あれからのオリビア、アンテロとの出会い
オリビアの回復期です、ハジメに対してどう思うのか?アンテロ君の第一印象は?
私はどうかしていたのだと思う。ハジメは私が望む事なら何でもしてくれる、そう錯覚していた。現実には婚約していた時は何でもしてくれていたので勘違いが加速してしまったのだろう。結局私は彼の優しさに甘えていただけなのだ、だからあのギフト持ちの”心の隙を突く権能”にいいように操られてしまった。
今さら言っても遅いがあの男とお話をしていただけで懸想なんて一切していなかった。ハジメと結婚すれば一生のほとんどを一緒に過ごすのだから残り数か月の学生の間だけ知らない外国の話を聞きたかった、それだけだった。
最近になってハジメが生きていると知ることができた、あの時の事を謝ればハジメは許してくれる、思わずそう思ってしまった。今思えば恥知らずな事を言った。実はアヤノ家の隠し子だったことにしてもう一度ハジメが使っている偽名のオリバーと婚約をしなおすとかどこか適当な下位貴族の養子にしてもらって婚約をしなおしてもらうととか......
本当に恥知らずだ。あれだけの事やっておいて、多分学院初だろう、婚約者がいる女が休み時間をすべて使って人目も憚らずにカフェテリアで他の男と二人きりで会話を楽しむなんてふしだらな事は。
もうハジメには他国の下位貴族に婿に行く話まで進んでいると聞いた、そして新しい婚約の話、最初は凄く怒りが湧いた、なんでハジメは簡単に他の女と関係を持てるのだ?私はあの日から毎日泣いていたのに、あの10年の婚約期間はなんだったのかと。
しばらくして少し落ち着いて母と父にその話をしたら「お前は会って数日の男に夢中になって寸暇も惜しまず大勢の人の前で会話をしていたじゃないか」その時に聞いたあの男の”心の隙を突く権能”は話を聞く気が無ければ発動もしない、話しかけらたその日にでも親に相談していればあの男は私の前に二度と現れる事は無かったのだ、そもそも海外の事を知りたければ父に聞けばいい、外交だってしているんだしあの男よりもっと専門的な事を教えてくれたに違いなかった。
少し冷静になった時に気が付いた、新しく婚約をしたハジメに怒りは沸いたが嫉妬はしなかった、その婚約者と戦ってまでもハジメを取り返そうなんて思いもしなかった、ハジメは戦ってでも私を取り返そうとしたのに。
その時気が付いたのだ、私は婚約者と言う役をしていただけでハジメを心から愛していなかったのだと、だから心に隙ができたのだと、母から教えられた。好きな人がいるのにしつこく他の男から話しかけられたらまずは嫌悪感を抱いてすぐに助けを呼ぶものだと。今になってその通りだと思う。
ただもしハジメに会えるとしたら今までの事を心から謝罪をしたい。人生を狂わせてごめんなさい、傲慢な女でごめんなさいと。
ある程度考えがまとまったら私は貴族の女であることを思い出した、人様のお金で生活しているのだ、領民や国民にそれを還元しなければならない義務がある、ハジメの事はいったん忘れて義務を果たそうと前に紹介された自領に開発前の鉱山が眠るとされる下位貴族とのお見合いをすることにした。
私たちが結婚をしてロッシ家が鉱山に投資をすれば数年で利益が出るとの事、そうすれば国庫が潤い、そのお金で国民の生活を豊かにできる、そう言い聞かせてお見合いに臨んだ。
貴族のほとんどが恋愛結婚なんてしない、お見合い結婚をして徐々に愛や情を育むのが普通だ。私もそうしようと思った。しかし相手の男が想像以上に下品な男で我慢ができずに席を離れた。
「婚約者もいたのに人目も憚らずに他の男に色目を使っていたんだろ?俺も見てたぜ、あれだけ仲良かったんだ、行くところまでもう行ったんだろ?どうせ脛に傷があるお前を嫁にもらってくれるいい条件の家は無いんだ、今夜にもでも俺の部屋に来い」
と言うところで父がドアを蹴破りその男を殴打して帰宅した。
その後に相手から詫び状が届いたと聞いたが受け取り拒否をしてそのまま没交渉となった、父は本気で相手を潰すと言っていた。父の力は知っている、アヤノ家とは違った力だ。父の盤面の上で戦えばあのアヤノ家ですら痛い目を見る、武力とはまた違う権力と言う力だ。
国内では私は悪い意味で有名になりすぎて父が北の国の田舎に別荘を用意してくれ、その地で療養をしている事になっている。ただ父が何も考えずにこの地に別荘を建てるわけは無かった、何度も心の専門医と面談をして両親とも話をした、弟のマッテオがアヤノ家に婿に行くことになり週3回通っているそうだ、きっと針の筵に立たされてつらい目にあっているはず。
ここでその原因を作った私が我が儘をいってはマッテオに顔を合わすこともできない。もう落ち着いているので前みたいな下品な男じゃなければ年の差も気にしないので貴族令嬢の務めを果たすと誓った。
