閑話 受付嬢は見ている 冒険者の追放劇
この話は他サイトで投稿した物に修正を加えた物です。
定期的に流行るのだろうか?時々こういう光景をギルド内で見かける事になる。
リーダーであるショートシールドと様々な片手武器を扱う男が声を上げる。
「おい、俺達は今後より高難易度のダンジョンに挑戦する事になる、狭い所では役に立たない弓しか使えない弓使いの貴様は首だ!出ていけ」
「まってくれ、たしかに狭いダンジョンでは俺の弓は役に立たない場面が多い、しかし腐ってもソロのランクはカッパーだ、荷物持ちくらいはできるし、ナイフで軽い自衛もできる、何も追放なんてしなくてもいいだろ?2年も一緒にやってきたんだぞ」
「馬鹿か?いきなりダンジョンに入って荷物持ちが必要なほどのアイテムは手に入らない事は調査済みだ、俺らに寄生して収入だけ美味しくいただこうと言う魂胆は丸見えだ!通告する前に皆に意見を聞くか、俺はそんなに心が狭い人間ではない、皆のいう事も大事にする、おい、魔法使いと回復係の僧侶の二人とも意見を言ってくれ」
女魔法使いは意見を述べる
「そうね、リーダーともう一人盾持ちがいれば安定するわね、荷物持ちはダンジョンでの狩りが安定すれば考えればいいかなって思うわ」
女僧侶も意見を述べる
「概ね魔法使いと同じ意見ね、最初はこの町のクエストではお世話になった気もするけど今は火力不足ね、同じ町に滞在するシルバーランクの盾持ちの大男と魔法使いのカップルを誘えばダンジョンもある程度攻略可能ね」
盾持ちの大男と魔法使いのカップルはオリバーとリリィである。
「と、いう事だ、ギルドで確認をとったがこの前やっとお前が抜けてもこのパーティーはシルバーランク認定を受けれるようになった、皆の意見も一致したし再度通告する、お前は追放だ!ここから出ていけ!、それとお前の装備と金は俺達のクエストの報奨金で買ったものだ全部おいて行け、換金して俺たちの装備の足しにする」
「そんな、そんな事されたら俺はロクなクエストも受けられずに小作人になるしかなくなるじゃないか!横暴だ!」
その瞬間に弓使いの顔に鉄拳がさく裂する。
「この程度の攻撃も避けれないお前なんかどの道やっていけねーよ、今日にでも冒険者登録を抹消して小作人にでもなりな」
「くっ、いきなり仲間が攻撃して来るなんて思うわけ無いだろ」
「だからもう仲間じゃねーっていってんだろ?わからねーのか、早く身ぐるみ全部おいて行けよ、俺にも慈悲はあるから服はいいぜ?」
リーダー格の男は品の悪い笑い顔をしている。
「ストップです、今のは看過できませんね、ギルド内と言うかどこであろうと、正当防衛以外の一方的な暴力は犯罪ですよ?」
ギルドの受付おじさんである。
「なんだジジイ!お前には用はないだろすっこんでろ!」
リーダー格は受付おじさんに殴りかかるがいつのまにか後ろに回られ腕に関節技を決められて動けなくなっている。
「何だ?このじじい!いてーじゃないか!おい魔法で何とかしろ!」
魔法使いも僧侶も声が出せないでいる、基本的に冒険者になる魔法使いは学院の落ちこぼれ、一定の詠唱を行えないと魔法が出せない。
「投げ針ですよ、喉に麻痺毒を塗布した針を刺しました、2~3分は詠唱できないでしょうね、おじさんと言いますが私はまだ30歳の.......元ゴールドランクの斥候です。シルバーなりたてのひよっ子に遅れは取りません、今日の受付嬢さんはユリさんですか、すみませんが1年以上本契約を結んだパーティーの脱退時の契約書で今回に該当する事項を読んでいただけませんか」
「はい、まず1年以上経過したパーティーから脱退する時には基本的に2パターンの事由があります、自己都合脱退かパーティー都合脱退です。今回の事例はギルド内で起きていてギルド職員も多数目撃しております、まず間違いなくパーティー都合脱退となります。しかも悪質です。シルバーランクになるまでの間に手に入れた弓使いさんの装備を強奪しようとしました、これは立派な業務上横領ですね、規約では本契約を締結したパーティーで使用するギルドから購入した一定金額以下の個人の装備はパーティー都合脱退時には正式に脱退者の個人装備になります。それとギルドが悪質なパーティー都合脱退、いわゆる一方的な追放の場合は適正な退職金を渡す必要があると契約書に書いてあります。2年前のあなた達のサインもありますよ、当然、弓使いさんの装備のギルドでの購入履歴もあります、すべて一定金額以下です」
「ユリさんありがとうございます、付け加えるなら、パーティー事情での解雇なら申請して1週間後には一定期間失業保険がでます、依頼達成時に税金としてギルドに一定額を支払っていますのでこれは権利です。それと追放した側ですが今回は悪質です、横領未遂に一方的な契約破棄、そして一方的な暴力、これはブラックリストに乗せざるを得ない、色々とペナルティーがあります、基本的にはギルドからの人材の斡旋は無くなると思ってください、他にも色々ありますが後で書類を渡します、字が読めないならこちらで音読しますよ、よかったですね、ギルド内で追放劇をして、誰もいないところでやって不当な追放認定を食らえば永久除名でしたよ」
うなだれる追放した3人組を見ながらとある男性二人組が語り合う。
「よかったな、俺達は仮契約時にあの女達の本性を見れてパーティー解散ができて」
「まったくだ、本パーティー契約を結んでいたらと思っていたらぞっとする」
「とりあえずあの弓使いが困ってるようなら誘ってみようぜ、鹿とかウサギとかうまくいけば猪もいけるかもだぜ」
「期待はするなよ、俺達はアイアンであの弓使いはカッパーだ、すぐにでも他の格上パーティーに声がかかるか動物くらいならソロで倒せるさ」
「ま、カッパー様だしな、そりゃそうか、しかし2年も苦楽を共にした仲間なのにどうしてあんなひどい事ができるのかね?同じ釜の飯を食った仲間だろうに」
「さぁな、アホの考える事がわからん、きっと母親から人の嫌がる事をしたらいけませんよって習わなかったのだろう」
「まちがいねぇな、俺は孤児院育ちだが意地悪をやったら院長に1時間の説教コースと床の雑巾がけコースをくらったぜ」
当たり前のようにギルド公認バカップルのオリバーとリリィからはパーティー加入を断られる。
冒険者は命がけの仕事だ、契約失敗は許されても一方的な契約破棄は許されない。あの3人組はダンジョンの近くの街なら仲間が見つかると豪語して旅立った、その後の3人の行方は誰も知らない。
「急に強くなると傲慢になる人っているよね、あのパーティーはつい最近まで討伐数ナンバーワンは弓使いの彼だったって記録にあるのに、お宝の輝きを目の前にすると目が眩むのかしらね?」
受付嬢のユリは独り言を言う。
ダンジョン、それは運がいいと1時間潜ると1か月は遊んで暮らせるほどの儲けが出ると噂をされるハイリスクハイリターンな場所なのである。その分準備を怠ると即死なわけだが。
途中から出てきた二人組は前回出てきた二人組です。植物採取が得意な人たちです。
次は本編ですよー
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