とある村の奪還作戦 後編
蛮族が占拠する村の解放をします、一部の兵士はオリバーの正体に気が付いているようで.....
「すごいな、とんでもないスピードで飛んでいるのが分かる、今までのパラシュート訓練で空に放り出されたが段違いだ」
「本当にな、あの子は凄い魔法使いなんだろうな、しかもメチャクチャ美人だ」
「手を出すなよ、御屋形様からも厳命されているがそれにいつも隣に立っている人は.....」
「最後まで言わなくていい、髪の色を変えたくらいじゃすぐわかる、一緒に訓練をして同じ釜の飯を食った仲だしな」
「生きていてくれてよかったよ、当然他言無用だ、あの人が幸せであってくれればそれでいい、任務に集中しよう」
ルイは着陸時には壊れると言っていたがやはり言われたとおりに壊れてしまった、でも乗員は全員無事だ。
「大丈夫でしたか?もう少しうまく下ろせれば作戦終了後もそのまま帰還できたのですが」
「大丈夫です、想定済みです、あの乗り物には春までの食糧も乗せてあります、我々は蛮族の坑道の入り口をふさいだ後そのまま監視役として残ります、ご安心を」
「そうでしたね、どうかご無事で、作戦の成功をお祈りしております」
「ありがとうございます、それでは行ってまいります」
乗員の兵士は皆リリィに敬礼をして村に侵入すべく雪原に消えて行った。
「いいね、これからも作戦前はリリィさんに”どうかご無事で、作戦の成功をお祈りしております”って言われてから出撃したいな」
「まったくだ、ハジ、いやあのお方はいい人と結ばれてよかったよ」
そうしてまだ日も上がらない内に全員が集合できた、間諜の指示の元で配置につく。一番槍はオリバーだ、集会所の閂で閉ざされた扉を力まかせにぶち破る、その音を合図に兵は一斉に蛮族を捕縛していく、事前に光る塗料を塗ってあるので特殊な眼鏡をかけていればすぐに敵を制圧する事ができた。
その頃オリバーは.....無言で扉を破壊して中に入る。
(1、2,3、4.....集会所の見張りは報告通り4人か、パニックになっている間に制圧をする!)
一人目は扉をぶち破ったと同時に吹き飛んでそのまま気絶をしている、オリバーはまず人質に一番近い蛮族に向かって行き掴むとそのまま力まかせに他の蛮族に目掛けて投げつける、二人とも悶絶をして動けない、残り一人が斬りかかって来るが盾で受けそのままシールドバッシュで吹き飛ばした、閂付の扉をぶち破るようなシールドバッシュだ、そのまま意識を失ったようだ、これで集会所の制圧は完了する。
蛮族全員を集め間諜はイワオからの手紙を渡してそのまま蛮族を解放した、手紙は「本国から派遣されてきた者以外は我らに忠誠を誓うなら奴隷扱いをせずにこの土地で指定した作物を育てて生活する事を許す」と言う内容だ。これで内部反乱でも起きてくれればと言う魂胆である。
本当は「全員降伏して蛮族の本国に勝手に帰ってもよし」という内容でもよかった、どうせ近いうちに崩壊する国だとわかっているからだ、だが同盟全体で見れば200年以上襲撃され続けたのだ、国民感情がそれを許さない。
蛮族全員が隠し坑道から帰ったのを確認してできる範囲で内部調査をしたが他に坑道は見つからなかった、間違いなくこの坑道が最後の隠し坑道であるとしてリリィを呼び魔法で破壊して道を塞いだ。
村人の点呼を終えてアヤノの兵が残って蛮族が再び襲ってこないか監視をすると言うと村人全員から歓声が上がった。
「それにしてもオリバーさん、とんでもない力持ちですね、入り口がぐちゃぐちゃだ、最初からその予定で材料もグライダーに乗せてきたので春までの応急処置はできますのでこの集会場を兵の宿舎にします」
「そうか、よかった。とりあえずアヤノ兵なら壁と屋根があればどこでも高級ホテルだから大丈夫だろう」
「私は冬の間は天候のいい日は定期的に飛んでくるように言われているから何か欲しい物があったら言ってね」
「とりあえずは酒等の嗜好品ですかね、それと暇つぶし用の卓上競技やトランプとかもあるといいですね」
当然トランプやオセロやチェスや将棋は地球側から持ち込まれて広まった物だ。そんな事を知る者はもう存在しないが。
「追加人員が来ないと北の国に潜伏している蛮族が変に思わないか?その辺はどうするつもりだ?」
「大丈夫ですよ、北の国で捕えた捕虜に尋問したら冬が厳しくなったら追加人員は送れないと言われていると聞きました、複数人が同じことを言っているので大丈夫でしょう。そもそも北の国の真冬で反乱を起こしても凍死するのが落ちですよ、それと私たちが触れられた補給物資には可能な限り遅効性の毒を混ぜました、それどころじゃなくなるでしょう」
「えぐい事するなー、まぁいいか。じゃあ俺たちは帰ろうか。次の任務もあるし」
「確か私が生き延びて王国でメイドをやっているってブゥタの耳に入るようにしておびき寄せるんだよね、最初は顔も見たくないって思ってルイさんには処分はそちらにお任せしますって答えたけどやっぱり積年の恨みは晴らさないとね、楽しみ」
(楽しみ?何をする気なんだ?何でアヤノ家に集まる女性はこうも好戦的な人ばかりなんだ?アヤノの血が強い女性を求めているのだろうか?)
間諜は少し考えたがアヤノはそういう土地柄なんだろうと勝手に判断をして考えるのをやめた。
そして空の旅がはじまる、アヤノ家に帰るのだ。オリバーとリリィの部屋がある冒険者の町ではないのには理由がある。
「いや、本当にすみませんね、お二人で空のデートを楽しみたいでしょうけどこれも御屋形様の命令です、3人乗りで窮屈でしょうが我慢してください」
「親父がいうなら仕方ないな、リリィに触れるなよ、減るから」
「無茶言わないでくださいよ、二人用に三人乗っているのですから我慢してください、大丈夫ですよリリィさんは減ってもお綺麗ですよ」
「あら、ありがと。オリバーも見習ってよね、1日ちょっと会えないくらいでさみしくないって言われて私少し悲しかったの」
「はいはい、ごめん、ごめん」
「あの、密着状態でいちゃつくのやめてもらっていいですか?甘いの苦手なんですよ」
こうして蛮族が占拠する村の解放は成功したのである。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
「楽しみ」
リリィさん、積年の恨みを晴らすのが楽しみだそうです。
「アヤノはそういう土地柄なんだろうと勝手に判断をして考えるのをやめた」
間諜さんの判断は正しいと思います。
次回はブゥタ三男が地獄に叩き落される直前です。最高に最後の冬を楽しんでいる様子をお届けします。
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