オリバー、リリィ一家に会いに行く。
お嬢さんをください!とあいさつしに行く話です。裏でうごめくロッシ家は何を考える?
オリバーとリリィは荒野をショーベリ領に向けて歩いている。ショーベリ領は田舎なので馬車鉄道は通っていないのである。
その際に万が一にでもリリィの事がリリィを追いかけまわしていたブゥタの三男にばれると面倒になるのでリリィは髪色を茶髪にした。
(オリバーはお義母さまとお話をしている時はまるで少年に戻ったみたいに甘えている感じがしたわ、お義母さまのミートパイを一日でも早く食べたいですって恥ずかしそうに言ってた、お義父様からもルイ様からも私はお義母さまであるヘレナ様に似ていると言われた、髪の色もそろえていつも髪留めはヘアゴムだけど今回はお義母様と似たようなシュシュにしてみた.......のだけど効果が抜群過ぎてちょっと引いた、けどそういうところもカワイイと思う)
実際にオリバーは今のリリィの格好を見た時はとても嬉しそうに似合う、可愛い、美人と語彙力が5歳児に並み低下するほどリリィを褒め叩いた、ついさきほどまでも上機嫌だった。
(ルイ様はきびしい訓練でお母さまに甘えられなかったから少しマザコン気味なのかもって言ってたわ、落ち着いた時は思いっきり甘やかしてあげるとお兄ちゃんはイチコロです、って言ってた。今度実践してみよう)
ついさきほどまで上機嫌だったと言うのは、オリバーはショーベリ領都を過ぎて蛮族から守る砦の手前にあるリリィ家族と落ち合う予定の宿場町が近づいてきて緊張しているのである。
「えっと、リリィの父親の名前はエリックさんで、母親の名前がシグリッドさん、弟さんがアンテロ君だったな」
何度も同じことを繰り返している。よほど緊張しているのかメモを見ながら歩いているので足元の岩に気が付かず何度か転びそうになっている。
(絶対、お父様と1対1でお話させてあげよう、緊張で何もしゃべれないかもしれないけど、私にも母上は悪い人じゃないから気軽に話せって軽く言ってきたのですもの、同じ目に合わせなきゃ、ちょっと楽しみ)
数時間後、落ち合う建物の前にオリバーは立ち尽くしている、顔は真っ青で冷や汗が流れているのがわかる、蛮族2000人相手にも引かなかった豪傑とは思えない。
「ほら、オリバー入るわよ、お義父様と違っていきなり殴ってきたりしないから」
「リリィは親父はいきなり殴る系の人だと思っているんだね、悪い事してなければ殴ってこないよ」
「やっぱりいきなり殴る系なんだね」
リリィはそういいながら建物の扉を開く、
まず父親であるエリックに目が行く。かつては精悍だったであろう顔立ちに、長年の戦いが刻んだ深い皺と疲労の色が滲んでいる。それでも銀の髪と整った目鼻立ちはリリィによく似ていた。
次に母親であるシグリッドである。若い頃は相当な美人だったのだろう、リリィと同じ銀髪は艶を失い、目元には疲労の影が色濃く残っていた。それでも息子を見る眼差しだけは柔らかかった。
最後にリリィの弟であるアンテロだ。銀髪の美少年だった。リリィによく似た整った顔立ちと細い体躯は、貴族の子息らしい品の良さを漂わせており、どこか儚げな印象を与える。しかしオリバーの目は少年の手に釘付けになった。その細い指には、毎日欠かさず剣を振り続けた者だけが持つ、分厚い剣ダコがあった。
「初めまして!訳があり今はオリバーと申します、お嬢様であるリリィさん、いえ、リンネアさんとはお付き合いをさせていただいております。つまらない物ですがアヤノ名物になる予定の赤芋チップスとお世話になっているアヤノ家当主イワオ様よりの手紙でございます」
赤芋チップス、アヤノ家の料理人があまりおいしくない赤芋を薄くスライスして素揚げして塩をふってみたら結構おいしかったので飢饉の無い年はこれを名物にしようと画策しているようだ。