だいぶ後になるがマッテオはルイに惚れこんでしまい喜んでアヤノ家に通っていると聞いてオリビアはマッテオの心臓に凄い太い毛でも生えているのだろうか?と思い少し複雑な思いをする事になる。
お見合いの話が届いた、下品な男じゃなければ年の差なんてと思っていたら余りの内容に思わず「は?」と声が出てしまった。年の差はあるけどまさか6歳も年下だなんて思いもしなかった。20近く年上の男性を紹介されると思っていたからだ。
そして今日実際にアンテロ・ショーネリに会ってみた、絵姿では見ていたがビックリするほどの美少年だ。蛮族に領を攻められていると聞いている、それのせいか両親は少し疲れているように見える。それでもかなりの美形夫婦だ、そういう血筋なのだろう。基本的な挨拶は済ませてお決まりの後は若い者同士での流れだ。私は思わずアンテロ君に聞いてしまった。
「私のような脛に傷がある年上の女でいいのですか?聞いた話だと蛮族も近くに討伐される予定なのだからあなたなら同級生の女の子と仲良くできると思うのですが?」
「いえ、こちらこそこんな下級貴族でよいのでしょうか?オリビアさんのようなお綺麗な人と婚約をさせてもらえるならとても光栄です」
顔が真っ赤だ、きっとアンテロ君の両親はロッシ家の支援が欲しいからこういう風に言えと指示を出したのだろう、13歳の男の子が異性をこんなにストレートに褒めるなんてできるわけが無い、少なくとも私が13の時は恥ずかしくてそんな事はできなかった、それだけこの子は必死なんだろう、まだ少年と言っていい年齢なのにもう貴族の務めを果たそうと考えている。
とても綺麗な顔立ちをしている。きっと学院ではもてもてだと思う、こんなに綺麗な男の子を見るのは私だって初めてだ、触ると溶けてしまいそうなほど儚げな美少年だ。普通の貴族家に生まれていれば女の子は選び放題だっただろうに、かわいそうに私みたいな女と結婚させられようとしてる。
アンテロ君は緊張しているのか表情がたくさん変わる、喉が渇くのだろうか水をたくさん飲む。私は先輩風を吹かせてこちらから質問をぶつけてみて色々な事が分かった、父親の為に立派な騎士になり早く家の助けになりたい、訓練の為に勉強がおろそかになりがちだと。
私は勉強だけは得意だった、勉強を教えましょうか?と提案したら恥ずかしそうにもしよろしければ週2回でもいいですか?と聞いてくる。きっと両親からそう言えと言われたのだろう。
どうせ私は暇だ、この子の両親のために毎日でもいいよと答えたら、週5で通います!と食い気味に答えられた。よほどロッシ家の支援が必要なのだろう、でもこれが本来の貴族の姿なのだろう、好きでもない年上女の家に通ってでも領を豊かにすると言う気概、私になかったものだ。
せめてアンテロ君の心意気に答える為に本気で勉強を教えよう、そして父には仮にアンテロ君が他の女性に惚れたとしても許してやって欲しい、最低限の支援はしてあげてと頼もう。
その事を父に言ってみると
「その必要はないんじゃないかな?オリビアは真摯に勉強を教えながらゆっくり雑談をすればいいよ、今に慣れてきてアンテロ君も少しは話せるようになるさ、懐かしいね。私にもあんな頃があったよ」
「そうね、あなたも最初はアンテロ君みたいな感じだったわ、少し懐かしいわね」
と、両親はよく分からない事を言っているが全力で勉強を教える事には変わりはない。母は微笑んでいるだけであった。大人同士の話し合いもうまくいったのだろう。せめて私は好かれなくても嫌われないようにしようと心に誓った。
次回はアンテロ目線のお話です。
感のいい読者は気が付いていますよね?作者が思いつく限りの角砂糖を大量投入する予定でございます。
この後ハジメと親戚なると知って驚くオリビアやオリバーを傷つけた年上女のオリビアにぶち切れるリリィが待ち受けております。
作者は思いついた話を今すぐ書かないと気が済まないタイプなので本編の流れをぶった切ってでも番外編を入れてしまいます。今後は話の流れをよくするために番外編はアルファポリス様の方に投稿しようと思います。
下の直リンクから飛ぶか。下記のURLから飛んで【番外編】を探すかCTRL+Fキーを押して番外編と検索してくれれば見つけられると思います。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/296775484/259062949
アンテロとオリビアのこの後やアンテロと結婚するとハジメと親戚になってしまうと気が付いた時のオリビアの事やハジメを傷つけたオリビアがアンテロと婚約すると聞いて激昂するリリィが気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!




