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リリィの本性、驚愕のイワオ

 リリィの心の奥深くの闇をみてイワオはどう判断するか?

 (あの端正な顔立ちのリリィ嬢がこのような表情をするとは......)


 リリィの顔は一応は笑顔である、しかし何か心の奥底からあふれ出る黒い物が噴出したかのような狂気じみた笑顔である。


 「蛮族ですか?正直許せないですね、何もしていないショーベリ領に押し入って罪の無い人々を手に掛けましたので」


 「そうだな、同盟諸国は皆同じ思いだ」


 本当はイワオは徐々に質問をオリバーへとシフトしていきリリィのオリバーに対する本音を聞きたかった、しかしあまりにもの迫力に思わず続きを聞いてしまう。


 「私の故郷のショーベリ領は小さいながらも領民は皆山肌に沿ってベリーを栽培して細々と加工品をつくっていたのです。平和でした、年に1回のお祭りの日には貴族も平民も関係なく歌い、踊り、とにかく平和な領だったのです。私も随分可愛がられました、毎年美味しいクラウドベリーを作る老夫婦は私が小さい頃に美味しいって言ったら毎年のように出来のいい物を選んで私の為に取っておいてくれたのですよ。他にも私が子供の頃に美味しいと言ったラズベリーのジャム、ラズベリーは山の斜面に生えるからもう危ないから作らなくてもいいよって言っても毎年私の為に作ってくれるの、みんな優しい、優しい人たちだった、私は他の貴族と違って贅沢はできないけどこの人たちが領民で幸せだと思っていた、この人たちこそ私の領の宝だって思ってたの」


 リリィの目の焦点はあっておらず、敬語を使う事も忘れているようだ。


 「リリィ嬢?大丈夫か?おちついて、オリバーを呼び戻そう」


 「私が学院に入る前の年にね、しばらく私がお祭りに帰ってこれないからって盛大なお祭りを開いてくれたわ、きっと楽しいお祭りになるって思った、でもね、みんなが集まったのを見計らってあの蛮族が襲い掛かって来たのよ!もうわけがわからなかった、いつの間にかおじい様が数少ない領兵と一緒に村の入り口で蛮族と戦っていたわ、必死に逃げろって叫んでいるの、クラウドベリー作りの名人の老夫婦もラズベリー取り名人のお爺ちゃんもお年寄りは全員逃げても逃げきれないって言って鍬とかその辺の棒を持って突撃した、お父さんに後は任せたって言ったのが村での最後の記憶」


 リリィはオリバーの淹れたお茶をすすりながら話を続けようとする。


 「リリィ嬢?そのお茶はもう飲まない方が.....」


 「気が付いたらお父様達と山頂にある砦の中にいたの、よく覚えていないけど私は”おじいちゃんたちは?”って周りの領兵さん達に聞いて回っていたと思う、もうあの時おかしくなって記憶が無いの、気が付いたら領都の自宅にいてお母さまから言われたわ、お父さんは足止めするからあなたは学院で凄い魔法を覚えてきてって、私は頑張ったわ、勉学はそこそこにしていかに高威力の魔法を出す訓練を毎日やった、毎日魔力切れを起こして気絶して起きたらまた気絶するまで大きな魔法を使う訓練の繰り返し、でもね、基礎学習を終えて魔法科の進路に進んだら詠唱時間が長すぎるって言われて落伍者になったの、あの時は絶望した、何かのヒントにならないかと異世界系小説の魔法の研究もした、成果はあった、あいかわらず詠唱は必要だけど同時に数種類の魔法を使う転生者の話を読んで練習したらできたの、これでもしかしたら父の役に立てると思ったらブゥタの豚が私の邪魔をするようになった!私の領への国からの支援金を様々な手を使って減らそうとしてきた!早く卒業してお父様の役に立つんだって言って騎士を目指そうとした弟を退学させようとした」


 (魔力切れはかなりの苦しさと聞く、何度も魔力切れを起こすくらいの訓練をすれば魔力量と回復量が増えるのだろうか?実験してみたいが非人道的すぎるな、もうそういう時代じゃない、それとブゥタの倅め、自国の領になんて事をする、証拠をと思っていたが早々に対処した方がいいな、ロッシと相談しよう)


