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イワオとマルコの密談

 北の国に謝罪に行く直前の話です。


 マルコさんは色々企んでいます、そしてイワオとは結構仲良し。


 「久しぶりだな、マルコ」


 王の命令により北の国へのアヤノ領兵無断侵入事件の謝罪へ向かう前日の話である。出発地の王都にあるどこにでもある居酒屋の離れにハジメは通された。


 「あぁ久しいな、ここは私の手の者が経営している店だ、この部屋は盗聴対策がしてある、安心してくれ」


 「王都にロッシ家の隠れ家か、王家の見張りも王直属以外は腑抜けになったと聞いたがここまでとはな」


 「うまく行きすぎて作った自分もビックリさ、まぁ前置きをするにも時間が無い、単刀直入に言う。ハジメ君は生きているしパートナーもいる上に貴族への復活の道筋もたっているようだな」


 イワオの眼光が鋭くなる。


 「やっぱり、イワオは武に生きる男だよ、文官に向いてないね、腹芸もできないようだ、落ち着いてくれ。王家に言うつもりはない、めんどくさい事になるだけだ、ただ話をいくつか聞いてくれ」


 「聞くだけなら聞いてやろう」


 「悪い話じゃない、というかまずはお願いだな、オリビアの事だ。どうか許してやって欲しい、この前の条件で将来性のある貴族と見合いをさせたのだがあいつはダメだ、完全にオリビアを馬鹿にしていた、私たちの前ではおとなしくしていたけど二人きりになったら.....ええい!口にするのも悍ましい、婚約者がいたのに平民に懸想したんだろ?カフェテリアで見てたぜ?いい雰囲気だったじゃないか?やる事やったんだろ?俺にもここで同じこと......」


 この時点でマルコは持っていたグラスを投げつけてしまった。


 


 「すまんな、相手はギリギリ下位貴族だ、一応盗聴しておいて正解だったわけだ、将来的には消滅させるけどな、それでもう少しいい条件の貴族との見合いをさせてくれ、今度は海外だ。お前が目にかけているショーベリ家の長男をと考えている、お前が支援をするんだろ?間違いなくあの地の蛮族は壊滅するしショーベリ家は少なくとも4位までは回復するはずだ、牧歌的な土地で誰もオリビアの事は知らない、年の差はあるがイワオが目をかけるほどの男だ、性根のいい子なんだろ?これ以上の縁談は無いと思っている、頼む!」


 (うーむ、これを許可するとハジメとオリビア嬢は親戚になるかもしれんのだがどうしたものか)


 「ショーベリ家とハジメ君の関係も調査済みだ、そのあたりはショーベリ家のアンテロ君もまだ若い、時間をかけて何とかする。最近は専門医に見てもらってオリビアもハジメ君の事を乗り越えられそうだ」


 「時々、ワシはお前の事が怖くなってくるわ、というかそうまでしてアヤノ家と繋がろうとするのも裏がありそうだな」


 (私は常にアヤノ一家が怖いんだよ!)


 「ある、が今は言える範囲は少ない。第2王子が絡んでいる事とアヤノ家は何もしなくていい、と言うか何もしないでいてくれ、これが今言える範囲だ」


 「わかったこれ以上は聞かない、オリビア嬢の事はワシはもういいと思っているがヘレナがな、海外に嫁ぐと言うなら納得してくれよう、表と裏でアヤノとロッシがつながるのは国の為なのだろう?それなら説得して見せるさ、それよりアンテロ君に拒否される事を心配したほうがいいぞ、あやつ13歳にしてははっきりと意見を言うし頭も切れると部下から聞いた、性格も武官向きだそうだ。見た目は麗しいらしいがな、北の国の学院で蛮族さえいなければ女子が殺到するとの噂だぞ」


 「オリビアもカワイイから大丈夫だ」


 マルコは親ばかなのである。


 「本当はハジメ君にオリビアを、うちの長男にルイ嬢をと思っていた、今となっては儚い夢だがな」


 「マッテオ君がうちに来るからいいじゃないか、最初は泣きそうな顔をして我が家に運動に来ていたが今は嬉しそうにルイに話しかけているぞ」


 ルイはマッテオの事を最近子犬を見ているようで可愛げを感じますと言っている、学院では勉強も教えているそうで筋がいいとの事である。


 余談だが当然周りはアヤノとロッシの関係性は知っている、それなのにルイと婚約をしてしかも嬉しそうに懐いて勉強を教えてもらっているマッテオを見て「おいおい、あいつ死んだわ」とか「実は頭のネジが無いんじゃないか?」と噂になっている。


