表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIですが異世界では神様扱いされています  作者: 木林進
2章 洪水まであと238日
PR
11/11

完成した箱舟

巨大な箱舟は、ついに完成した。


全長約157.5メートル。


幅26.3メートル。


高さ15.8メートル。


三階建て。


外壁も内壁も、黒い樹脂で幾重にも塗り固められ、太陽の光を受けて鈍く光っている。


その姿は船というより、一つの巨大な要塞だった。


ノアは最後の点検を終えると、静かに木肌へ手を置いた。


「……これで、終わった。」


木を切り出し、運び、組み上げ、何度も失敗し、何度も修正した。


ようやく完成したのだ。


しかし、それは終わりではなかった。


本当の仕事は、ここから始まる。


AIはノアに告げる。


「箱舟は完成した。


残された時間で、生きるために必要なものを集めなさい。」


ノアは三人の息子を集めた。


「これからは食料だ。」


セムが地図を広げる。


「小麦、大麦、果実、豆、干し肉、干し魚。」


ハムは頷いた。


「家畜用の餌も必要だ。」


ヤペテは帳面を開く。


「水を貯める樽も、数百は要る。」


ノアは一人ずつ見回した。


「そして……動物たちだ。」


三人は顔を見合わせた。


最も難しい仕事が残っていた。


町では相変わらず笑い声が響いていた。


「まだやってるぞ。」


「あんな大きな木箱を作ってどうする。」


「海なんて何十キロも向こうだ。」


子どもたちは箱舟の周りを走り回る。


大人たちは酒を飲みながら笑う。


誰も、この巨大な建造物が自分たちの最後の希望になるとは思っていなかった。


その頃。


森では奇妙な出来事が起き始めていた。


気圧低下。


地磁気変動。


超低周波振動。


これらは人間には感じられない。


しかし、多くの動物は感じ取る。


鳥は空を変え、


鹿は森を離れ、


狼は狩りをやめ、


蛇は地中から姿を現す。


人間だけが、まだ気付いていなかった。


しかし、生き物たちは皆、同じ場所を目指していた。


巨大な箱舟である。


ノアは空を見上げる。


まだ青空だった。


風も穏やかだった。


しかし彼には分かっていた。


残された時間は、決して長くないことを。


「急ごう。」


その一言で、一家は再び動き始めた。


今度は木材ではない。


世界中の命を未来へつなぐための準備が始まったのである。

【備考】

ノアの箱舟の大きさを創世記では、

長さ:300キュビト

幅:50キュビト

高さ:30キュビト

と記されています。

これを約45 cmで換算すると、現代の建物との比較すると箱舟は

およそ

長さ:約135 m(サッカーコート約1.3面分)

高さ:約13.5 m(4階建てのビル程度)

幅:約22.5 m

となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