 「後はオリバーに話した通りよ、私がいたらショーベリ家は滅んじゃうから死んだ事にして消えたの」


 当然イワオはその話は知らない、でもリリィはそんな事はお構いなしに話し続ける。


 「底辺と言っても貴族、私は世間を知らなかった、甘い顔をしていて付け込まれるとすべてを奪われると思うと感情が爆発して誰ともうまくやれなかった、そんな矢先にオリバーに出会ったの!」


 「ふむ、それで息子の事はどう思っている?」


 ここからリリィの顔は急に満面の笑顔になる。


 「この人は強い!この人は私の事を邪魔をしない!私の話を聞いてくれる!オリバーと過ごした最初の冬は楽しかった、実家での出来事も一瞬だけど忘れる事もあった、いつの間にか恋をしていました。その後になってアヤノ家の嫡男だと知ったの、私は全身全霊をかけてこの人を愛して、愛して、愛して、愛してもらって、オリバーが嬉しそうにする仕草を自然と研究して覚えてオリバーが喜ぶ女になった、オリバーは答えてくれた、死ぬかもしれないのにジパンから帰った直後に蛮族の軍勢を一人で押し返してくれた、国にばれたら死ぬかもしれないとわかって絶縁した実家と今日もこうやって連絡を取り合って私の求める事をしてくれるとっても素敵な旦那様なの」


 「リリィ嬢、落ち着いて、蛮族の事はいい。オリバーの事はどう思っている?蛮族が片付いたらどうするのかね?」


 「オリバーはとても愛おしいわ、蛮族を討伐したら結婚していっぱい甘えるの、冒険者もやめてもらう、最近はギルドにタダで地図を寄付しているから他の女の冒険者が地図の読み方がわからないとか言ってオリバーに色目を使っているわ、私は必死に我慢しているの、あの女達に何かしたらオリバーに嫌われちゃう、だから早く薬師になってお店の奥でお薬を作っていて欲しい、そしてそれを私が売るの、他の女の目に映らないようにしないと、アヤノ様は最高ね、私の大好きなオリバーを守ってくれるアヤノ家には生涯忠誠を誓うわ、私の夢は蛮族を追い出してオリバーと結婚してたくさん子供を産んで一緒に笑って暮らしていきたい」


 「リリィ嬢いったん座りなさい、水の魔法を使えるだろ?まずは水を飲んで落ち着いて」


 リリィは言われたとおりに水のを飲み始める、落ち着きを取り戻しつつある。


 「ただ、蛮族と言っても私が憎いのが本国から派遣されてくる人たちだけ、この地で生まれた人には特に恨みは無いわ」


 「そうか、優しい心を持っているのだな、そろそろハジメを呼ぶか」


 「どうした?母上と話しているんじゃないのか?リリィが何かおかしいぞどうしたんだ!」


 「理由は後で説明する、少ししたら落ち着く」


 オリバーはイワオの指示通りにリリィに気分を落ち着かせる薬湯を飲ませてリリィは眠っている。


 「おい、クソ親父、説明はしてくれるんだろうな!」


 「あぁ、すまなかった、効果は50倍以上薄めたが自白効果がある薬湯を飲ませてお前の事をどう思っているか聞いておきたかったんだ、オリビアの事もあったからな、万が一を疑ってしまった、本当にすまない、一応記録は取ってあるから後で見るといい」


 「体に害はないんだろうな?」


 「無いが一応専門医に見てもらおう」


 「そうだな、頼む」


 「これ以上飲まなければ大丈夫だ、きっと先ほどまでの暴走も忘れている、この薬を適正な量で犯罪者に使うと前後の記憶が混濁する、本当にすまなかった、以前専門医に聞いたこともあるから大丈夫だと思うがもう一度相談するしここに連れてきて診断もしよう、長年我が家に仕える信用のある医者だ」


 その後意識を取り戻したリリィに専門医による診断が行われた、リリィは別室で休んでもらい結果を聞く。


 「とにかく、安心させてください。あなたと一緒にいてあなたが長い時間をかけて安心させて彼女の心配する事を取り除けば徐々によくなるでしょう、語り掛ける言葉は学院で習いましたね、私が講師でしたから覚えているはずです、心がすり減った帰還兵と同じように寄り添ってください、彼女の心の不安定さは原因があります、それを解決して寄り添い続ければよくなっていくでしょう」


