閑話 よくある聖女追放ものをやってみたら最強組織に拾われた件、私は最強組織で素敵な彼氏と幸せになります。
この話はアルファポリスで公開した話にちょっと手を加えたお話です。
これはどこかの国のお話、現在この国の王子によりパーティー会場で断罪が行われようとしている。時期は不明だ。
「よもやこの私をたばかっていたとは思わなかったぞ!聖女、いや魔女よ!」
声を荒げるのは年齢は20にも満たない金髪碧眼の端正な顔立ちをした男性である、格好からしてかなりの身分である事が伺える。
「王子様、私は魔女などではございません、現にこうして範囲治癒術を.....」
答えるのは10代中頃の少女である、茶髪と言うよりも綺麗なミルクティーベージュの髪色を持つ可憐な少女だ。
「自分の体の周りを少し光らせるくらいなら魔法を多少扱える程度の者なら誰でもできるわ!貴様はただ光っていただけで本当に治癒術を行使していたのはお前付のメイドであるこの者である事は調べがついている!」
そのメイドと呼ばれた女性は王子と呼ばれた男の後ろに体を半分だけ隠してうつ向いている。たかがメイドが王子の近くそれも背後に立ったうえで腕を掴んでいる、普通はあり得ない事だ。
「王子様、ごめんなさい、私あの女の義父に実家が脅されていて言う事を聞くしかなかったのです、本当はあの女が光っている間に私が治癒術で怪我人の治療を行っておりました」
「そうか、それはさぞつらかったな、あの魔女の義父は先日病で亡くなった、天罰が下ったようだな!」
(義父が亡くなったこのタイミングで....そう、あのメイドは簡単な治癒術くらいは使える、元平民の私は用済みなのね)
その後、断罪劇は聖女と呼ばれた少女の意見を一切聞かずに終わりを告げようとしていた。王子は最後に少女にこう告げた。
「大体、お前のような下賤な生まれの平民を嫁にするなんて最初から嫌だったのだ、私は真実の愛を見つけた、真の聖女であるこの者と婚約を結ぶ事をここに宣言する!」
後ろで王子の腕を持つ女性の肩を抱き王子は宣言をする。
「王子、お待ちください、これは王は知っての事で?」
「何だ?大臣、私のいう事が信じられないとでも?」
「そうは言いません、ただこの娘は王が抜擢した娘、収監、ましてや死刑にしようものなら王の名に傷がつきます」
「そうか、そうだな。では国外追放としよう、ただ国外追放にしたのでは野垂れ死ぬだろうな。私は寛大だ、この魔女を国外まで護衛する者が手を上げるのなら連れて行くのを許可しよう」
「恐れながら王子様、その役目この私が引き受けます!」
聖女と呼ばれた少女と似た年齢の少年の発言だった。
「ん?兵士ですらない?見習いの....普段なら発言は許されないがまぁいい、よかったな魔女よ、見習いと言えど護衛が付いたぞ、もしかしたら魔物がいる森を抜け国外に行けるかもな、護衛はつけたのだ、例え二人が死のうとも後は知らん、好きにしろ!絶縁状にはもうサイン済だ、大臣から受け取れ」
城を出て少年と少女は会話をする。
「俺の名前はケンさ、よろしくな」
「私はマリーです。すみません、私なんかのために命がけの旅を強いてしまって」
「いや、気にしないでくれ、俺は平民の三男さ、運よく選抜を抜けたけどよくて一生門番だよ、せっかく鍛えたのだから近いうちに冒険者になろうと思ってたのさ、森を一人で超えるのはきつい、でも聖女様がいてくれれば大丈夫さ」
「私の事を信じてくれるのですか?魔女と呼ばれたのですよ?」
「信じるさ、俺はもう国を捨てるんだ、言ってもいいだろう、あの王子はアホ王子だよ、偉い人は平民、ましてや貧民街なんか行きたがらずに俺のような下っ端に行かすのさ、そこであなたの奇跡は嫌と言うほど見てきました、あなたほどの力があればすぐにゴールド以上のパーティーの人に誘われるさ、俺は地道にアイアンからやっていくよ」
そうして二人は森の奥に消えて、数週間かけてとある冒険者の町にたどり着き冒険者ギルドの門を叩くことになる。
受付嬢のユリはまた心の中でため息をつく。
(あーあ、どう見ても訳ありカップルよねぇ、男の子の方が兵隊さんではなさそう、平民あがりの衛兵って所?女の子の方は何かやばそう、オーラが違う、受付嬢歴の長い私のセンサーがビンビンだわ、とりあえず適正試験ね)
しばらくしてギルド内に悲鳴が上がる、ユリである。
「誰か!オリバーさんかリリィさん、できれば二人ともつれてきて!私の手に負えない!」
こうして呼び出されたオリバー達二人である。
「ねぇユリさん、わざわざ大事な用事でしか使わない2階の会議室を押さえてどうしたの?」