「いや、君の事はある程度聞いているよ、そんなに緊張しないで、外では内緒にするよハジメさん、リリィを今まで守ってくれてありがとう、アヤノ兵の増援と支援のおかげで少しはこうやって家族と顔を合わせられる、感謝している」
「えっ?オリバーさんがアヤノ家のハジメさん?どういうことなのですか?」
長男のアンテロである、聞いていなかったのだろう、かなり動揺している。
「後で説明をする、アンテロ、お前も外では内緒だぞ、それよりオリバー君手紙を預かっていると聞いた受け取ってもいいかな?」
オリバーは手紙を渡し、エリックは目を通す、かなり驚愕をしている様子だ。アヤノ領の蛮族を片付けた後でショーネリ領の蛮族討伐は前々から聞いていた、冬が空けて雪がとける頃に実施との事。そしてブゥタ三男の排除、予定より早く完了させて春前には消えてもらうと記載があった。その次が驚いたのは後日ロッシ家からも打診があると思うがロッシ家の長女であるオリビアとアンテロの婚約の話が書いてあった、しかもその条件を飲むとロッシ家からの多額の融資を受けられて今まで買い叩かれていたベリー類の加工工場の建設、蛮族から取り戻した土地にブドウ畑を作りワイン工場も併設すると記載してあった、取り扱いはロッシ家お抱えの商社を使うとも書いてありマルコに抜け目が無い、オリビアは現在ショーベリ領の近くに別荘をたてて療養中で専門医の元でずいぶんと回復をして「私のような年上の女でよろしければ是非アンテロ様とお見合いをさせていただきたい」との一文も添えられていた。
当然この結婚話はオリバーとリリィにはまだ内緒だ。折を見て話すことになる。オリビアは王国で有名になりすぎていい家には嫁げないようなのでアヤノ家が支援する将来有望そうなショーベリ家に目をつけたのだとエリックは考えた。マルコ・ロッシはある計画のために表ではマッテオとルイを裏ではオリビアとアンテロを婚姻させてより強固なアヤノ家との結びつきを画策しているだけなのだ。
「重ね重ね、我が家への支援、なんとお礼を言えばいいのか」
「いえ、気にしないでください、同盟諸国からの蛮族排除はすべての国の悲願ですので」
その後リリィの母であるシグイッド手作りの家庭料理に舌鼓を打ちつつこれまで経験してきた冒険譚などの話で盛り上がった。
リリィの画策でオリバーはリリィの父であるエリックと二人で対談する事になった、先ほどまでの和やかな雰囲気は消えて怒涛のようなエリックからの質問にオリバーはどうにか答えた。最後の娘のどこに惚れたのか?と言う質問にはエリックもドン引きするほどの演説を披露する事になる。
寝る直前になりリリィ弟であるアンテロがオリバーを呼びとめ挑戦状を叩きつけた。
「是非、アヤノ家の剣を教えていただきたい、明日の朝食前に模擬戦をお願いします」
オリバーはアンテロのあまりにもまっすぐで誠実な態度に思わず了承する事になる。
次回は、オリバー、アンテロ君に胸を貸す回になります。
苦労したのはリリィ一家の名前ですね。覚えられるようにメモ取っておこう。
▼ アルファポリス作品ページ
https://www.alphapolis.co.jp/novel/296775484/259062949
「【番外編】若かりし頃のイワオの一目惚れ」がアルファポリス様での限定投稿作品になります。
今後アルファポリス限定配信の話は全て【番外編】とつきます。こちらでは作者の思い付きでアップすると話のテンポが悪くなるので実験的措置です。作者は思い付きで書くタイプなので後で書こうと思っても書きたい衝動に抗えない人間なのです、もうしわけございません。なんでこのタイミングで?と言う感じに閑話的な話が入っているのもそのせいです。
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