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蛮族城塞都市攻略開始

 長く続いた準備と伏線が、ついに一つの夜に集約されます。

蛮族最後の城塞都市攻略戦、いよいよ開幕です。空から、そして陸から、これまで積み上げてきたすべての力が、この一夜に注がれます。

 「さてハジメ、いやオリバーよ訓練は存分に積んだか?作戦書通りに動いてくれ。攻略戦が始まったらあの砦の将軍は逃げるはずだ、蛮族の王族らしいからな、逃げきれればなんとかなると思っても仕方がない、将軍が逃げる時にはあの砦に最後に残したスパイから狼煙で連絡がある、城塞都市の外に出た所でグライダー部隊で強襲して拉致をしてくるのだ、情報によるとろくに食料も無く衰弱している上に少数で逃げるとの事だから容易だと思う、必ず生きて連れて帰ってきて欲しい、奴だけは同盟諸国で処遇を決めねばならん、成功すれば蛮族の王族をとらえた英雄オリバーとしての箔をつけてショーベリ家に婿として送り出せる、平民扱いのお前がショーベリ家に嫁ぐには大きな功績が無いと難しいからな」


 「分かってるさ、絶対成功させて見せる!俺はその時がくるまではカタパルトの装填係をしていればいいんだよな?」


 「そうだ、と言っても数発も打てば役割は終わる、ルイの計算上では1発で城壁を完全に破壊できるそうだ、リリィ嬢による空からの攻撃と数発の新型カタパルトで相手の戦意は喪失するはずだ、最後に決死の突撃があるかもしれんがそれはワシに任せて欲しい、オリバーは将軍の拉致だけに専念してほしい、そしてルイよ、お前は新型カタパルトと新装備の説明が終わったらすぐに戦場から離れてくれ、戦場では何があるかわからない、戦う力が無い者はいてはならん」


 「わかりました、悔しいですけど父上に従います、まずはリリィさん用の新型の光線の短杖です、前にお渡しした物より物凄く威力が向上しております、以前お兄ちゃんと一緒に倒してもらった魔族の魔核から作られており、先にグライダー部隊が火のつく水をばらまきますのでその後に照射してください。それと新型カタパルトですが物見台に扮して2か月の期間をかけて蛮族の砦の射程距離内に設置しました、作戦決行の夜に完成させます、お兄ちゃんは先ほど父上から説明があったように動いてください、以上です、ご武運をお祈りします、お兄ちゃんお願いだから無事に帰ってきてね」


 「ルイよ、ワシへかける言葉は無いのか?」


 「父上は死なないので心配していません、城塞都市の町をあまり焼かないでくださいね、戦後は投降者の家になる予定ですので」


 その後グライダーを使う特殊部隊とも作戦会議を行い、各自持ち場につくことになる、明日の夜明け前に作戦開始だ。


 ここ数か月の間、夜中には散発的に城塞都市に攻撃をする振りや打楽器による蛮族への睡眠妨害が続いている、蛮族側もそれに慣れてしまい、もう打楽器をどれだけ鳴らしても見向きもしなくなった。


 その隙を突き物見台に扮して2か月にわたり作られていた新型の大型カタパルトが徹夜の作業で最後の調整に入っている、明日の夜明け前に新型カタパルト「ウォーウルフ」は雄叫びを上げる事になる。


 オリバーはその時間まで暇を持て余していた、そこに聞きなれた声が聞こえて来る。


 「よぉ、今はオリバーだったな、ハジメ様。お久しぶりです」


 同じ訓練課程を過ごした同僚である。


 「あぁ、そうだな。あまりばれたくないがこの打楽器の音だ、ばれないだろう」


 「そうだな、お前が死んだって聞いた時はびっくりしたがあんないろんな意味で規格外の嫁さんを捉まえてきてもっとビビったぜ、見た目はお淑やかな美人さんなのに結構やんちゃだな、昼間に新型の杖をもらったとかで空から蛮族砦の物見台を全部破壊して回っていたぞ」


