オリバーとリリィの遠出クエスト8 戦いの顛末そしてアヤノ家への報告
ジパン編も終わりを告げようとしています。ジパン側の異世界転生者も出てきてオリバー達はどうなる?
北の国の外交官が必死に空に浮く異世界転生者に声をかける。
「おい、そこの空から出てきた人!回復の術は使えるか?使えるなら今すぐリリィさんにかけてくれ」
「使える、今すぐやる、だから攻撃はやめてくれ!頼む!俺の術なら死んでなければ一発全快だ」
リリィの治癒ができるなら、と思うと怒りも引いていく。
「治癒の結果次第だ」
「え?、痛くない。それよりあの女、ぶっころ......」
「リリィさん!終わりました、オリバーさんのパンチが決まって終わりです。もう拘束済みです!」
機関長が叫ぶ。
「でも生きてるし、殺さないと、私から大切な物を奪う奴は全部殺すんだから、じゃないとまた奪いに来ちゃ.....」
急にリリィが座り込む。
「勘違いしないでください、興奮を抑える術を使いました、数分もしないうちに起きます、私がここにいて証明します、まずは葵さんを隔離だな、今回の事は本国の綾野家に報告をしておきます、私の言葉ならそれなりの処罰を受けます」
そういうと同時に紙吹雪の中に葵が消えた。相変わらず異世界転生者の権能はおかしな性能をしている。
「まさか同郷人に会えるとは思いませんでした、さっきも言ったけど戦う意思は無い」
「何のことだ?同郷人?俺の故郷は向こうの大陸さ、ただちょっと一部の人間の技を無効化できるけどな」
(ええい、ここははったりだ。俺が今まで読んだ異世界転生小説の知識じゃ効果無効化はかなり嫌がられるはずだ、異世界人は権能が無ければ一般人と変わらないという設定が多い、それに掛ける)
「そ、そういう事にしておきましょう、お互いノータッチで、あ、あなたの彼女さん目をさましたようですよ、問題無ければ帰ります」
(効果無効化系能力者かよ、それであの体格でこっちでも鍛えているのか?絶対勝てない、早く帰りたい)
「あぁ、本国に体はひょろいのに妙に強い人いますね、ジパンの人と名前が似ているような」
機関長がいきなりぶっこんで来る。
(多分コウタの事だ。俺のはったりに乗ってくれたか)
「オリバー?あの女もういないみたいね、ちょっと頭に血が上ったの、もう大丈夫よ」
「大丈夫そうですね、帰りますよ、あ、お詫びにこれを渡します。葵さんの防御結界の上位互換です、持ってるだけで一定の攻撃力を持つ攻撃をはじきます、よければどうぞ、ではさようなら、残りの処理は葵さんの護衛の人がします、それと葵さんはお忍びなんでこの事は無かったことになります、というか無かったことにしますので」
(向こうにまだ戦闘系転生者いるのかよ、マジ死ぬって恩売って帰るぞ)
あっという間に男は消えていた。
「まぁ、無かったことにするって向こうが言ってるし私達北の国も何も見て無かったです、そういう事で」
その後船内の機関室内
「ハジメ様とリリィさんは腹立たしいでしょうが我慢してください、ここは北の国のメンツを立てましょう、お願いします」
「オリバーがいいって言うならいいけど」
「今さら権能持ちと戦いたくも無いしな、勝手に勘違いして帰ってくれてよかった」
「しかし、こっちのアヤノ家の家紋とジパン綾野家の家紋の一致と伝説、限りなくハジメ様はルーツはこっちですね、これは報告しておきます、運がよければ我々が友好の懸け橋にでもなれれば各国に対して優位性が保てます」
「好きにしてくれ、それと帰ってすぐに親父たちと話せるのか?リリィの将来がかかっている、早急に話の場を設けて欲しい」
「御屋形様はお忙しいのでいつとは明言できませんがお嬢様なら夜に会話できるでしょう、この計画の半分以上はお嬢様の案です、聞きたいことは聞けるはずです、当然御屋形様とも早急に話ができるように調整します」
ジパンからの輸出品を積んで船は無事出港した。
甲板の上で甲高い金属音が聞こえる。
「しかし、この符凄いな、力を入れて攻撃すると全部はじくようだぞ」
「それにこのジパン刀という片刃の剣も凄い、断ち切る剣とはこの事だな、機関長が大量に買っていたな、親父への土産か?」
「オリバーの斬撃に耐えれるなら凄い性能よね、いい物もらっちゃった」
「あー、これで俺はお役御免か、護符持って一人で詠唱で討伐系クエスト全部リリィだけでいいじゃん」
「そんな事無いって、オリバーパンチで壊れたんでしょ?いつ壊れるか分からないもの頼ってソロ活動できないよ、オリバーは丈夫で長持ちだから安心ね」
「そういってもらえると少し複雑だけどうれしいよ、けどビックリしたよ、ブチ切れたリリィがあんなになるなんて」
