表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/118

北の国でのクエスト

 今回は北の国の港町での潜入捜査になります。

 オリバーとリリィは現在北の国のとある港町に住んでいる。経緯はアヤノ家からのクエストである、アヤノ家軍需物資横領事件とジパン航行用の新造魔導船のクエストを成功に導いた新進気鋭のシルバーランクの二人組への指名依頼と言う形だ。表向きはロッシ家とアヤノ家の合弁会社が開発をした新型魔導船の廉価版を北の国に販売をする前のテストをするスタッフという名目だ。


 リリィが魔導船の動力炉に魔力を込める役割でオリバーはリリィの護衛と言う形とし、当然その魔導船のテストの責任者はアヤノ家の間諜である。


 「いや、まさかまた機関長という役割を与えられてお二人とお仕事をする事になるとは思いませんでしたよ」


 「今回は大丈夫なんだろうな?北の国の貴族がリリィにちょっかいをかけてくるなんて事はないよな?」


 「安心してください、スタッフはほぼ私の部下です、北の国の人間も何人か乗っていますが今回の真の目的を共有している仲間です、ご安心を」


 真の目的とはここの港の管理官が買収をされていて王国のアヤノ領にある最後の城塞都市に物資の補給を行っている証拠をつかむ事である。可能であればリリィが空から、陸からはアヤノ家の隠密部隊が怪しい動きをする者の後をつけて城塞都市につながる隠し坑道を見つけたいのだ。


 そのために様々な準備をした、その一つにリリィの新装備である。どこからか手に入れた風の魔族の魔核を利用した短杖である。これを使えばリリィは空からより安全に目立たずに着地できるようになる。無詠唱で強い風を発生させられるのでゆっくりと降りる事ができるのだ。


 それともう一つはグライダーである、異世界転生系小説にクラフト系のギフトを与えられた主人公が作った物をルイが再現したのである。これと先ほどの風の杖を併用すればリリィは尋常ではない長距離飛行が可能になった、試験では馬車で1か月かかったアヤノ領からの冒険者の町まで距離を数時間で往復ができるほどの性能を見せた。


 仮にグライダーは壊れたとしてもリリィは単独で飛べる上に万が一のパラシュートまで用意されている、そして最後はジパンで異世界転生者からもらった守りの護符、これだけあれば安全だとオリバー達は判断した。


 形だけの試験が終わるとジパンでもらった翻訳の護符を使い、オリバーとリリィ組と間諜とその部下のペアで酒場や飲食店や食料品店を巡る。


 蛮族が同盟諸国を最初に侵略をしてからもう200年以上経過している、混血も進んで見た目だけでは現地人とはそう変わらない者も多い、そして蛮族側も用心して広大な国土を持つ蛮族国内でもマイナーな言語で会話をしていると思われる。まさか同盟諸国側が翻訳の護符なんてチートアイテムを持っているとも知らずに油断をして何かヒントになる事を話していないか虱潰しに調査をしている。


 以前ジパンへ派遣された外交官は北の国である、北の国の人間も翻訳の護符を持ち一緒に調査をしている。


 「凄く寒いな、北の国の寒さは想像以上だ、どうやらここがギリギリ海が凍らない港と聞いたけど港が凍るって初めて知ったよ、同盟諸国も広いんだな」


 「そうだよー、ここはまだ海だからマシ、ショーベリ領は山だしね。冬はもう何もできなくなっちゃうの」


 「この寒さのおかげで口元を布で覆えるのが救いだな、リリィがナンパされる確率が減る」


 「自分で言うのも恥ずかしいけどこの時期は顔を布で隠せるから毎年少し気が楽だったなー」


 こうしてバカップルがどんな時でもいちゃつくのをやめないまま何の情報を得られず一か月が過ぎた。しかし意外な所から情報が入る。


 北の国の協力者が港を歩いていたら偶然聞きなれない言葉を聞いて、急いで港湾荷役作業員を調べた結果、仕事中に謎の言語を使う人間を数人見つける事ができた、怪しい港湾荷役作業員が「下ろせ」とか「上げろ」とか簡単な指示のみ蛮族語を使用していたので気が付くのが遅れたようだ。


 怪しい人間さえ見つければ後はプロの仕事である、間諜が調べ上げた結果彼らは物資を港から馬車鉄道を乗り継いで1週間ほどかかる暖かい場所の荷物集積所に送る事が判明した。


 「馬車鉄道を使うのはありがたいですね、定期運航なので後をつけるのが楽です、なんなら偽装した我々の荷物を乗せて見張り役として私と部下もその馬車に乗りましょう。申し訳ないですがオリバーさんとリリィさんはグライダーを使って先回りをしておいてください、魔導船の試験は終了した事にして冒険者の町に帰る手続きはこちらでやっておきます」


