13話 挑戦
緩いです。
「何食べたい?」晶が尋ね、
「なんでもいい」と真面目な顔で晴が応える。
「俺も〜」
二人とも自分の食の好みすら把握していない。
けれど不思議と困った顔をしていなかった。
立ち上がって砂を落とす
「とりあえず....マク、ドナルドとか?」
言い慣れていない口調で晴が言った。
「…行ったことない?」
気まずそうに目を逸らす
「勉強してたから」
「...また、初めて貰えてうれしい♩」
晴が照れて前を歩く
「エスコートして」
チェーン店に不釣り合いなセリフだった。
「仰せのままにっ」そう言って晴の前に出て、手を差し出す。
その手に手を置いて一緒に歩きだした。
最寄りのマクドナルドまで歩いて15分。
早朝マックの店内はガラガラだった。
メニューの写真を食い入るように見ている
「こんなに種類あるの」
「そうだようまいよ〜...俺もあんま来ないけど」
「そうなんだ」
指でひとつずつ辿りながら
「これ......チーズバーガー?」
「うん。」
しばらく見つめて
「これにする」
「じゃあ同じので」
注文して、トレーを持って席に着く。向かい合って座ると、ようやく日常の欠片みたいな光景になった。
包みを開ける手がもたついている
慣れていないのだ。こういう、ただの朝食に。
晶は包みをかさりと開け、晴が開けるのを待つ。
晴も、見よう見まねで開けて
「「いただきます」」
一口かじる「「むぐっ」」
もぐもぐと噛んで目が少し大きくなった
「おいしい」晴が微笑む。
「おいしいね」と晶が微笑み返す。
夢中で食べている。晴の口の端にソースがついていた。
「ついてる」と取って舐める。
晶は自分の口にもついてることに、気づいていない。
手を伸ばして晶の口元を親指で拭った
「お返し」
「...はず」と晶が頬を赤らめる。
晴はにこっと笑って自分も恥ずかしくなったのか耳が赤くなる。
店員がカウンターの奥からちらりとこちらを見て微笑んだ。
二人とも黙々と食べて、あっという間になくなった。
晴は、空の包みを見下ろして
「もう終わり......」と寂しそうに言った。
「また来よう、今度はちがうやつ」と晶が言うと
「うん。また来よう」と嬉しそうに言った。
晶が頷く。
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