オリバーとリリィの遠出クエスト9 久しぶりの兄妹の会話
家族との会話&オリバー無双の予兆、2話以上になりますがすべて金曜の夜に上げます。
本日は21時10分に残りの話もアップします。
北の国の港についた、機関長が無理を言い先に下ろしてもらう。
「こちらです、この建物の地下にアヤノ家の実験室と繋がる魔法のガラス板がございます」
「北の国にまでアジト作ってたのか、用意周到な」
「元より帰還後にお話しするプランもございましたので」
「では、通信を開始します」
機関長は何やら複雑なボタンを押しガラス板に見覚えのある妹が映る。すでに号泣だ
「お、お、お兄ちゃん会いたかった!毎日お兄ちゃんの事ばっかり考えてたの!御飯食べれている?怪我していない?嫌な目に合って無いかな.....でも会いたい!こんな画面越しじゃなく会いたいよーどうしてお兄ちゃんがこんなひどい目に会わないといけないの!ダメ、ちょっとお話できない、お母さまお願い、少し落ち着いてくる」
そういうオリバーの母親の目も真っ赤だ
「ハジメ、よく無事で。ルイじゃないけど私も毎日あなたの事を考えていました。忘れた日なんてない」
母親も涙があふれている。
「リリィさん、でしたね?どうもありがとうございました、ハジメの事を支えて下さって、ハジメはああ見えて繊細なの、家を出ていく日はとても顔を見ていられないくらいだった。でも今はとても元気そう、きっとリリィさんのおかげね、本当にありがとう」
「いえ、おかあ、おば様、私もオリバー、いえ、ハジメさんには助けてもらってばかりで、こちらこそいっぱい支えてもらっています」
「誰も見ていないのですから是非、お義母さんと呼んで欲しいわ、それと今後はオリバーとして生きるのですからリリィさんはオリバーでいいですよ」
「はい、お義母、一応オリバーは婿に来てもらう事になりますが生活の拠点はそちらになります、不束者ですがよろしくお願いします」
ヘレンは目が真っ赤だ。
「そうね、そうなるわね、まさかこんな日が来るなんて去年は思わなくて、ごめんなさいね涙もろくて、あの子あんなに大きくなっちゃったけど私にとっては大事な大事な可愛い子供なの、よろしくねリリィさん、それとハジメ、今度は手放しちゃだめよ、落ち着いたら女心講座開くからね、あなたの大好きなミートパイ、作っておくから.....」
ここで涙腺が限界だったのか復活したルイとバトンタッチ。
「本当はお兄ちゃんともリリィさんとも二人きりでお話したかったけど、さっきの私とお母さまで全部言っちゃったわ、後は実務的な話です。リリィさんの実家のショーベリ家には冒険者に扮した我が家の精鋭300が向かい防衛に当たっています、今から冬に差し掛かります、にらみ合いで戦況は動く事はないはずです。すべてが完璧に片付けば来年の秋には会えるはず、お手紙も預かっています、どうしますか?読み上げますかご自分で読みますか?」
「よろしければ読んでもらっていいですか?」
「はい、では。我が娘リンネアよ、元気か?国外逃亡をしたと聞いた時は心臓が止まりそうになったがアヤノ家の者と結婚する聞いた時は失神しそうになった。こっちはアヤノ領兵のおかげでずいぶん楽になった、うまく行けば再来年の春にリンネアのウェディングドレスが見られるなんて夢のようだ。体に気を付けて、また会う日を楽しみにしている、父より」
リリィはもうまともに話せないほど泣いている。機関長に任せて別室で休んでもらう事にした。
「ハジメぼっちゃま、御屋形様よりお手紙を預かっております.....」
「ねぇ執事長、なんであなたが読むの?私はもっとお兄ちゃんと会話したい」
「お嬢様には読む事が出来ない内容だとご推察いたします、わたくしにお任せください、これは御屋形様の命令です、お嬢様でも覆られません」
あまりの執事長の迫力にルイは次の言葉を出すことができない
「では失礼して、ハジメよ、息災か?今回は重大な決断をしてもらう事になる、ハイ、イイエどちらを答えてもお前に不利益になる事はしない、執事長の話を聞いてよく考えて返事をするように」
(親父の真似うまいな、流石長年親父の専属やってるだけあるな)
「お前をに恥をかかせ泥をすする生活をするはめになった原因”コウタ”と決着をつけたいか?ちゃんと相応しい舞台を整える準備はできている、来年以降になるが、答えは次にワシに会うときでよい」
「決着をつける!」
(思わず口に出てしまった、あの日の屈辱は心の奥底に重い泥のようにこびりついている、今の俺なら倒せるはずだ)
「だめよ、お兄ちゃん、あいつ権能持ちだよ。勝てないよ、あの手の小説が好きなお兄ちゃんならわかるでしょ?やめよう、お父様直属の暗殺部隊にまかせよう」
