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久しぶりの家族の対面、そして再びの別れ

 久しぶりの冒険回?と見せかけたリリィさんドS回です。

 王国内アヤノ領の小さな農機具小屋に扮した建物の地下でアヤノ一家は久しぶりの対面を果たす。


 ルイがオリバーに抱き着いて10分以上離れなかったり、ヘレナがオリバーが好物であるミートパイを持参して美味しそうに食べるオリバーを見てそっと泣いたり、イワオは持参した酒をオリバーと一緒に飲み交わしたり、ヘレナがリリィと二人きりで話もした。そうして家族団らんの時を過ごして夜になりイワオが今後の事で口を開く。


 「すまんな、予定に少し遅れが出ている」


 先日のショーベリ領への蛮族の急襲はまだ蛮族が隠し坑道を持っていてそこから脱出しての急襲だった可能性が高く、それの捜索に時間がかかる事、蛮族がショーベリ領を急襲するにあたって北の国のどこかの港を使いそこの港の管理官が買収されている可能性の調査、ルイが開発している新型投石機の完成が遅れている事、色々と問題が今になって噴出している、その点を踏まえてイワオが二人に謝罪をする。


 「すまんが二人は元の板拠点に戻って冒険者稼業でも続けて身を潜めておいて欲しい、特にオリバーは王国内でうろうろしていて知り合いにみつかると面倒だ、書類上は死亡扱いだしな」


 そう言われ二人は納得をして久しぶりに冒険者の町に帰還する事になる。


 まずはギルドに行き今回の長期クエストの報告と報奨金の受取をして、ロックに挨拶をしに行くと、見知らぬ、とは言わないが意外な女性がいた、ダンジョン街で少しだけ会話をした修道服を着た女性だ、ロックの紹介だとダンジョン街滞在最終日にオリバー達がデートをしている際にお話をする関係となりこうやって時々修道服の女性、マーガレットがロックを訪ねて来るらしい。


 ロックにも春が来たのか?と思うオリバーだったがあえて口に出さずジパン土産のお茶セット(緑茶、ほうじ茶、玄米茶)を置いてその場を立ち去る事にした。


 その後帰宅した際に家政婦として雇っている、お婆さんにロックに渡した土産と同じものと普段世話になっている感謝も込めてジバン製の万能包丁もプレゼントをした、数か月帰ってこなかったことにかなり心配したようでおばあさんはリリィの手を握って無事に帰ってきてよかったと涙を流して喜んでくれた。リリィは家政婦のおばあさんにとっては手料理を美味しいと笑顔で食べてくれる孫みたいなものなのだろう。


 数日休憩をしてギルドに顔を出す、もう冬が近いとは言えギリギリ秋だ。クエストはある。イワオからコウタと戦うなら常にある程度戦う感覚を失わないために適度にクエストと基本的な剣の素振りを忘れるなと言われているのでクエストを受注しにきたのである、リリィが受付でクエストの受注を受けている際に事件は起きる。


 しばらくギルドに顔を出していなかったので新人冒険者が増えている、その中の女性を中心としたパーティーが以前からオリバーが善意で寄付をしているクエスト上で危険な位置を記した地図を片手に質問をしてきた。それだけでは問題は無かったのだが彼女たちは新人であるためにオリバーと言うシルバー冒険者が無償で地図を提供する金回りのいい強者だとは知っていたがリリィの存在を知らなかったのである。


 冬前に越冬のためにお金もいる、そしてこんないつ死ぬかわからない稼業から一刻も早く抜け出すには女性ならではの裏ワザがある、高位冒険者の男性と深い仲になり援助をしてもらう事である。


 彼女たちはあからさまにオリバーにモーションをかけて来る、しかしオリバー元高位貴族だ、言い寄って来る女性をスルーする方法に長けている。のらりくらりと女性のアプローチをかわしている時に聞きなれた声が聞こえる。


 「風よ.....圧縮し....」


 リリィの風魔法を応用した空気を圧縮してからの爆音魔法だ、オリバーは咄嗟に止める。


 「リリィ!ギルド内でそれはダメだ!やめろ!」


 「あら?オリバーったら若い子に言い寄られて鼻の下伸ばしているから私ちょっと悲しいの、そうよね、年の離れた私より若い子の方がいいよね、私あまりの悲しさにちょっと暴れたい気分、そこのお嬢さん達、訓練してあげるから訓練場にいらっしゃい、見た所まだアイアンじゃない、訓練は大切よ?弱いと死んじゃうものね」


 「リリィ、落ち着いてくれ。彼女たちは文字が読めないようだ、最低限の地図の読み方を教えていた、それだけだよ。俺がリリィ以外の女性になびく事は......」


 「訓練、受けて立つわよ。その代わり勝ったら冬が終わるまでオリバーさんを貸してもらうわ。私たちも冬を前にお金貯めないとまずいのよ(借りている間にオリバーさんと既成事実を作ればこっちのものよ!)」


 彼女たちは知らない、リリィは普段はシルバーのタグを服の下にかくしている事を、ただ単に年上の女が若いオリバーを誑かして甘い汁を吸っているものだと思っていた。アイアンと言えどオリバー達が数か月間いない間に様々なクエストを成功して調子に乗っていたのだろう。


 オリバーはギリギリでリリィに手加減を....と言いかけたが聞こえたかどうかは知らない。彼女らは訓練場に消えて行った。オリバーはリリィ達を追って訓練場に入ろうとしたがギルドの受付おじさんに止められる。


