18.依頼と調査 SIDE咆哮
数ヶ月前、俺たちがカイン王国の王都にいた際に依頼が来た。
曰く、フリーク森林で謎の魔力の変動があった。
が、何も分からないという。
そのため、フリーク森林の深層まで調査できる冒険者を探している。と
この話を俺たちに持ってきたのは冒険者ギルドだが、依頼主はタフ辺境伯らしい。
前金も成功報酬も高く、辺境伯とのコネクションも、手に入る。
大陸の南の方の出身である俺たちはフリーク森林のことは人伝にしか聞いたことがないが、辺境伯の騎士が50人も居れば深層の調査はできるらしい。が、騎士が50人、それも実力者が居なくなるのは困るため、冒険者に依頼が来た。騎士50人で向かえるのであれば俺たちならば楽な仕事だろうと思い快諾。
3週間程かけてタフ辺境伯のいる砦に到着し、挨拶に向かった。
正直この時点で不安はあった。すれ違う騎士一人一人が強者であった。さすがにタイマンで負けはしないが、騎士5人の相手をできるかと言われれば難しいと言わざるを得ない。
他の領地の騎士など10人でも50人でも余裕で相手できる。これほど強い騎士など、他では騎士団長レベルでしか見たことがない。
案内をしてくれている老執事でさえ強いのだ、俺たちはとんでもない所に来てしまったのではないかと思っているうちに辺境伯の執務室につき入室する。
辺境伯がペンを置き顔をこちらに向け目を細める。
「どうやら情報収集はあまりしてこなかったようだね。」
「えっ、」
「依頼主の前でそう不安そうな顔をしないで欲しいものだが、まぁ、特級レベルになるとあまり必要なくなるというのも分かるがね。」
そう言って立ち上がった辺境伯は2m近くの長身に加え、腕も胸もはち切れんばかりに鍛え抜かれていた。
実力としては俺と同等レベル。つまり特級レベルだ。
「まぁ、座りたまえ。」
俺たち全員が座ったタイミングで辺境伯が、話し始める。
「なぜ冒険者に依頼したのか不思議かい?」
「え、えぇ、まぁ。」
「私自身はね特級レベルだしうちの騎士団長も特級レベルなんだが、他は良くて1級上位と言ったところでね、そうすると必要人数が膨れ上がるのだよ。
それに私や騎士団長はさすがに調査には向かうことはできない、あくまでも我々の仕事はフリーク森林から出てくる魔物の驚異から国を守ることだ。
我々が調査に向かっている間に砦が攻められたりしたら指揮を執る人がいなくなってしまう。
ま、領土拡張を名目にすればいいだけの話ではあるが、さすがに何が起こってるか分からない時に砦を留守にする訳にはいかないからね。
我々が冒険者に依頼した理由は分かってくれたかな?」
「はい、理解しました。」
「ならば良い。では依頼の確認だ。
依頼内容は、フリーク森林深層で起きた魔力の変動の原因調査。
君たちが来るまでに新たに分かったことは、中層、それも深層に近い領域まで行くと、さらに奥に何かがいると分かるらしい。
それ相応の実力者ならば行けば分かるとのこと。
依頼達成は恐らく魔力の変動の原因であろうその何かの正体を解明すること。とする。
問題がなければ依頼書にサインをしてくれ。」
俺たちは渡された依頼者を読み問題ないことを確認しサインした。
「何かがいる場所はオルト王国から行った方が近いとの事だ。オルト王国、ガストン王国には手紙を出してある。
返信が来たらオルト王国に向かってもらう予定だ。
それまでは自由に森で狩りをして構わない。
あまり深くまで行かれると困るがね。
あとは自由にしてくれ、執事に部屋まで案内させよう。必要無いものはそこに置いてくれ。」
そう言って、俺たちは執務室を後にした。
その後は森でしばらく狩りをして、フリーク森林が思っていたよりもやばい所だと認識する。
2週間程狩りをしたあとはオルト王国に向かいマイト辺境伯とストロング辺境伯に挨拶をし、また驚かされた。2人とも俺より格上だ。
そして今、フリーク森林の調査をしている。既に深層まで調査は進んでおり、なにかがいることは分かる。
だが遠いような気がする。前よりは近付いた気がするが。
この森の深層にいる魔物は、上級ダンジョン深部のボスレベルだった。しかもそれらがうじゃうじゃいる。
やばいというレベルではない、意味がわからない。
この森に来てレベルも随分と上がった、でもまだまだ少しづつしか進めない。
いつになったらこの依頼を終えられるのか、まだ先は見えない。