「この案件はどうみても貴族がらみなの、これを見て。あの女の子の適正結果」
治癒術5、魔力放出5となっている。
「適性5なんて初めてみたわよ、絶対貴族か何かよ、魔力放出って何?知らない?因みに男の子の方も剣3と短剣4あったわ、かなりの強者、見た目でごまかしているけど絶対護衛よ」
「とりあえず話を聞いてみないとわからないな、なぁ治癒術5って言うのはとんでもないのは分かるけど魔力放出って何だ?リリィわかるか?」
「何となくわかるけど本人に聞いた方が早いわ」
話を振られた少女は返答に困っている「治癒術は得意なんですけど....と言い淀んでいる」
「ねぇ、その治癒術もしかして範囲で使えるでしょ?しかも一定範囲内なら効果の減衰も無く」
「はい、その通りです、今までたくさんのけが人や病人がいるところばかりに行っていました」
「オリバー間違いないわ、この子多分聖女様よ、学院で習ったの普通治癒術は一人にしかかけられないけど稀に大勢の人を一斉に治癒する事ができる存在がいるって、女性なら聖女、男性なら聖者とよばれるわ、まさか正体が治癒術と魔力放出の合わせ技だとは思わなかったわ」
その後二人が国を追われた経緯を聞く事になる。
「ユリさん、二人を明後日までギルドで飯付きで預かってくれ、お金は俺が出す。出身国が捨てたんだ、いい働き場所を紹介できる」
二日後オリバーとリリィの部屋に間諜が定期連絡のために訪れる。そこでオリバーはある提案をする。
「ほう、治癒5の範囲治癒術使いですか、しかも国から王子の名の元で追放済と、しかも丁寧に絶縁状までつけて、これはいいですねぇ、きっと御屋形様もお喜びになる。けが人が一気に戦線復帰ができますからね、是非お会いしたい」
「もう手配済みだ、ここに連れて来るようにリリィにお願いをした、もう来るさ」
すぐにリリィが二人を連れてきた。機関長はアヤノ領での傷病兵の治癒の仕事を提案する。
「それでその男の子は?」
「私の護衛です、私のために仕事も家族も捨てて付いてきてくれました。アヤノ領での仕事は喜んで引き受けます、ですが彼もいっしょにお願いします。あの時城内は全員が敵でした、彼一人だけが私の味方でいてくれたのです、もう一人だと心細くて、お願いします彼と一緒に働かせてください!」
「因みに剣3、短剣4の素質持ちだってさ、アヤノで鍛えればかなりの強者になるはずだぞ」
「御屋形様の判断次第ですが聖女となれば信用できる護衛も必要ですね、連れて行きましょう」
「ちょっと話が飛び過ぎて意味がわからないんだけどアヤノってあのアヤノ様だよな?蛮族も恐れおののく」
「そのアヤノですよ、君にはアヤノの兵になる訓練がありますが乗り越えられれば立派な兵士です、オリバーさんが強者になると断言する以上活躍次第では準貴族も現実味がありますよ」
「俺が.....準貴族.....?」
「アヤノでは人柄も見ますが実力主義です、蛮族掃討の最終作戦目前です、活躍の場はあるかと」
「ねぇ、少年、国も家族も捨てて来たんでしょ?理由があるの見え見え、はっきり言ってあげなさい、彼女も自覚は無さそうだけどあなたの言葉を待ってるわよ、男を見せなさいよ、ほら男ども!ちょっと外の空気吸いに行くわよ!」
リリィが先導して3人は外に出て行った。
「え、あ、そ、そうだな、初めて護衛をしてからいつの間にか目を離せなくて....いや、好きになっていました!必ずアヤノで出世します!結婚してください!」
「え?いきなり結婚、普通お付き合いからって思ってたけど。私もあのお城で泣きそうだった時に救ってもらってからあなたに夢中です、私でよければ是非お願いします」
話がまとまり、オリバーの推薦状を持ち冒険者の町から二人はアヤノ領に旅立った、少年が誤算だったのは聖女である少女の活躍が目覚ましく先に準貴族になってしまった事くらいである、しかし時々間諜の報告から二人が仲睦まじく過ごしていると聞いている。
その後少女を追い出した国の王が外遊先から帰ってきて国外追放をした王子を廃嫡したとの報道が新聞の隅に乗っていた、捜索隊も冒険者の町に来たが、「アヤノ領で雇用されている、窓口はアヤノ家までと言うとすごすごと帰るしかなかったようだった。
受付嬢ユリは新聞を読みながら思う。
(結婚とか婚約って契約の一種だものね、一方的に破るような王様に誰がついていくとか考えないのかな?)
評判がいいなら彼らにも活躍させようかなと思っています。
次話はルイの新技術でオリバーとリリィが空を舞います
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