 オリバー達は間諜のいう事を聞いて指示された丘から二人乗りのグライダーで空を飛んでいる。


 「まさか俺の好きな小説に出てくるように自由に空が飛べる日が来るなんて思わなかった、しかもリリィと二人きりだ。天気が良ければ最高なのにな」


 「そうね、いつか平和な時が来たら空のデートもしてみたい。お義父様の許可があればショーベリ領にも頻繁に帰れそう」


 「そうだな、そうなればリリィの家族も喜んでくれるな」


 「それにしてもジパンでもらったこの守りの護符は凄いね、風圧からも守ってくれるから安定して飛べる」


 「まったく、あの時ハッタリが効いて戦わずに済んでよかったよ、なんでコウタがあんなに弱いか知らないけど基本的に異世界人は強すぎるんだよ、こっちの人間じゃ歯が立たない」


 「この任務でもし蛮族への荷物の横流しが発覚したらあのブゥタの三男もおしまいなのよね?」


 「親父はそう言っていた、同盟に対する反逆行為だ、適切な処罰をしないならそれを理由に王国はブゥタ領を攻め落とすって親父は交渉の席で言うってさ、ブゥタの息子はゴミだけど親はまともらしい、きっと処刑になるよ」


 「そう、これで私は安心してリンネア・ショーベリに戻れるのね、そしてオリバーと結婚するの」


 「あぁ、複雑だけどそうなるといいな、リリィと結婚できるのは嬉しいけど同盟諸国の貴族が蛮族側に寝返っていたら正直ショックだよ、アヤノ家は100年にわたって蛮族と戦い続けていたのにまさか味方が後ろから撃っていたなんてね」


 「でも状況的にほぼ間違いないわ、王国の死んでいった兵士や同盟諸国で犠牲になった民間人の事を考えると許せない」

 

 こうして馬車鉄道で1週間かかる距離を二人はグライダーを使い数時間で到着する事ができた。目立たない場所で降りて集積所近くの宿で荷物待ちをする商人に扮して過ごすことになる。


 1週間後に予定通り荷物は到着した。蛮族の荷物と思われる箱には間諜が隙をついて印をつけたようだ、ルイが中心となって開発をした塗料で特殊なサングラスや望遠鏡で見ると光る塗料である。


 この集積所まで南下すると、かろうじて雪はあるが馬車は使えるレベルだ、蛮族の荷物を積んだ馬車にも間諜と部下がばれないように特殊塗料を塗る事に成功した。後は陸と空から追跡をするだけだ。もしかしたら隠し坑道まで発見できるかもしれない。


 ここからは空と地上からの尾行が始まった。特殊塗料のおかげで遠く離れて望遠鏡で見張るのは楽であった、複数の馬車が様々な道を使い王国に向かうがすべての特殊塗料を塗った馬車だけは王国内にあるどこにでもある普通の村に入っていく。


 間諜が商人のふりをして村の老婆をとらえて尋問したら驚きの真実が発覚した。蛮族はこの村の集会所の中に隠し坑道の入り口を作り村人の女子供の大半を人質に取り情報が外に漏れるのを防いでいたようだ、しかも混血して同盟諸国の人間と見分けのつかない人間も村内に配置して密告に走る者がいないか監視もしている。


 老婆には人質は必ず救出する事を約束して今まで通りの生活をするように指示をして村に帰した。


 「まさか、王国の村内に隠し坑道の出入り口があるとは思いませんでした、これではどれだけ探しても見つからないわけだ、塗料を塗った馬車はすべてここに来ました、ここが最後の隠し坑道と見て間違いないでしょう、リリィさんグライダーで御屋形様に報告をお願いします。申し訳ないですが急ぎです、重量を軽くするためにお一人でお願いします。我々は商人のふりをしてこの村と北の国の集積所を見張っています」


 「じゃあ俺はここに残っているよ、親父に報告したら俺の事を拾いに来てほしい」


 「お疲れ様でした、この書状をギルドに渡せば報奨金が出ます、時が来たらまたお知らせに参ります、御屋形様は冬の間にブゥタの件は片づけると言っていました、あのアホは寒いのが嫌だと言って暖かい地方にいます、決戦は春以降になりますね、あの男はよほど寒いのが嫌なのか、毎年夏近くになるまで港には帰らないようなので逮捕をしても情報封鎖さえすれば蛮族にはばれないでしょう」



 オリバー達が港を見張って蛮族の隠し坑道の入り口を発見する間にマルコがブゥタの三男の別荘に潜入させたスパイのメイドから驚きの情報を持ち帰りイワオと話し合いをする事になる。次話はマルコとイワオの話し合いでブゥタの三男の悪事がすべて暴かれる事になる。

 考えた時はこんな便利な品になるとは思わなかったよ翻訳と防御の護符、やっぱりチート持ちの異世界転生者は凄いのである。だってほとんどの転生物の主人公って強いしね。異世界転生者は強いのです。



 ブゥタの犯罪の全容とイワオとマルコの会談が気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