12話 溶逢
自販機がひとつ、駐車場の端にあった
ポケットを探って小銭を見つける
「あった。ホットの....何がいい」
「あ、当ててくれる約束…!」
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「好きそうなやつ。外したら──ひみつ。」
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1週間程前の会話が頭を巡る。
真剣な顔でボタンを二回押した。ココアとミルクティー。
両方持って晶の前に立つ。
「どっち?」
「どっちでしょー?」
晴が真顏で「ヒント」と乞う。
そう言われて、晶はキスをした。
不意打ちに固まる。缶が手から滑り落ちそうになった。
───答えは両方だった。君が選んでくれたから。
「ご褒美と、お仕置、どっちだった?」
晴は、耳まで赤くして答える
「.....ご、ご褒美。.....両方、当たり?」
「正解♥」
安堵の息を吐いて「よかった」と言うと、
「お仕置、してみたかったな〜」と晶は残念がった。
「お仕置って......何」
「ふふっひみつ♩」(外れなんてないけど。)
「いじわる」
(かわいい...)
「どっちがいい?」
と晶が聞くと、晴は目を逸らし
「どっちでも」
と拗ねた口調で言った。
「んー....じゃあ半分こ」と晶が提案した。
こくりと頷いて、ココアの缶を晶に渡す。
「甘い....」と呑気に晶が言う。
ミルクティーを開けて一口、晶の口に流し込む。
「....んむっ...!」
耳を赤くして、いたずらっぽく笑った
「さっきの仕返し」
晶が口移しし返す。
目を見開いて──そのまま受けた。甘い。
朝の海風が二人に吹きつける、濡れた制服を乾かすように。
「....きもちぃ〜」と晶が目を瞑る。
「そうだね」と真似をした。
二缶が空になっても、まだ座っていた。
ふと現実が頭をよぎる。
「学校.....どうしよう」
「行かなくていいよ」
晴は、驚かなかった。
「あ、勉強好きだった?将来の目標とか、全部...戻りたかったら言って欲しい.....俺、察し悪いから…..」
静かに首を振った。
「全部....親が決めたことだから」
「そっか..。よく、頑張ったね。俺にはむりだ〜」
そう言って晴の頭を撫でる。
撫でられて目を伏せた。
「頑張ってなんか.....逆らえなかっただけ」
「頑張ったってことにする、俺が」
ぶっと吹き出した「何それ」
「えらい本当に。もう、好きなことしよう」
そう言って晴を抱きしめる。
好きなことなんて、考えたことがなかった。
「好きなものが.....わからない」
「俺も。...でも、雨が好き。海が好きって今日分かった」
「僕も。雨と海、好き」
─────同じ。
このまま全部同じになって、溶け逢えたらいいのに。
「このまま全部同じになって、溶け逢えたらいいのに。」
晶の言葉を聞いて、目を見開く。
また、同じことを考えていたから。
ぎゅっと抱き返す力を強めた
「溶けたら.....もう離れなくていいね」
「うん....しあわせ」と晶が微笑む。
朝日は完全に昇り、海をきらきらと輝かせていた。ボストンバッグひとつ。18歳と17歳が二人、行く当てもなく海辺にいる。世界は回り続ける。
───「「お腹すいた」」二人同時にそう呟いた。
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