オリバーとリリィの遠出クエスト5 オリバー達の妖怪退治(後編)
やっと鬼と戦えます、鬼が街道を占拠する理由とは?
突如、頭上から轟音と共に巨体が飛び降りて。ドォン!!と地響きが鳴り響き、街道の地面が大きく爆ぜ、土煙が舞い上がる。土煙が晴れると、そこにはオリバーたちの行く手を遮るように着地した鬼の姿。鬼がゆっくりと立ち上がると、鬼はギラリと不気味に目を光らせ、金棒を構えながら。
「引き返せ、人間。さもなくば命はない」
「話ができるのか?何故このようなことする!」
「問答無用、いつもお前ら人間はそう言っているではないか!」
殺意の塊である金棒がオリバーを襲う、激しい金属音が鳴り響く。
「ぐっ、こ、これは何度も受けれないぞ、剛力を得てなければ危なかったかも、機関長さん、俺の後ろに武器を置いてリリィを守ってくれ、リリィは何でもいいなるべく威力の高い魔法を!」
「2分耐えて!」
オリバーは金棒を受け流しながらククリナイフで応戦するが、鬼の鋼鉄の肌には傷一つ入らない。
「剣もだめか、肌が信じられないくらい固い、メイスでなんとかっ」
オリバーは機関長が後ろに置いてくれたメイスを拾い構える。
「この人間、強い、と言うより守りが固いな、何かを狙っているか?しかし攻撃符術の気配は無い?」
「オリバー避けて!」
詠唱が終わったのか大火炎が鬼を襲う、リリィの掛け声があったのだ、少しは体をひねって避けようとしてもいいだろうに。仁王立ちで動こうとしなかった。
「よくわからん術を使う.....気配が読めなかった?」
「次、5分やってみるわ、無理なら逃げるしかないけど、どうする?」
「5分か、やるさ、逃がしてくれるかもわからん」
オリバーと鬼の戦いは続く、明らかに鬼はリリィを狙うもオリバーはなんとか体をねじ込み大盾で受けて阻止をする。
それでも鬼の仕掛けて来る投石は防ぎきれない。
「私も仕事をしないとお嬢様に叱られますからね、細かい石礫は任せてください、オリバーさんは鬼に集中を!」
機関長は上着をうまく使いリリィに飛んでくる石礫を受け流したり、手持ちのかばんで受け止めている。
「そこら辺の騎士の剣なら受けれる特製の金属製の板入りカバンです、なんかとしますのでリリィさんも集中を」
どれくらい、戦っただろうか、もうオリバーに攻撃をする余力は無い、盾で防御に集中している。
「今まで来たどの人間よりも固い、問題は後ろの女だ。さっきのより大きいものが来たらワシはともかく.....」
リリィが防具の金属部分を叩く、準備ができたようだ。
もう少しというところで戦いの場に似つかわしくない声が響く、鬼の後ろの洞窟からだ。
洞窟の奥から「オギャー、オギャー」と、張り裂けんばかりの元気な赤子の産声が響き渡る。その瞬間、オリバーの脳裏に先ほど出会った産女の執念のような表情が思い浮かぶ。
「リリィー、上だ!上に魔法を放て!こっちに撃つな!」
リリィは咄嗟の事だったがオリバーが避けない事もあり先ほどの数倍はあろうかという特大火球を空に放った。
その時、洞窟の奥からバタバタと足音が響く。現れたのは、汗だくで着物が乱れた人間の女性。
しかし、彼女は安堵のあまり緊張が解けたのか、ぽんっと小気味よい音を立てて煙に包まれる。煙が晴れると、そこには大きな葉っぱを頭に乗せた、愛嬌のある「犬っぽい何か」の姿があった。
「旦那!旦那ぁ!無事に生まれました!元気な元気な、可愛い赤ん坊ですよ!」
鬼は安堵の表情を浮かべ優しい声で呟く
「……そうか。無事か」
オリバーは盾を地面に置き交戦意志が無い事を無言で伝える。
「よかったら、説明をしてもらえないか?俺はこの地の人間では無い、意思疎通ができる相手とは対話を望む」
「そうか、今までの人間は問答無用だった、どうやらワシの早とちりだったようだ、ついてきてくれ」
鬼の体が煙に包まれながら小さくなる、それでも2メートルは軽く超える大男だ。
「妖力も切れたか、ワシもギリギリだったようだ」
洞窟内には赤ん坊を抱いた女性がいる、顔に火傷を負っているようだ。リリィに近寄らせ回復魔法を施したせいか女性は少しづつ話始める。
「私は、近隣の村の小作人の娘でした、14の時に村長の子に面白半分に囲炉裏の前で押され顔に火傷を.....村長の息子は自分の罪を隠すために私を忌み子だの呪われた子だの吹聴し、私は数年前の飢饉で死にかけました、その時この人に助けられたのです」
「違うわ、人間でも食おうと思ったら、痩せすぎていたから、その太らせてだな....]
「旦那は人間食べないでしょうが、肉を食うからくさいとか言って」
なんか犬みたいな動物が話をしている。
「化けタヌキと言う妖怪ですな」
機関長がメモを見ながら説明してくれた。
鬼は深く息を吸い込み、再び主人公たちに向き直る。その佇まいは、凶暴な怪物ではなく、家族を守り抜いた一人の気高い父親の姿だった。
「緊急事態であったとはいえ、お前たちの領分である街道を占拠し、騒がせた非はこちらにある。これからは、人間を脅かすことのない、深い山奥へと引きこもることにしよう」
鬼は洞窟の奥へと歩を進め、疲れ果てた人間の妻を優しく抱き起こし、その腕に抱かれた我が子を愛おしそうに見つめる。そして、妻と赤子をその逞しい腕でしっかりと包み込むように抱きかかえ、ゆっくりと歩き出す。
「……手心を加えてくれたこと、感謝する。お前たちに、これほどの怪我を負わせてしまったのは、すまなかった。だが、ワシにはどうしても一歩も退けぬ理由があったのだ」
「達者でな、人間の強き戦士たちよ」
朝もやが立ち込める中、鬼の一家と、それを追いかけるタヌキの後ろ姿は、静かに山奥の緑へと溶けて消えていった。オリバー達3人は、ただその背中を、静かな感動と共に見送るのだった。
「どこの国も権力者が弱者を虐げるのは変わらないものだな」
「そうね、この国の人は妖怪はこっちで言う魔獣と変わらないと言ってたけど話を聞いたらどっちが魔獣よって思うわね」
「十人十色、この国のことわざですよ、人間でも妖怪でも、いい人もいれば悪い人もいるって事です、調べによるとただ人間をいたぶって楽しむような妖怪もいるそうです、知性がある分、魔獣よりやっかいですな」
心身ともに疲れ果て、奉行所に到着をして鬼を追い払ったとだけ報告した。倒さなかったという事で支払いを拒否されたが分別のある北の国の貴族もいたようで、支払い拒否をする貴族を無視して報酬を支払ってくれた。
「あいつは使節団に相応しく無いから船において行くよ、お疲れさん、ゆっくり休んで欲しい」
「十人十色ね、本当に色々な人がいるもんだな、宿屋に帰って寝よう」
帰還まであと数日になり驚くような連絡が入る。
「鬼を退けた強者の話を聞きたいからお忍びで偉い人が明日こっちに来るから会えって?」
謎の多い国ジパン、帰る寸前までゆっくりさせてもらえないようだ。
色々考えているんですけど日本の妖怪となったらどうしても鬼ですよね。
次回は偉い人が会いに来てくれるそうですよ。
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