マルコからの報告 ブゥタ三男の悪事が暴かれる時
久しぶりの事務方と現場のトップ会談です。
「いや、よかったよイワオが自宅の方にいてくれて。戦場だったら報告が遅れる所だった」
今回はいつもの王都の居酒屋ではなくアヤノ家での話し合いとなる。
「すまんな急いで帰って来たが2時間ほど待たせたようだ、お前が急用と言うからにはそれなりの事なんだろ?」
「その事なんだがブゥタの別荘に入れておいたスパイがほぼすべての証拠を見つけてくれた、やはりあいつはただのアホだよ、別荘は隙だらけだったそうだ、それと胸糞悪い話もある、リリィさんも少し関係する」
マルコの眼光が鋭くなる。
(マルコの奴本気で怒ってるな、あの顔の後はいつも誰かやらかした役人が最低でも左遷されている、よほどのことだな)
「正直どれから話せばいいかわからんのだが、とりあえずブゥタ家の三男が管理している港は3つあったその3つに分散して蛮族兵が500~1000人が潜伏している、今も増え続けているそうだ。目標は冬が終わり次第にショーベリ領への侵攻だそうだ、蛮族の将軍と三男の連盟での覚書が見つかった」
「ショーベリ領の北部では蛮族の進行が続いているからな、狙いやすいのだろう。もしショーベリ領すべてを陥落させれば隠し坑道からなるべく多くの兵士を輸送してワシが手を出せない北の国に新たな拠点を作ろうと思っているのか、だとしたらもうあの城塞都市はもう崩壊寸前なのかもしれんな」
「ブゥタの三男はショーベリ家の当主と息子は殺して奥方を生きて渡せと要求していたよ、それとショーベリ家を落とせたら蛮族側の幹部にしてもらうとも書いてあった、完全な裏切り行為だ」
「はぁ、もう何と言うか呆れてしまうわ、娘がダメなら母親をか、年齢的には釣り合うが女好きにしても鬼畜すぎるだろう、リリィ嬢と会ったがヘレナの若い頃と似ていてかなりの美人だ、母親も相当美人なんだろうな、以前北の国のパーティーでヘレナにも粉をかけていたからそういう趣味なんだろう」
「細かいのから言うと金などの密輸から賄賂を受け取って便宜を図ったりと細かい犯罪も多いが最悪なのは子供の奴隷販売だ、前にも言ったが孤児院と結託してかき集めているようだ、販売先はたくさんあるから後でリストを渡そう、一度ハジメ君達が拠点としてる町の高位冒険者でマーガレットと言う女性が訴えを起こしたが裁判所に訴えが届く前に握りつぶした形跡があった、近いうちにそのマーガレットという女性に事情を誰かに聞きに行かせるよ」
マルコはため息をつき次々とブゥタ三男の犯罪歴を述べていく。
「同盟諸国への裏切り、利敵行為、子供の拉致と奴隷販売、細かい犯罪は数えきれないほどだ、何回首を落とせばいいかもうわからんよ、それで困った事にあいつは北の国が保有する比較的暖かい地方の別荘地にいて我々は手が出せない事だ、北の国に証拠を渡して裁いてもらってもいいが向こうの役人がどれくらい賄賂を受け取っているかわからん、最悪死んだ事にされて逃げられる可能性もある」
「あのアホの親はまともだから話を通せば何とかならんのか?流石に切るだろ?」
「刺の冠って組織を覚えているか?頭の悪い貴族の次男より下が所属している反社組織だ、王国の人間が何度もブゥタの親に会っていると察知したらすぐに三男に連絡が行って雲隠れするだろうさ、正直王国の内部にもあいつらの手は入り込んでいると見ていい、もう誰が敵で誰が味方かわからない状況だ」
「そうか、そこまで深刻か.....ん?それだけ情報が回るのが早いのならいい事を思いついたぞ、聞いてくれ」
「イワオのいい事にいい思い出は少ないが前はうまくいった、聞こう」
「リリィ嬢が死んだふりをして王国内の貴族のメイドをしていると情報を流すのはどうだ?それで何かパーティーをでっち上げてブゥタ家にも招待状を送る、ブゥタの当主は忙しくて来れない、長男は父親の補佐で忙しいし次男は真面目にブゥタの領地の騎士隊をまとめていると聞く、あいつはリリィ嬢にかなり熱を上げていたと聞いた、母親まで欲するほどだ。来そうじゃないか?」
「王国内で捕えれば王国内で裁けるか、実際港から王国内の蛮族に物資が横流しされているしこっちで処刑しても文句は言わせない、結構イワオにしてはいい案だな」
「ワシのいい案は常にいい案だろ?」
「学生時代から数えると9割くらい酷い目にあった気もするけどな」
「だが、奴を処するのは北の国に潜伏している蛮族をどうにかしてからだな、逮捕を発表するのもその後がいい、あの男が捕まったと知れば潜伏している蛮族が散ってしまってゲリラ化でもしたら面倒だ、理想はショーベリ領に向けて行軍している時に強襲してなるべく多くを始末する事だな」
イワオは戦の事になるととても頭が切れる男なのだ。
「運がいい事にあの男はよほど寒いのが苦手なのか夏まで別荘地に滞在して管理している港に帰らない、それまでに隠し坑道を潰してショーベリ領の蛮族を片付ければいい」
「その流れで行くか、隠し坑道のある村の人質は集会場に監禁されている事がわかった、それなら解放は何とかなる、蛮族の城塞都市まで連れていかれていたら面倒だったがもう捕虜に食わす飯も無いのだろう、あの村には商人や冒険者に化けさせたうちの兵もすでに潜伏しているしルイの開発したグライダーでハジメ達にも空から強襲させよう、ルイの開発した物だと15~20人は運べるらしい、使い捨てだがな、先ほど帰って来たリリィ嬢の報告だと村に潜伏している蛮族は20名程度と聞いている、大丈夫だろう、運のいい事にリリィ嬢は今夜は我が家で休んでいる、さっそくで悪いが明日の朝にリリィ嬢に頼んで作戦書を持たせて1回行ってもらう、往復数時間というところか」
(なにそれ?空の移動手段とかあるの?あの村まで一番近い砦から歩いて3日はかかるはずなのに往復数時間で行き来できるのか?私が渡した風の魔石の力なのか?しかもリリィ嬢一人なら使い捨てじゃなくて何度も使えるような言い方だな、情報戦でも強くなったらもう戦ではイワオを止められる者はいないだろうな)
ルイが開発した遠距離通信装置をみたらマルコは多分卒倒するであろう、あの通信機は希少な材料を使う上に巨大なのでそうおいそれとは作れないし運べないのだが量産に成功すれば革命が起きる、イワオはこの技術は極秘として外に出すつもりは今のところはない。
「順番としては村を解放してからリリィ嬢でブゥタ三男を釣って逮捕だな、そして春一番に北の国に潜伏している蛮族を殲滅する、今度の派兵は文句をいわさんぞ、何せ北の国の大貴族の息子が同盟諸国を裏切っていたのだからな、逆に慰謝料を取りたいくらいだ、その辺はマルコよ任せたぞ」
「重大な同盟違反だ、何とでもしてみせるさ」
その後細かい調整を話し合い夜はふけていく。
次の話はまたしてもオリバーとリリィが動きます。
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