 「ああなったら、納得するまでやるしかないです、下手にオリバーさんが仲裁してもリリィさんの怒りが爆発するだけです、リリィさんもきっと手加減してくれますよ.....多分」


 多分じゃ困るのだが受付おじさん、正体はギルド長なのだが彼の長年の感に頼る事にした。


 訓練場の中では女性3人組がリリィに対峙している。


 「あなた、あの人に寄生して美味しい思いしているんでしょ?私たちは積極的に訓練をして強くなった、痛い目に合わないうち帰ったら?あなた美人だから他にも行先あるでしょ?たくさんの男の人の人気者になれる場所があるわよ」


 「ねぇ、あなたたちはまだアイアンだから見逃したけどもう訓練場に入ってあなたはもう木剣を抜いているし後ろの魔法使いは詠唱を開始しているようね?私、もう攻撃していいのかしら?」


 「何を言っているの?訓練場に入ったら訓練開始に決まってるでしょ?もう遅い、魔法をぶつけてやりな!」


 女性パーティーの子の詠唱が終わったようだ、石礫の魔法がリリィに襲い掛かる、しかしリリィは動かない。


 「やったか!?」


 「直撃だった、何か言ってたけど私たちの勝ちね」


 土煙の中リリィの声が聞こえる。


 「ねぇ、少なくとも私は2回あなた達を殺せることができた、臨戦態勢で訓練場に入った時と、訓練場で長々とあなた達がしゃべってる間」


 「へ?直撃したはず」


 アイアンの魔法使いが話している途中で大きな破裂音がする。リリィが得意な詠唱時間が短くて大きな音を出すだけの魔法だ。


 女性パーティーが突然の破裂音で混乱と耳鳴りで体制を崩している間にリリィは服の下に隠していた冒険者タグを取りだして見せびらかす。


 「シルバーランクくらいの魔法使いになると戦いの前にある程度準備しておくの、あなた達がちゃべちゃべとしゃべっている間に防御魔法を展開したわ、あなた達程度の魔法なら十分防げる、これがレッスン1ね、常に準備をする事、レッスン2は戦いの場でペチャクチャしゃべる暇があるならとっとと攻撃する事、レッスン3は....」


 「待って、あなたもシルバーなんて知らなかった、知ってたらこんな....」


 こんな事をしていなかったと言う前にリリィがそれを遮り話し続ける」


 「レッスン3は逃げ足ね、手加減するけど当たったら火傷するかもね?」


 リリィはアヤノ家からもらった試作品魔法発射杖を掲げて白い光線をゆっくりとアイアンの女性パーティーに照射していく。


 「ほら、しっかり逃げなさい、大丈夫よ、威力はすっごく弱めてあるから当たっても肌が火傷するくらい、私は低級治癒魔法が使えるからお金を払えば治療してあげるわ、ほら頑張って逃げろよ!泥棒猫が!!人の男に手を出そうとしてタダで済むと思うなよ!」


 急にリリィが激昂しはじめて、低ランク冒険者の必死な鬼ごっこが開始された。


 その後リリィの光線から必死に逃げる事10分、ずっと泣いて謝りながら許しを懇願し続けた結果、リリィの気は収まったのか光線による追いかけっこは終了した。


 「流石に、泥棒猫さんなだけあって逃げ足は早かったね、それでね私はもうちょっと力を込めると簡単にこれくらいの威力の魔法が使えるわ」


 リリィは杖を構えて訓練場の的に向かって先ほどとは威力が段違いの光線を放って見せた。


 「最後のレッスンね、行動する前に情報収集はしっかりする事、オリバーに手を出す前にちょっと聞けば私がシルバーの冒険者だって簡単に知れたわよ?あなた達に怪我をさせたらオリバーが悲しい顔をするの、だから今回は見逃してあげる、次は無いから」


 リリィは黙って訓練場を後にした。


 「ただいま、オリバー、やっぱり先輩として後輩に冒険者としての心得を教えるのは必要ね、こうやって時々はギルドに顔を出して私たちの事をみんなに知ってもらうのは大切だわ」


 「なぁ、リリィ、怪我とかさせてないよね?」


 「あれ?オリバー、模擬戦だよ?私の心配してくれないの?私ちょっと悲しいの、憂さ晴らしに暴れたい気分になっちゃう」


 (どこをどう心配しろって言うんだ?ピンピンしてるじゃねーか)


 「ごめん、リリィ、怪我はないのは知ってるよ、その今日はリリィのしたい事に全力で付き合うのでおお許しを頂けると嬉しいです....」


 「ふーん、じゃあ久しぶりにショッピングね、それと晩御飯は美味しい物食べたい」


 「はい、喜んで奢らさせていただきます」


 こうやってギルドの晩秋は過ぎ去っていく。


 こうやってバカップルがいちゃついている間にアヤノ家とロッシ家では調査が進んでいる。隠し坑道はまだ見つからないが蛮族に物資を横流しをしている港がだんだんと絞られて行く、次回はアヤノ家が北の国で浅はかな考えで暗躍する貴族を追い詰めていくお話になります。

 ロックがお話していた修道服を着ているおねえさんのマーガレット。彼女の事を詳しく知りたかったら、下にあるアルファポリスさんの直リンクから飛ぶか下記のURLをから【番外編】目に入った女を探してください、前後編があります。


 アルファポリスURL

 https://www.alphapolis.co.jp/novel/296775484/259062949


裏で動くアヤノ家とロッシ家の暗躍が気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!

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