ブレイブフォン 第12話
ジェイス「はぁ〜、疲れた…。それにしてもカレッジシティまで歩いて行くことになるなんて…、本当に最悪だ…」
休息所で服が乾くまで眠っていたブブだったが、その休息所に何やらブブより少し上ぐらいの男が近づいてきた。ブブの来た街道とは逆方向から来ていたが…、カレッジシティを目指しているとはどういうことなのだろうか…。
ジェイス「はぁ〜〜、マジで疲れた…。どこかに休める場所ないのかな〜…ってうん!、あんなところに立派な宿屋があるじゃないか〜。ちょうどいい、ちょっと休ませて貰おう。ついでに何か飲み物でも貰うか…」
その男は緑色の髪をしていて、耳に届かないくらいの長髪、俗に言う坊ちゃん刈りのような髪型をしていた。前髪は少しオシャレに決めていて、額の左側の辺りで左右に分かれていた。かなり手入れされているようで、少しナルシストの様な雰囲気をしていた。
ジェイス「うん…、外に洗濯物が干してある…。へぇー、俺以外にもこんなところに立ち寄ってる奴がいるのか。……すみませ〜ん、誰かいませんか〜…って、ええ!」
その男は休息所の中に入っていくと中には赤い髪の長いポニーテールの女が裸で寝ている姿が目に入り、かなり驚いた。体に巻いていたであろうバスタオルは完全にはだけて床に落ちており、その女は仰向けになって大きな口を開けて寝ていた。
ジェイス「な、なんでこんなところで女の人が素っ裸で寝ているんだ。しかも割と可愛い…って、んん!」
遠くから見ていたため気付かなかったのだろうが、良く見るとそれはブブの姿だった。近づいてみると仰向けに寝ていたため、男にしかないはずのものが丸見えで、その男は再び声を上げて驚いた。ただ今度は先程より少し怒っている様子だった。
ジェイス「くっそーーー、なんだよ〜、良く見ると男じゃないか。おーい、早く起きろ。タオルが完全にはだけてるぞ」
女性の裸を見られると思い期待していたのかブブが男だと分かると不機嫌になってソファーを蹴っ飛ばして起こそうとした。その衝撃でブブはソファから転げ落ちてしまった。
ブブ「…!、う、うわ〜。…痛って〜、何すんだよ〜…って僕裸じゃないか…。…って誰だよあんた。この変態」
ジェイス「へ、変態…。お前が自分から素っ裸になって寝てたんだよ。外の服ならもう乾いてたから早く服着て来いよ!」
ブブ「あ、そうなの。ありがとう。じゃあすぐ着てくるよ」
ソファーから落とされて怒っていたブブだったが、服が乾いていたことを教えられるとすぐにそんなこと忘れて外に服を着に行った。
ジェイス「くっそー…、何なんだあいつ…。モスヴィレッジにて名誉あるブレイブフォンの所有者に選ばれたこの僕にむかって変態とは…。ふん、後でこの僕の凄さをたっぷりと教えてやるか…」
その男は何やらブレイブフォンという言葉を口にしていた…。もしやブブ以外に所有者に選ばれた者なのだろうか。だとするとブブは早速所有者同士のバトルに巻き込まれるかもしれない…。
ブブ「あれ〜、これまだ半乾きじゃないか〜。まぁ着れないことないから別にいいけど…。そういえばあいつ何者なんだろう…。なんかちょっと異質な雰囲気出てたよな〜。もしかしたら凄い奴なのかも…」
タオルを巻き直し外に出たブブは周りを確認してその場で服を着替えだした。どうやらまだ半乾きだったらしく、少し肌触りが悪かったようだが、着る分にはもう十分乾いていた。服を着る途中でブブは先程宿に入ってきた男のことを考えていた。何となく特別な雰囲気を感じ、中に入って話を聞いてみようとブブは宿へと入っていった。
ブブ「さっきはごめ〜ん。実はちょっと前に近くの川に落ちちゃってさ〜。ここで服が乾くまで休んでたんだよ〜。僕はブルー・レイブン、ブブって呼んでよ。…で、君は?」
ブブは宿屋で起こされた男のことを知りたかったのか陽気な態度で宿の中へと入っていった。そして明るい声で自分の自己紹介を済まし、自然な流れで相手の素性を聞こうとした。