「だから御屋形様はお嬢様に読ませるのを躊躇ったのです、読まずに捨てたでしょう、決めるのはハジメ、いやオリバー殿です、そしてハイと答えたなら続きがあります」
「コウタは強い、ハジメよお前は薬師になるつもりだと聞いた、だがコウタと戦うのであれば薬師の勉強は最小限にし、常に緊張に身に置いて修業を怠るな。基本の素振りと冒険者稼業でいい、常に命の危険がある場所で感覚を鈍らせるな.....以上です」
「お話は終わり?ちょっといい?」
母ルイゼが割り込んできた。
「こんなこと言うのはよくないけど、どうしても我慢できないの、よく聞いて、オリビアはコウタの”相手の心の隙を突く権能”で狂ったの、だからあなたは悪くない。心に隙を作ったあの女が悪いの、だからもうあの子の事は気にしちゃダメよ.....ふぅ、本当は言ったらダメなんだけどね、どうしてもあのオリビアにダメージを与えたくてね、我慢できなかったの、忘れて頂戴。リリィさんも子供ができればわかるわ、息子を悲しませる存在はどうしても許せないの、本能ね、今度は会ってお話したいわ」
「なんだ、オリビアの奴コウタと結婚したんじゃないのか?結婚してるわけじゃないから好きにさせろとか、自分と話してもメリットが無いとか言っておいて、何がしたかったんだ?」
(女心と言うか、10年一緒に過ごしたのにあいつの事はわからない、リリィは喜怒哀楽がはっきりしているからわかりやすいのに)
「あの子には色々と覚悟が足りなかっただけよ、ごめんね、私から話をしておいて混乱させたみたい、何度も言うけどあの女の事は忘れなさい」
(ロッシの当主が忙しすぎて教育を怠ったのが悪い、私たち貴族は誰のお金でご飯を食べているかを教えていないから心に隙ができるのよ、学院の勉強だけしていればいいわけじゃない、特に高位貴族はね、民衆の苦しみを知って初めて貴族の責務を果たそうと言う気概が生まれるの、その気概があればハジメと結婚をしてうちとロッシ家の絆が強固になれば国がより豊かになると理解できたのに、深窓のお嬢様すぎて世間を知らなかったから好奇心に負けただけの話)
その後何でもない歓談が続いた、しかし急に最悪な知らせが入る。
「蛮族が海から侵入して現在山岳地帯から、北の国のショーベリ領を南から攻めようとしている?」
「はい、お嬢様、確かな情報です。数は不明ですが、2000はいるそうです!御屋形様からの知らせです」
王国の砦が陥落しそうで焦っているのか蛮族は北の国を強襲してアヤノ家が手を出さない場所にも拠点を作るつもりのようだ。
「今、うちの領兵の大半は北の砦よ、領都を攻められたら持たない」
「弟君が指揮を執り数少ない衛兵と義勇兵で領都の門の前で防衛線を敷いていますが、町の人間を逃がすための殿かと....」
「そんな!あの子はまだ13歳よ、なんで?領兵の隊長とかそのあたりでいいでしょ?嫡男よ!逃がしなさいよ!」
「もうその領兵は北の砦です、逃げずに残った数少ない定年後の領兵・衛兵と年老いた領民の決死隊です」
「おい、ルイ!蛮族は山岳地帯を歩いているんだよな?、狭い道でなるべく1対1で戦える場所......」
「ダメです!お兄ちゃんを死なせるわけにはいきません、そんな場所無いです。リリィさんには悪いですけど、あなたが弟さんを大切に思っているように私もお兄ちゃんが大事!」
「ルイ!頭を冷やせ!お前が指定しないなら俺は突撃して無駄死にしてやる!」
「お兄ちゃん、そう。それは嫌だ。探すね......ここを見て、ここの場所なら両側崖でお兄ちゃんが盾を構えれば1対2くらいには持ちこめる、でもここを突破されるとショーベリ領に続く道は無数にあって、もう止められない、お兄ちゃんやるんだよね?もうさっきうちからも出動命令はだした、北の国に兵士を送り込むのは国際問題だけどロッシ家に投げるから後はなんとかなる、お兄ちゃん帰ってきてね、思い切り抱きしめるからまた昔みたいに頭を撫でて」
後にマルコ・ロッシはアヤノめ!あの娘もかああああああと絶叫する事になる。
「わかった、地図を見た感じだと俺達は3日後に到着して蛮族はその半日後でうちの兵士はその6時間後と言うところか、道を俺が盾を構えて立ちふさがり剛力で押し返すしかないか、武器は、あれがあるな!」
「機関長さん、親父への土産のジパン刀を持てるだけ運ぶぞ、考えがある。説明は現地でだ」
命がけの防衛戦が今始まろうとしていた。
前書きにも書きましたが本日はもう1話を10分後にアップします。
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