 「あぁ、俺も時々びっくりするよ。怒ると性格が豹変して言葉遣いも変わるんだぜ。結婚したら怒らせないようにしないとな」


 「ははっ、俺も結婚しているけど多分無理だぞ。なんか些細な事で喧嘩になってしまう、まぁ後になって何であんな事で喧嘩したんだって笑い話になるけどな」


 「そういう関係はいいな、時には喧嘩もするけど笑いあって生きていけるようになりたい、そのためには蛮族は排除しないとな、親父が言ってたけど子供世代に禍根を残したくなくて必死に蛮族と戦っていたらしい、今になって親父の気持ちが少しわかる、俺とリリィに子どもが生まれたとしてその子には平和な時代を生きて欲しい」


 「俺もだよ、俺も子供がいる。戦争の時代は俺達で終わりにしたいな....そういえばジパンで剛力を覚えたらしいな、どんなもんなんだ見せてくれよ」


 「ああいいぜ、カタパルトの弾の岩ってこれだよな、ほらこういう風にもてる」


 オリバーが150キロはあるだろう巨岩を軽々と持ち上げる


 「お前とうとう人間やめたんだな、まぁその力があったら助かる、婿入りらしいけどほとんどこっちで過ごすんだろ?その力はインフラ整備に役に立つさ」


 「平和利用に使えるならいい事だよな、俺すげー頑張るから道路の名前はオリバー道路って名前にしてもらうよ」


 こうして二人は別れて少しの仮眠を取った後に夜明け前に作戦は開始される。


 まずはグライダー部隊が城門前に集まっている徹底抗戦派の上に燃える水をばらまきリリィが新型の杖で光線をばらまく、あちこちで火の手が回り蛮族が混乱する中とうとう、新型カタパルトが雄叫びを上げる。カタパルトから放たれた約130kgの巨大な石弾は、凄まじい初速で放物線を描きながら城壁を破壊する。


 地鳴りのような大音響と、飛び散る石の嵐が舞う、オリバーの剛力の力で並べられた数台のカタパルトから次々と大岩が発射される、空からは破壊光線、陸からは高速で飛来する大岩で城門付近の厚い石造りの城壁が一瞬にして「ただの瓦礫の山」へと変えてしまった。


 そして空からリリィが舞い降りて来る。


 「将軍が逃げた合図の狼煙が上がってる、特殊部隊のグライダー部隊はもう飛んだみたい、私達も行きましょう」


 「よし、行こう。あ、リリィ悪いんだけど行く前にこいつらに無事を祈ってやってくれ、リリィの事を勝利の女神だと思ってるみたいなんだ」


 「そう?わかった。思いっきり祈るね」


 リリィは祈る様に少しうつ向き加減から話し始めて最後は顔を上げて笑顔で兵を鼓舞する、リリィは幼い頃からの経験で自分がどういう行動を取れば男性が喜ぶか本能的に学んでいるのだ。


 「みなさんのご無事をお祈りしております、どうかご武運を.....」


 カタパルト周辺に集まる兵から歓声があがり士気もあがる、そしてリリィとオリバーは二人乗りのグライダーで逃げ出した将軍を追う事になる。


 次回は蛮族の将軍側の視点での話になります、追い詰められた将軍は何を思い何を決断をするのか、長年信用していた側近がまさかアヤノのスパイだったと知った時どう反応するか、次回をお楽しみに。

 


 ここまで読んでいただきありがとうございます。

新型カタパルト「ウォーウルフ」の初陣、いかがでしたでしょうか。空からの猛攻と陸からの一撃、これまでの努力が確かな戦果として結実しました。


 そして将軍は、砦の外へと逃げ出します。追うオリバーとリリィ。しかし彼を長年支えてきたはずの側近が、実はアヤノの間諜だったとしたら?


 次話は蛮族側、将軍の視点でお届けします。追い詰められた男が何を思い、何を選ぶのか。ぜひ見届けてください。 


 「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひ【お気に入り登録】をお願いします。更新のたびに通知が届きますので、この先の展開もお見逃しなく。

評価や感想も、大きな励みになります。よろしければお気軽にどうぞ。

次話もお楽しみに。

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