ジェイス「…!、あ、ああ。俺の名前はジェイス・ウォーレン、そのままジェイスって呼んでくれ」
ブブの親しげな態度につい乗せられた男は名をジェイス・ウォーレンと名乗った。
ブブ「よろしく、ジェイス。ところでジェイスは何でここに来たの」
ジェイス「…ふふふ、良く聞いてくれたな。何を隠そうこのジェイス!。昨日モスヴィレッジの村にてブレイブフォンの所有者に選ばれ、ブレイブピックを目指して今朝村を旅立って来たのだ」
どうやらモスヴィレッジでも昨日ブレイブフォンの所有者が選ばれ、ジェイスがその選ばれた者らしい。そしてブブと同じく今朝からブレイブピックを目指して旅をしているらしいが…。
ブブ「えっ…、こいつもブレイブフォンに選ばれた奴だったのか…。だから何だか特異な雰囲気を感じたのかなぁ…」
ジェイス「んんっ、今何て言った?」
ブブ「い、いや何も…。ただブレイブフォンに選ばれたなんて凄いな〜って…。何だか普通の人とは違うオーラを感じてたから…」
ジェイス「ふっ、そうだろう。今はまずこの辺りで一番大きい都市、カレッジシティを目指しているところだ」
ブブ「えっ…、でもモスヴィッレジから来たんだよね…。おかしいなぁ〜、カレッジシティに行くなら方向が逆だと思うけど…。この先の町はブレイブタウンだよ。僕はそこから来たんだ」
ジェイス「えっ!、確かカレッジシティに行くにはまずラノンタウンへ行かなければならないはず…。この先がブレイブタウンってことは…。しまった!、道を間違えた!」
ブブは自分もブレイブフォンに選ばれた者だということは隠したままジェイスと会話を続けた。どうやらジェイスもカレッジシティを目指してるようだが、道を間違えて全く正反対のブレイブタウンへの街道を進んできてしまったらしい。
ジェイス「くっそーーー!、この俺としたことが道を間違えるなんて…。今朝寝坊して慌てて飛び出したせいで方向感覚が狂っていたんだ。…急いで戻らないと」
ブブ「…!、まあまあ、そんなに急かなくても折角休息所に来たんだから少し休んで行きなよ。ほら、この休息所ジュースも置いてあるし…。それに折角偶出会えたんだからブレイブフォンの話について何か聞かせてよ」
ジェイスは道を間違えたことに気付き慌てて引き返そうとしたが、ブブはこれは好機だと思いジェイスからブレイブフォンやブレイブビックについて何か情報を聞き出そうと慌てて引き止めた。
ジェイス「…!、しまったぁ〜、ブレイブフォンの所有者だと教えればたとえ男であっても魅了してしまうことは分かっていたのに…。見ろ、彼の俺に対する羨望の眼差しを…。よし!、折角だから彼には俺の凄さをしっかり教えといてやるか」
ブブ「うん、どうしたの。やっぱり駄目?」
ジェイス「い、いや駄目だなんてそんな!。いたいけな少年の期待を裏切ることなど俺にはできない。よし、しっかりと俺の凄さについて教えてあげるから反対側のソファーに座り給え」
ブブ「凄さって…。僕はブレイブフォンについて知りたいだけなんだけど…。まぁいいや、じゃあ座るね」
ジェイスの言葉が少し引っかかたがブブはブレイブフォンの話が聞けるなら何でもいいやと思い、素直にソファーに座ることにした。だがこの選択はブブにとって痛い選択ミスだった…。
ジェイス「……での成績はずぅーっとナンバーワンでさぁ。だけど一人俺の下ナンバー2に付けてる奴が強者で、他の奴はぶっちぎりで突き放してたんだけど、そいつとはほぼ同等の成績で、最後までどっちがブレイブフォンに選ばれるか分からなかったんだ。まっ、俺は絶対自分だ選ばれると確信してたけどね」
ブブ「…う、うん」
ジェイスという男は見た目通りかなりのナルシストで、ブブにずぅーっと自分の自慢話ばかり聞かせていた。ブブはというと目的のブレイブフォンやブレイブピックの情報は全く聞き出せず、ただ永遠とジェイスの自慢話に付き合わされていた。自分から話を聞きたいと言った手前途中で断ることができず、もう1時間以上自慢話を聞かされていた。その自慢話によるとジェイスはモスヴィッレジの村でもう一人ブレイブフォンの所有者の候補者がいたみたいで、最後までどちらが選ばれるか分からなかったらしい。ただジェイスの性格から察するに村の人達は出来ればもう一人の候補者が選ばれて欲しかったのではないだろうか…。
