春の訪れ 久しぶりのリリィとのクエスト
オリバー君も男の子と言うわけではない、純粋に異世界系小説に憧れて自然と美人受付嬢に話しかけています。彼の中の冒険者は小説基準なのです。なんせオリバー君のオリバー君は絶賛ストライキ中である。
冬が終わりに近づいている、と言ってもまだかなり寒い。温度はまだマイナスだ。リリィ先生の話だとこの温度計も異世界転生者が持ち込んだ物とのことだ。中の液体は毒だから絶対に触るなと平民でも知っている、便利だがたまに危険な発明品を残すよな。
この時期から春にかけて特別なクエストがあると聞いてギルドにやってきた、真冬の間もたまに来ているのだが、来ると絶対に併設の酒場で無駄遣いしてリリィと二人で後悔するのだ。
リリィは隠しているが多分結構下位の元貴族だ。俺もそうだがそこそこ舌が肥えている。ここに来ると思わずチーズと赤ワインを頼んでしまう。
冬の間は平民と貴族の食べ物はそうは変わらないのだが嗜好品とまで行くと違いが出て来る。少なくとも、お、やってるやってる。と安酒場に入る感覚でチーズと赤ワインを買う物好きはそうそういない。
さて物語の主人公はギルドでは常に美人の受付に行くのだが、野郎どもが考える事は一緒のようだ、順番が出来ている。リリィが「いやね、男って女性がからむと理性が無くなるのかしら?」と並ぼうとする俺に言ってくる。ちょっと怒った美人は綺麗だがこういう時のリリィは少し怖い。おっさんの受付に行こう。
「お、オリバーさんじゃないか、久しぶりだね。向こうに行かなくてもいいのかい?おっさんとしゃべっても面白くないだろ?」
「久しぶりって事も無いでしょ、向こうは混んでいる。この時期限定のカッパー以上が受けられるって噂のクエストを受けたい」
「そうだな、リリィさんと一緒の時は3回に1回はこっち来てくれるもんな」
嫌だな、まるで一人で来たときは美人受付嬢のところにしか行かないような言い方しないでよ、リリィさんもへぇ、そうなんだ・・・って怖い顔しているよ。
「あー、あのクエストね、周辺で採れる植物なんだけどなるべく森の奥地の方が大振りで美味しいのが採れるんだ、一定の大きさの物を10個で銀貨1枚で買い取ってるよ」
植物採取と聞いて俺とリリィが苦い顔をする、過去にニラとスイセンを間違えて食してひどい目にあった。
「あの、私たち植物の知識が無いの、申し訳ないけど今回はパスさせてもらいます」
「んー、その辺はそっちの自由だし別に構わないけど、野草に関してはタンポポとフキノトウは他の植物と間違える奴はいないぞ、その辺の子供でも小遣い稼ぎに安全圏で採取するくらいだしな」
「なんだ、フキノトウか、それなら俺でも間違えないな。子供の頃からこの時期になったらよく実家のにw・・・いや近くの山で採っていたよ」
(お前の家の庭どんだけ広いんだよ、まだ貴族感覚抜けて無いな。まぁ面倒ごとさえ起こさなければここではある程度見ないふりはするけどな)
「そのフキノトウってそんなにわかりやすいの?大丈夫?私もう素人の採ったニラは食べないって心に決めてるくらい野草は怖いのだけど」
「大丈夫だよ、おじさんも言ってるけどタンポポ並みにわかりやすい植物だし、リリィも2~3回採ればベテランになれるよ、天ぷらとかフキノトウ味噌にしたり油煮とかパスタにトウガラシとニンニクと一緒和えてもうまいんだ」
(天ぷら、油煮って、庶民がそんな簡単に大量に油を使う料理を家庭料理みたいにして食べれないって、もう誰か突っ込めよ、まぁ藪をつついて蛇が出てきたら嫌だし触れないけど)
おじさん受付が表情を無にして心の中で突っ込む中クエスト受注は終了した。
「森の深い所でいい物が採れるからランク指定なのね、今から行くと泊まりになるけどどうする?」
「初めてのクエストだしな、冬季野営くんれん・・・いや、冬季野営の経験はあるから大丈夫だけど念のため明日の朝一に出発してその日のうちに帰れるようにしよう、とりあえず今日は明日の準備と万が一のために野営できるように買い出しもしておこう」
「そうね、オリバーって見た目のわりに結構慎重派よね」
「見た目って・・・リリィは美人で慎重派っぽいけど勢いで行動するよね、野営時にスープにニラ入れましょってその辺に自生しているスイセン入れて来るし」
「うるさいっ、もう忘れたわ」
雑談をしながら二人で明日の準備の為に街中の専門店を巡るのであった。
まさかオリバーのこの慎重な行動が功を奏するなんてこの時は二人とも想像もできなかった。
オリバーは身長190センチ、体重100キロ近い筋骨隆々としたマッチョマンである。デブではない。
リリィは銀髪のロングヘアーですこし釣り目の美女、身長173センチ、体重55キロほどである。作者がググったファッションモデルな体形だ。
天ぷら、フキノトウ味噌、油煮、ペペロンチーノ・・・基本的な調味料や料理法は地球出身者の異世界転移者が残しています。なので様々な国の調理法が混ざり合い成立されています。




