居酒屋での密談
マルコとイワオと意外な人間の三者会談。
「マルコよ、来たぞ、邪魔させてもらう」
以前紹介してもらった王国の首都に店を構えるマルコの息がかかった居酒屋の離れ、防音対策もばっちりで話を聞かれる心配もない、王都でこんな秘密基地が堂々と作れるほど王国は人材と人手不足なのである。
流石のイワオも固まって声が出ない、何せマルコが連れているのは第2王子、バリバリの王族派なのである、王側にこの秘密基地がばれるだけで大変なことになる。
しかし、イワオはすぐに正気に戻る。
(あのマルコが何も考えずに第2王子を迎い入れるわけが無いか)
「すまない、あまりにも予想外の顔ぶれに驚いた」
「いえ、アヤノ3位驚くのも無理はありません、私が無理を言って連れて来てもらった、当然誰にも言わない」
(マルコめ、悪だくみでもしているな、巻き込まれるのはごめんだぞ、ワシは蛮族で手いっぱいだ)
「イワオ、珍しく固まってるな、くつろいでくれ、今日はそんなに深い話はしない。第2王子に現状を把握してほしいだけだ」
「最近、やっと父を説得で来てね、このままだとロッシ3位が倒れます、私にサポートをって言い続け今はロッシ3位のカバン持ちです」
「王子、ここでは3位はいらない、呼び捨てで構わないよ、私たちも学院の同級生だ、二人だとマルコ、イワオと呼び合う仲だ」
「本当によかった、お二人の仲が良くて、一時険悪になった時は国が亡びるかと思いました」
「ワシは城内の政治に詳しくないがそんなにか?」
「はい、父の側近はもうダメですね、なんとか父はコウタの子が何かしらの強い力をもって生まれて私を王にして王権の復活を望みながら時間稼ぎをしているようですが、もうダメです。そんな運任せな国家運営の時点で終わりです」
「まぁ王子、今日はその話は無しだ、蛮族を追い払ってからの話だからな」
「ワシは前も言ったが国を二分するような事が無い限りマルコの指示の通りに動こう」
「それより、イワオに頼みがある、単刀直入に言うとブゥタの三男が管理する港が三つあるのだがこの港にオリバー君たちを派遣してほしい」
「何故だ?何故、オリバーを?そして何故ここに?」
「オリバー君達を派遣する理由はまず一つ、ジパンでいい物をもらったそうじゃないか、翻訳の護符だったか、これで蛮族の言葉が解読できるだろう?それとももう一つはここが我が国から一番遠く、そしてブゥタの三男が管理する港で一番小さい、調査によるとあの男は異常に臆病だ、狡猾や慎重じゃない、臆病なんだ、私の感で申し訳ないが臆病者なら目立たないここを使うと思う、そして蛮族は油断している、我らがあいつらの言語を理解できるわけが無いと思い込んでいる、国家が広大過ぎて同じ国でも多数の言語が入り混じっていてこっちでは全く使われてない蛮族の国ですらマイナーな言語を話しているみたいなんだ」
「そこで翻訳の護符か、しかしお前も調査しているからわかるだろ?オリバーの恋人はブゥタの倅に追いかけまわされていたのだぞ?見つかると面倒だ」
「そこがあの男の分からないところだ、こんな大それたことをしておいて寒いのは嫌だと行って冬は暖かい地方の別荘に引っ込むんんだ、何ならもう港は部下にまかせていないぞ」
「何と言うかアホの行動は読めなくて逆に怖いな、いきなり帰ってこないだろうな?」
「そこは大丈夫、あのアホの別荘地の管理人に数人ロッシ家の使用人を混ぜておいた、三男の別荘の管理者までは目が届かないようで簡単だったぞ、親のブゥタ3位は仕事ができる人間だ、仕事ができ過ぎて実務から離してもらえないようだが」
「それでバカ息子が同盟を割るような事や非人道的な事をしていてはどうしようもないな」
ここで第2王子が声を上げる
「残念ながら我が国の貴族の次男、三男も一枚噛んでいる。元より長男のスペアだ性格が曲がる者もいるのだろう、私も元はスペアだったからなほんの少しだけ気持ちは理解できるが許しがたい、一部の次男以降の貴族の集まりがいつの間にか非合法な商売に手を染めてマフィア化したみたいだ。名を「刺の冠」というらしい」