「実はよく覚えていないの、私が冒険者になってパーティ組めなかったのそれが原因、あの頃は男性不振だったからしつこく男性から迫られると凄い激昂しちゃってさ、誰もパーティ組んでくれない、薬草の知識もなければ、詠唱が長くて動物も魔獣も狩れない、町のクエストだと私が世間知らず過ぎて仕事にならないで結構積んでいたのよ、多分、地元でのトラウマが原因」
「そっか、そんな事あったんだ、じゃあ俺は思いっきり紳士的に守るから怒らないでね」
「えー、最近ベットの上じゃ獣じゃない、やーいベットクマさーんもっと優しくしろー」
「別にリリィもそんなに......」
「え?何?何かいいました?私わかんなーい」
「イエ、ナニモナイデス」
「あのお二人とも、甲板でいちゃつくのやめてもらえません?ここ男所帯なので北の国の貴族さんが、若い者への目の毒だし辞めて欲しいって遠回しに言ってくるんですよ、間に入る私の身になってください」
「それと、夜の甲板で星空の下でソファー引っ張り出して手を繋ぎながら空を見て綺麗ねーとか言って悦に浸るのも禁止です、同じ部屋に一晩過ごすのも禁止です、船は閉鎖空間なので節度を守った行動をお願いします、御屋形様とお嬢様に言いますよ」
「それは恥ずかしいし我慢するか、途中で中継地の島によるんだろ?」
「深い事は聞きませんが乗船時間に間に合えば自由ですよ」
オリバーは中継地の島に到着するのを楽しみに船上では節度を守ってリリィと接する事になる。
当然のように二人は中継地の島のホテルの部屋から2日間一歩も出ずに食事はルームサービスで過ごした。
夜の機関室内
「以上が報告になります、概ね交渉は成功しました。金銀銅などの金属や陶磁器等の工芸品、こちらでも高級品とされる海産物の干物が向こうのメイン輸出品になり、ルイ様がご所望だった芋と呼ばれる作物に似たような物がございました、農民を買収しようと思いましたが手持ちのお酒を渡したら気前よく種イモと呼ばれる物を頂き、栽培法を教えてくださいました、赤芋と言う名前だそうです。味は微妙ですが荒地でもよく育ち、とにかく腹持ちはいいのでジパンでは飢饉対策で一定量毎年作ることを義務としているようです、報告書を帰還後に渡します」
「ハジメの得た剛力も気になるが、それは本人から聞こう、それより綾野家か、実は我が家の蔵書から出てきた一番古いものをジパンとの国交を境に翻訳ができてな、間違いなくワシらはジパン出身らしい、うまくこの事実を使って我が国が主導権を握り貿易の窓口になれればと思う、そのあたりはロッシに投げるがな」
「そうですか、一応ジパンで綾野物語という本が出回っていましたので可能な限り持ち帰ってきました」
「ふむ、ジパンとの貿易は蛮族の事が片付いたら手に掛けたい事業だがインフラ整備もあるしな、翻訳だけしてロッシに投げよう、いやワシは運がいい、ルイとロッシが同じ時代に生きている時に全盛期でいられる」
(ロッシ家の当主は今に過労死するのではないか?)
間諜はすこしロッシ家当主のマルコ・ロッシに同情したが自分に関係無いので考えるのをやめた。
「ハジメ様が到着するのは一月後です、お話し合いになりますか?」
「うーん、その時期は戦場だな、もう一月後になら休暇がとれるその時になるな、先にルイと会話させてやろうと思う、リリィ嬢と二人で話したいともハジメとも二人で話したいとも言っていた、そう伝えておいてくれ、それと到着頃にはショーベリ家への兵の派遣は一通り終わるとも伝えておいて欲しい、先遣隊の報告ではリリィ嬢の弟さんは年のわりにしっかりとした男だったと、姉の無事を毎日祈っているともな」
「承知しました、必ず伝えます」
「それと最後に、ハジメに手紙を書いておく、執事長、すまんがハジメの前で読み上げてくれ」
(?何故父上は私じゃなくて執事長に渡すの?お兄ちゃんとお話しする口実になるのに)
その後、オリバーとリリィに帰宅後にルイと話すことができる事、イワオとの会話はもう少し後という事を伝え、最後にショーベリ家と弟の報告をするとリリィが涙をこらえきれずに泣きだしてしまった。
無事帰還後に約1年ぶりのルイとの対談を控え船旅は終わりを告げた。
次回、久しぶりの兄妹再開回。
【お知らせ】作品のテンポ改善のため、50話付近にあった家族のエピソード(本編とは直接関係のない日常回)を活動報告へと移設しました。お手数ですが、もう一度読みたい方や未読の方は、活動報告の【番外編】からご覧いただけますと幸いです!移動作品は以下の通りです。他作品でも移動の際は順次告知します。
【番外編】総PV10000達成記念 春の夜、静寂の中の告白
【番外編】1日1000PV達成記念 子犬のマッテオ君
【番外編】母ヘレナと父イワオの出会い
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