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『仕置俱楽部』-Everybody Justice-  作者: 秋月夜雨
FILE-03『執行、とんでもなく容赦ない美人局を仕置く!』
9/12

【PROCESS-B】調査『シークレット・ピーチの黒幕を暴け!』

シークレット・ピーチの全貌を暴くべく少しずつ少しずつ、ハッカーが暴いていく。

それに対し、スナイパーが潜入の準備をする。


敵が出てきたところを、執行が叩くと。

「さてさて、『ピーチ』の皮を見てみたら、何が出てくるっすかねえ?」


夜の仕置俱楽部のスペースに、鼻歌交じりのハッカーの陽気な声が響く。背後ではスナイパーがストレッチ中、執行はいつものようにプロレスや空手の雑誌を足組んで読んでいた。

「『皮むき』とか、桃の話じゃないよね?」

スナイパーが身体をひねりながら冗談を飛ばすと、ハッカーは笑いながら両手を広げた。

「当然っす。相手は『シークレット・ピーチ』……皮をむき過ぎたら黒い芯が見えてくる……ってわけで、まずは表のHPからっと」

三画面のモニターが一斉にきらめく。


——デートクラブ・シークレット・ピーチ。

上品なフォントで構成されたサイトには、『合法営業・18歳以上・完全個室・スタッフによる徹底管理』なとの文言が並んでいる。


「まーた《限りなく黒に近いグレー》っすねえ。警察に通報しても、風営法の範囲内って言われるやつっすよ」

スナイパーが椅子に腰かける。

「だが、実態は完全アウトだ。少なくとも、依頼者の証言が本当ならな」

執行がプロレス雑誌を閉じる。


「表が無難なら、裏にいくっすよ~」ハッカーが鼻歌交じりにタイピングを続ける。

「まずは彼女——ルナって子のログ検索。店の予約システム、顔認証、チャット履歴……あったあった。これ、最近の客とのやりとりっす」


画面に並ぶ、ルナのメッセージ。

《今日はありがとう。また遊びに来てね♪》

《今度は、もっと特別な時間にしよ?》

「……あれ?」ハッカーの指が止まる。

「全部のメッセージ、末尾に手書き風ハートマークが入ってる。『♡』はなくて、ASCII風の《<3》記号とかっすね」

スナイパーは目を細めて、「その打ち方……作ってる可愛さじゃなくて、誰かに見られている中で無理して書いた感があるな」とつぶやく。

執行は小さくうなずく。

「演技と共生の境目は、そげんとこに出るとよ」

スナイパーが苦笑する。

「で……これが問題のシナリオ型美人局のフローっす。見てくださいよ。顧客誘導からシャワー誘導、窃盗タイムまでが秒単位でテンプレ化されてるっす。暗黙のマニュアルってやつっすね」

「つまり、仕組みは完成してるってことたいね」執行が腕を組む。


「さらにさらに、このIPアドレス、やっぱ裏ではいくつかのアングラ風俗と繋がってるっすね。『風の交差点』『バニラローズ』って店舗名、聞いたことある人も多いっすよ。全部、系列店っすね」

ハッカーの指先は止まらない。画面上に新たな情報が浮かび上がる。


「ほいで……ここが本命。『シークレット・ピーチ』の運営会社——合同会社ミスティア。登記上の代表は石動(いするぎ)善治(ぜんじ)。表の顔はナイトビジネスコンサルタントと書いてあるが、めっちゃ怪しいっすね」


「石動……聞き覚えあるな。確か新宿のパラディオビルの地上げ問題で出てきた名前じゃなかったね?」

執行の記憶が鋭く呼応する。

「ビンゴっす。さらに言えば、複数の名義で口座を分散させてるっすね。表は『コンサル料』『広告支援費』って名目。だけど、裏では『データの収益』と『示談金』で現金を集金。回収はすげてゴロツキ専門の回収人っすよ」

「そげなゴロツキの名簿、あると?」

「もちろんっすとも。『虎沼(とらぬま)』って名前があったっす。身長190センチ、刺青あり、元暴力団。例のホテルで現れる大男ってのがコイツっす」


スナイパーが目を細める。

「……じゃあ、あの子、ルナは?」

「彼女の個人情報、店には存在しないっす。匿名IDで勤務、現金渡しのみの報酬、唯一の連絡先は、店舗スタッフじゃなく、石動本人のLINE直通っす」

「つまり、管理下に置かれとるってことたいね?」執行の声が低くなる。

「未成年かもしれん子を、捕まえとるわけばい。これはひどかねえ」


——緊張が走る。

ハッカーは「これ……店だけじゃなくて、背後の構造ごと、ぶっ壊した方がいいかもしれないっす」と静かに言った。

「どうやって?」とスナイパーが聞く。

「回線逆流攻撃っすよ。アイツらの集金用スマホ、コード決済もネット銀行も全部監視用のバーチャル回線で繋がっているっす。こっちから信号を送り込めば、リアルタイムで違法アクセスログ作って、証拠をまとめて行政ホットラインに匿名通報できるっすね」

「いわば、『毒入り桃缶』を送り返すようなもんっす。見た目は甘くてジューシーでも、中身は猛毒、それに気づかずに開けたら、向こうが大やけどっすよ」


「ばってん、その前に……」執行が一歩前に出る。

「実態を見てくる必要があるんじゃなかね? ルナに会って、確かめんといかんばい」


「……という訳で、オレの出番ってことですね」スナイパーが腕まくりする。

「元新宿でナンバーワンホストが誇るイケメン系客の演技はスナイパーさんに任せましょう!」

「だからあ、それは言うのはやめろって、ハッカー」


「よし、作戦はこうでいくばい。ルナとコンタクトを取って。スナイパーがルナと会う。ルナがホテルに誘ってきたらすんなりと同意し、部屋に入る。スナイパーがシャワーを浴びるフリをしてルナがスナイパーのダミーの財布を取ろうとしたところをワシとハッカーが出てきて詰め寄る……スナイパー、心配せんでよかよ。そこで大男たちが現れたらコテンパンに叩くけんな」


「……本当にお願いしますよ。俺、顔はイケメンかもしれませんが、ケンカはめっぽう弱いんで。本当に早く出てきてくださいよ!」

「分かった。分かったばい!」

執行はスナイパーをなだめる。

「執行さん、この作戦は早速今夜開始っすか?」

ハッカーが問う。

「うんや。準備は今から始めるばい……正義ってのはタイミングが大事やけんね」

「よっしゃ、いよいよっすね。正義のために桃の芯をえぐってくるってことで」

「こっちは、ちゃんと種まで溶かす作戦ばい!」


「じゃ、そろそろ……」執行が指をパチンと鳴らした。

「あ、今回もやるんすね……」とスナイパーとハッカーはため息混じりに。

「そうばい! ようし、今回もビシッといきまっしょい!」


ハッカーは「なんかさ、執行さんのそれを聞くと一気に力抜けるんだよなあ」とツッコミを入れる。

しかし、その掛け声とともに、仕置俱楽部の夜が、再び動き始めた。

次回は、

FILE-03『執行、とんでもなく容赦ない美人局を仕置く!』

【PROCESS-C】仕置「美人局野郎ども、成敗のときばい!」


シークレット・ピーチの行く末、

ルナはどうした?

そして、仕置俱楽部はどう戦ったか……


次回、ご期待ください。

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