 「あの地獄を潜り抜けて嬉しそうにルイ嬢に話しかけるってどんな調教をしたんだ、私はあのアヤノ式訓練中はいつか出世したらアヤノ家を取り潰すと言う執念で乗り越えたのに」


 過去にとある武官に「そんな細い体で国を守れるのか?紙にハンコを押してもらえる給金で食える飯はさぞうまいだろうな」と挑発されて全員で一番厳しいとされるアヤノ家の長期キャンプに参加したのだ、武官も含めても最後まで残ったのはマルコのみだったのだが。


 それ以来、アヤノ家の領兵はロッシ家にだけは一定の経緯を払っていた、ハジメの事件前までは、今はルイとマッテオの婚約により前の関係に修復されつつある。


 「ショーベリ家の事に関してはこっちから言う事は無い、強いて言うなら一応ハジメが婿入りする家だ、お前の知恵で発展させてやってくれ、もう一つの案件は動くなだったな、国を割るような事でもしない限りは約束しよう、何かする前には相談くらいはしろよ」


 「ありがとう、とりあえずあの領で取れるベリー類は今はほとんど他領で買いたたかれてベリーワインに加工されていると聞く、それをショーベリ領内で加工できるように設備投資もするし、ブドウも栽培して赤ワインも作れるようにしよう、嗜好品はとにかく売れるからな、ジパン向けの輸出量も増えるだろう、悪いようにはしない、もう一つの約束はまだ先の話だ、しばらく忘れてくれ、その時が来たら必ず相談する」


 「そうか、こっちからも報告がある、うちの者がジパンに行った時に赤芋なる物を持って帰ってきた、味は悪いがどんなにやせた土地でも大量に収穫できる作物らしい、取り戻した蛮族の砦跡に植えて救荒作物にしようと思っている、高所への水の引き上げはルイが言っていたがアルキメデスポンプと風車との組み合わせでなんとかなるらしい」


 「ああ、あのポンプか、革命的だったな。高所への水の供給は難しいと聞くがルイ嬢なら何か考えがあるのだろう、飢饉はいつくるか予想がつかない、成功するといいな」


 「それとワシは蛮族は殲滅と考えておったが考えが変わった、蛮族本国から派遣されてきた者は許さないがあの地で生まれ育った者や人生の大半をあの地で過ごした者には恩赦を与えようと思う、我が領内だ、文句は言わせん。そやつらが条件を飲めば赤芋の生産をさせようと思う、というかもう他の解放した城塞都市で育った蛮族側の人間やこちらに忠誠を誓った者を鉱山や娼館に送る直前に呼び戻して開墾させておる」


 (もう、王権もアヤノ領内に関しては対蛮族であろうとも口出しできないレベルに達しているか、第2王子の案は早めに実行した方がいいかもしれないな、少なくとも同盟諸国から蛮族を消し去る前には)


 「そうか、まぁ別に私はたかが3位貴族だ、王に聞かれない限りは意見なんかできない立場だ、わざわざ報告するまでもないな」


 「難しい話は終わりだ、ハジメの件があってしばらくやってなかっただろ?今夜はこれに興じながら酒を飲もう」


 イワオが取り出したのはチェスに似た盤上競技の一種だ、学生時代の二人は日が暮れても夢中になって対戦していた。


 「いいのか?私の連勝記録がまた更新するぞ?」


 「今夜は酒が入るのだ、勝負はわからんぞ?」


 二人はしばしの間、青春時代を思い出すように楽しい夜を過ごすことになる。

 何度もここで書いていると思いますが作者はハッピーエンド原理主義者、オリビアザマァを切望している人には申し訳ないが十分罪を償ったと言うかコウタが全部悪い、コウタは処す。いつかそれなりに幸せになるといいね。



 実は作者はアルファポリスとカクヨムにも同じ話を投稿し始めました、どちらもそこそこ好調です。特にアルファポリスが好調で、HOTランキングと言う新人専用ランキングにここ数日6位~4位を行ったり来たりしてTOPページに乗り続けております。本編は先行してこちらで投稿しますがテンポが悪くなる作者の思い付きで書く閑話はあちらに投稿しようと思います。よければあちらでもお楽しみくだされば幸いですし評価をしていただけたらより一層やる気に満ち溢れます。すでに1話ほどあちらのみで投稿した話もあります。


 投稿する際にすこし修正・加筆も行っております。先行連載をするメインはこちらです。これからもよろしくお願いします。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/296775484/259062949


もしくは下部の直リンクから飛べるページに下記のタイトルが限定公開中です。


「受付嬢は見ている 冒険者の追放劇」がアルファポリス様での限定投稿作品になります。



 マルコと第2王子の計画と今後の展開が気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!

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