 「それとアヤノ様、彼女の攻撃は最小限にしておく方がいいでしょう、心が優しい子なので」


 「そうか、ワシたちアヤノ一家の最終目標は息子の平和な生活だ、もともと蛮族は今のまま包囲し続ければ時間はかかるがこっちの犠牲者は無く勝てる戦い、リリィ嬢を積極的使うプランはやめにしよう、陽動程度で十分だ」


 「親父にも人の心があったんだな、動く敵にはとりあえず飛びつくものだと思っていたよ」


 「お前が悲しむとルイとヘレナも悲しむからな、家族が悲しむ姿は見たくない、しかしお前には働いてもらうぞ、せっかく得た剛力の力だ、ルイが開発した新型カタパルトの運用してもらう。なんでも150キロ近い岩を200メートル飛ばす事ができるようだ、お前には岩の装填主になって数台並べたカタパルトから常に岩を発射する役目を担ってもらう、蛮族は皆殺しと思っていたがどうせもう滅びる国だ、多少逃がしてもよかろう、数回降伏してきたらこちらに有利な条件で飲んでやる、冷静に考えたらあの砦内で生まれ育った人間には罪は無い、服従を誓うなら我が領民に近い扱いをしよう」


 「蛮族の国は滅びるのですか?」


 「詳しい事は会った時に話す、それと魔族は倒してもらう、あれは災害に近いからな」


 「リリィも出すのですか?」


 「そこはお前が気合を入れて抑え込まんか、男を見せろ、後ろからリリィ嬢に魔族はこんがり焼いてもらう、コウタ戦の前座とでも思って戦え、魔族はコウタより強いがな」


 「こっちの戦いが終わったら約束通りショーベリ領の蛮族も対処する、規模的には戦いにもならないだろう、それが終わったらショーベリ領主の功績として療養していたことにしてあるリリィ嬢の貴族復帰をさせる、そのあたりの交渉はロッシに投げるか」


 また勝手にマルコ・ロッシの仕事を増やすイワオである。


 「魔族が侵入してアヤノ領に入るのはは4日後だ、作戦を練りながら体を休めるがよい、リリィ嬢には必要以上に攻撃をしなくてもいい、お前のカタパルトの為の陽動程度の攻撃でいいと伝えておくように、リリィ嬢の力は戦後の平和利用に使わせてもらう」


 「そっちのほうがリリィにあってるよ、本来は優しい人なんだ」


 「あとな、浮気だけは絶対するなよ、あの子はヘレナより嫉妬深い気がする」


 「しませんよ、俺はリリィ一筋です」


 その後リリィが目を覚ましたのでとりあえずは休養を取り魔族討伐に集中しようという事で話がついた。


 


 次回は命がけのコウタの戦いになります。ある程度魔族に手傷を負わせないと帰らせてもらえません。

 書いているうちにこれリリィに本格的に蛮族を討伐させたらPTSDが悪化するんじゃね?と思いました。作者はハッピーエンド原理主義者です、リリィの幸せを優先します。悪人は処すけど。


 なんかフィナーレに近くなってる気がしますか?終わらせませんよ、ジパンに残った綾野一族の話とか解放した城塞都市の話とかマッテオとルイがだんだんイチャコラしだす話とか書きたいこといっぱいあるんです。オリビアもギリギリ救済します。彼女は被害者ですから。何度も言いますが作者はハッピーエンド原理主義者、現実社会がつらいので物語くらいは楽しくしましょうよ。


 実は作者はアルファポリスとカクヨムにも同じ話を投稿し始めました、どちらもそこそこ好調です。特にアルファポリスが好調で、HOTランキングと言う新人専用ランキングにここ数日6位~4位を行ったり来たりしてTOPページに乗り続けております。本編は先行してこちらで投稿しますがテンポが悪くなる作者の思い付きで書く閑話はあちらに投稿しようと思います。よければあちらでもお楽しみくだされば幸いですし評価をしていただけたらより一層やる気に満ち溢れます。すでに1話ほどあちらのみで投稿した話もあります。


 投稿する際にすこし修正・加筆も行っております。先行連載をするメインはこちらです。これからもよろしくお願いします。


https://www.alphapolis.co.jp/novel/296775484/259062949


もしくは下部の直リンクから飛べるページに下記のタイトルが限定公開中です。


「受付嬢は見ている 冒険者の追放劇」がアルファポリス様での限定投稿作品になります。


今後の展開が気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!

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