オリバーとリリィの遠出クエスト7 女の闘い・オリバー憤怒
繰り広げられる女の闘い、追い詰められるリリィ、その時オリバーは憤怒する。
余りの衝撃の言葉にやっとのことで返答を返す。
「何をご冗談を!身分が違い過ぎます!なあそこの護衛さん、何か言ってやってくださいよ」
「綾野様が決めた事に口出しはいたしません」
(いたしませんじゃねーよ、どう見てもここは止めるところだろ!)
「この国には下剋上と言う言葉があっての、実力がある者が上にのし上がると言えば意味が通るかの?そなたは強い、是非私の婿になり子を成しそなたが鍛えれば我が一族も綾野家でもより高い地位につけるだろうさ」
「風よ、圧縮し、圧縮し、解き放て!」
リリィが叫ぶと同時に大音量の破裂音が響く。
「ねぇ?綾野様?人の婚約者に向かって何を言ってくれてるの?もう限界、国際問題?どうでもいい、私のオリバーを奪うのだったら容赦しない、今ここで諦めるのなら荒事はしないわ、私達冒険者は欲しいものは自分で勝ち取るの、権力で欲しい物を駄々こねて施してもらうお嬢様に私のオリバーは渡さないわ」
「ほう、言ってくれるな、リリィと言ったな、欲しいものは力で奪い取れ、その流儀に従おう!」
叫ぶと同時に綾野 葵は懐から符を取り出して破り始めた
「リリィ、符術だ、あの紙を破ると魔法が飛んでくるぞ!」
言うが早いか発動が早いかリリィに見えない何かが襲い掛かったようだ、不可思議な力でリリィは吹き飛ばされている。
「お主がやったように風の塊をぶつけてやったわ!そのまま海でおぼれ死ぬがいい!」
リリィは鼻血をだしながら空を飛び姿勢を直す
「水よ!水よ!私の敵を打ち抜け!」
「驚いた!魔法とは空も飛べるのか!しかも戦いの先に何か防御結界でも貼っていたな?戦い慣れしておるようじゃ」
葵は避けようともしない、あの水の塊を受けたら男でもただじゃすまない威力だ、リリィは完全に頭に血が上っているがそれでも威力は調整したようだ、死にはしないだろう。
しかし、葵に当たる寸前で何故か水が壁にでもあたったかのようにはじけ飛ぶ。
リリィは力尽きたのか地面に下りて積んである大きな木箱の後ろに身を隠す。
「まぁ、結構な威力だったみたいじゃ、護符の加護が発動したわ」
流石ジパンの武家の高位大名だ、何か不思議な力で守られている。
「もういい死ね、これは鬼も殺した一撃じゃ、光栄に思え」
葵は先ほどより明らかに大きな符を破いた、その瞬間炎をまとった空気の刃がリリィに襲い掛かる、間に置いてある木箱が爆炎をまといながら一瞬で消し炭になる。
リリィに当たったタイミングで大爆発を起こす。
(大爆発?あの技は切り裂いた物を消し炭にする術のはず、どういう事?)
「ふぅ、流石に冷や汗をかきましたよ、間に合ってよかった。正直私ではどうしようもない術です」
機関長が冷や汗を流しながらひとり言を言う
「お前、何してくれてくれるんだクソ女がああああ!、殺すぞ、今決めた、すぐ殺す!」
「何?あの一撃を盾で防いだ?どうや....
葵が知らないのは無理はない、オリバーの盾は以前ゴールドランクのパーティーから譲り受けた物である。特殊な効果は無いがとにかく硬い魔獣の装甲製の盾である。
その瞬間に何かが割れる音が聞こえオリバーのパンチは葵の目の前で止まる、オリバーの体には植物のツタが巻き付いていた。
いきなり空から声が聞こえる。
「困りますよ、葵さん。いくら分家とは言えあなたに死なれると私の立場が無い」
空に人の形をした符が大量に浮いている。そのまま渦巻き状に地面に大量の符が着地をして中から人が出てくる。
「まさか、私の護符を破る人間がいるとは思いませんでした。ギリギリ足止めが間に合ってよかったですよ?あれが無かったら葵さんは死んでいましたよ」
「誰だよ、お前!お前の仕業か!こんな物!」
ブチブチっと何かを引きちぎれるような音が聞こえる。
「おいおい、まじかよ、あれを引きちぎれる現地人いるのか?もしかして同郷人?それなら私に交戦意志はない、落ち着いて欲しい」
産女から授かった剛力の能力で無理やり葵の防御結界を割り、今は拘束を引きちぎっているだけである。剛力発動中はその力に耐えれるように肉体も強化される。
「何を勝手な事を!リリィはそのクソを気にして手加減してやったのに殺そうとしたのはそっちだろ!そこまでやったら殺し合いだよ、そのクソ女殺して二度とこんな国こねぇよ!」
(この符術士間違いない、ギフトがある、異世界転生者だ、けど関係ない!コウタに負けた時の俺とは違う!必殺の気持ちで攻撃する)
オリバーは激昂しているようで、冷静に分析する。
「待ってください、葵さんはもう私の制御下に置きました、交戦意志は無い、分かってくれ、彼女がここまでやるとは思って無かった!」
(おいおい、待ってくれよ。俺特製の護符をワンパンで砕くとかマジモンの戦闘特化タイプの転生者の可能性がある、俺は異世界でチート使って俺TUEEEE俺SUGEEEEEしながら生きていきたいだけなんだ殺し合いなんてまっぴらごめんだ)
事実、葵の体には植物の蔦が絡まって身動きをとれないようだ。
「なぁ、その葵ってクソが使った術はお前が用意した物か?」
「そうです、分家と言えど綾野一族ですからそれなりの物を渡しています」
「だったら、そのクソの力じゃなくて借り物の力って事じゃねーか、何が”欲しいものは力で奪い取れ、その流儀に従おう”だ、借り物の力で調子に乗るなよ、自分で何もできないお姫様の分際でリリィに血を流させた、虎の威を借る狐ってやつだな、やっぱここで殺す、殺すつもりで撃ったんだ、覚悟しろよ」
(虎の威を借るって思いっきり地球のことわざじゃねーか、やばい、マジモンだ、俺は戦闘特化じゃない、手持ちの呪符が切れたらただの一般人だ、こんな見るからにフィジカルモンスターなんて相手にしたくないぞ、見捨てるか?ただこの女は見た目はいいから綾野本家でも欲しがってる奴多いんだよな、でも仕方ない、命あってのって事だ、恨むなよ葵)
ただ単にオリバーは正気を失って好きな小説の言葉を借りているだけだ。
「ちょっと待った!待ってくれ!おさめてくれ!今回の外交は北の国の威信をかけている頼む、この通りだ!」
俺と葵の間に北の国の外交官が立ちふさがる。
ジパンの転生人は極めてオーソドックスな異世界ライフを送っているようです。命のやり取りなんてごめんなのです。
オリバーはよく気に入った小説のセリフを引用したがります。
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