「長男が勝者のシンボルとして贈られる月桂冠に対して自分たちは刺の冠を押し付けられるとでもいいたいのか?卑屈な奴らですね」
「世間知らずにもほどがある、次男以降といえど貴族の家に生まれたからには衣食住には困らずに最低限の教育を受けられる上にちゃんと鍛えていれば騎士隊に入れる道もある、庶民は下手したら長男次男関係なしに6歳ごろから働いているのだぞ」
「私にもアホの考える事は分かりかねる、アホだから非合法な事に手を出すのだろうな、正直今回の事でブゥタの三男を逮捕してもトカゲのしっぽ切りだろうな」
「そこは残念ながら、私の代で決着をつけるしかないと思っている、今は目の前の蛮族の対処を、そうすれば.....」
(第2王子め、王国から蛮族が消えたら動く気か?まぁいいマルコは動くなと言っていた、政治と言う盤面ではマルコに従っているのが正解だ、あいつは戦場に関してはワシに任してくれるようにな)
「それでイワオ、申し訳ないのだがリリィ嬢の力も借りたい、調査によれば破格の力だな」
「お前のその調査力なんなんだ?本当に怖いのだが」
「こっちが搦め手を使わないとお前は盤面を力技でひっくり返すから仕方ないだろ、お前の力は反則だ、こっちも少しは反則をさせろ、それでこの箱に入っているのは何とか手に入れた風の魔族の魔核だ、分かっていると思うが触るなよ、魔族の魔核は最初に触った者の魔力と同調する、これをリリィさんに使ってもらいたい」
「ふむ、読めてきたわ、要はリリィ嬢に空から尾行してもらって着地時にその風の魔核を使って安全に降りてもらうわけだな」
飛行魔法は飛ぶだけなら比較的簡単だ、長時間飛べるのは魔力量お化けのリリィくらいだが着陸に難点がある、着地と同時に落下のスピードを相殺する魔法詠唱を終わらせないと最悪落下死をする、なのでルイは対蛮族攻略戦用に空から狙撃するリリィを安全に下ろすために異世界転生系小説に出てきたパラシュートの開発を成功させた。
要はこの純度の高い風の魔核を改造して無詠唱で自由に着地をできる杖を作ってリリィに使用させたいようだ。
「ルイに聞いてみるが、この前作った杖と似たような構造になるだろうし大丈夫だろう、オリバーがそんな危険な任務には反対しそうだが」
「王国の蛮族を何とかしないとショーベリ領の蛮族には手を出せない、そうだろ?そういえばリリィさんは自主的にでも手伝ってくれるさ」
「マルコ、お前....あいつの嫁なんだぞ?分かっているのか?雑に扱うのは許さんぞ」
「冬の空に紛れてのあくまで尾行だ、2~3回途中まで尾行したら後はアヤノの精鋭である程度の場所は絞れるだろ?最後まで尾行しろなんて言わない」
(我々、王族の取り巻きのアホ貴族もこのくらい緊迫感のある会議をしてくれればいいものを)
「とにかく、リリィ嬢の了承をもらいその貰った魔石で満足いく品が作れたらの話でいいか?最悪ハジメとうちの間諜に港で情報収集もさせる」
「ああ、すまんな、頼む、うちももう動かせる人員がギリギリなんだ、荒事は任せるよ」
「話はそれだけか?ワシはもう戦場に戻らないといけない、先に失礼する」
「わかった、オリバー君達を配置が完了したら連絡をくれ」
イワオは返事だけをして帰って行った。
「王子、イワオの印象はどうでしたか?」
「聞いていた話と全く違うな、王城の側近は野蛮人だの王国に所属しているだけの蛮族だの好き放題言っている、早く何とかしないと今はいいが蛮族が消えた後が怖い」
「そうですね、しかしあいつらアホなおかげで王子の計画は進みますよ、裏でですがサポートはします」
「頼むぞ、我が国が数百年後も残れるようにしないといけない」
ロッシと第2王子の会談は深夜にまで及ぶ。
次回はギルド経由で北の国の田舎の港の警備と言う名目のクエストが謎の手紙と同時にオリバーたちに届きます。
次からは主人公目線です、とうとうブゥタの三男の最後の日のカウントダウンが始まります。
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