ファンタジー·オンライン編
「それでは、僕達は此処で失礼させて頂きます。皆さんのご健闘をお祈り····と、言うのは可笑しいですね。皆さんのご活躍を面白可笑しく視聴させて頂きますよ」
そう告げて、黒衣の少年は姿を消した。
霧が晴れるように静かに、黒衣の少年が消えると、それと同時に世界は時を刻み始める。
陽は落ち、街と花火の喧騒が戻って来る。
「·······」
しかし、プレイヤー達のゲームを始めた頃の活気のような熱は戻って来る事はなかった。
アルトもその一人····とは言っても他のプレイヤー達と比べれば断然軽い方であり、どちらかと言うと、これからの事に冒険心から胸が踊っている状態であった。
十人十色の坩堝の中で一人のプレイヤーが行動を開始する。
そのプレイヤーとは大胆不敵な行動を執った、あの短剣の少年であった。
短剣の少年は噴水の中から捨てられた短剣を回収すると、一人、街の中へと歩を進めて行った。
そんな彼に一人、また一人と付いていくプレイヤーがおり、後は集団心理からか他のプレイヤー達も短剣の少年に付いて行く。おおよそ八割程だろうか? それを見送ったアルトは自身もまた、行動を開始する。
彼らとは別の方向の街の路地へと向かい、ある施設を探す。その施設とは····宿屋である。
此処に来た理由は····〝セーブ〞機能の類いの有無を確認する為だった。




