」




生存本能が全力で危険信号を鳴らし、脱兎の如く逃げるように去っていく調査隊。




砂煙をあげて逃げていくその後ろ姿を見送りながら、現場監督は「ヤレヤレだぜ」と、大きくため息を漏らすのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


画面下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にポチッと染めて評価・応援していただけると、次の突貫工事(執筆)のめちゃくちゃ励みになります!


(次回も、楽しみにお待ちください!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。