ジェイス「で、発表会の当日、住民の大歓声の中俺が選ばれたってわけ。凄かったぜ。特にブレイブナンバーを持っている女性陣からは選ばれた瞬間から交換を嵐のように迫られて大変だったんだ」
ジェイスは自分が大歓声の中選ばれたと言っていたが、ブブは住民達が悲観のあまり大声で叫んでいただけではないだろうかと思っていた。ブレイブナンバーを迫られたいうのも恐らく嘘だろう…。ブレイブナンバーを持つほどのものがそんな簡単に番号を教えるわけがないことはブブの町で実証済みだった。
ブブ「へ、へぇ〜、それは凄いね…。僕なんて迫られるどころか自分から迫っていって逆に殴られたりしたのに…。それよりジェイスの貰ったブレイブフォンてどんなのなの?」
ジェイス「んんっ、ああ、そうだな…。折角だから特別に見せてやるよ…」
ブブ「ありがとう…」
ブブは流石にジェイスの偉そうな態度にイラついてきていた…。ブレイブフォンに選ばれたのは自分だって同じなのに…、何やら凄く見下されたように感じて自分もブレイブフォンを見せつけてやろうと思ったがもう少し情報収集を粘ってみようと思い今は堪えた…。
ジェイス「“ジャッジャ〜ン”、これが俺のブレイブフォン。綺麗な青色だろ」
ジェイスが取り出したブレイブフォンは綺麗な青色で、ブブの銀色のブレイブフォンと違って派手さはなかった。しかしその濃厚な青色に反して鏡のように透き通ったブレイブフォンは、見たものをまるで海の底へと飲み込んでいくように感じさせ、ブブを一瞬ヒヤッとさせた。
ブブ「…!、凄いね…、まるで深海へと引きずり込まれていくみたいだったよ…。ところで、ブレイブフォンにはどんな機能があるの」
ジェイス「そうだな…。まぁ、、皆知ってるだろうが一番の機能はブレイブナンバーっていう特殊な番号と番号交換すると、その交換した奴を自由に呼び出すことが出来るんだ。後は…僕もまだよく分かってないけど普通の携帯と変わりないんじゃないか…」
ブブ「そ、そう…」
どうやらジェイスがブレイブフォンについて知っていることもブブと大差ないようだった。それ知って今まで自慢話を聞いていた努力が無駄だったと分かりすっかり落胆してしまった。だが次の瞬間ジェイスが気になる言葉を言うのだった…。
ジェイス「そういえば…ブレイブフォンのメモリの容量は普通の携帯とは段違いで、現段階では測定不能で無限大ではないかと言われているとか…。そして極稀に不特定の場所で勝手にブレイブフォンにのみインストールされる未確認のアプリがあるとか…。正体不明の技術で他のブレイブフォンへのコピーも不可能だとか…。確かcannot be analyzed application…、通称CBAA、解析不能のアプリって言われてるらしい…」
ブブ「解析不能のアプリ…、それって誰が作ったの…?」
ジェイス「それが誰が作ったかも分からないんだ…。っというかそんな奴いなくて…、ブレイブウェーブの世界ではデーターが自動生成されるのかもって…、噂されてるらしい…」
ブブ「データが自動生成って…、それって自然が何かアプリを作ってるってこと…!。そんな…、木や花じゃあるまいし…、そんなことあるわけ…」
ジェイス「いや…、自然が作ってるっていうより…、むしろデーターが自然を作ってるいうか…。矛盾しているようだけど、何もないところにいきなり木や花が出現したり、目の前に急に料理が現れて実際に食べたやつもいるらしい…」
ブブ「なにそれ…、まるでこの世界がコンピューターの中にでもなっちゃったみたいだ…」
connot be analyzed application、通称CBAA、解析不能とう意味で呼ばれる特殊なアプリがこの世界には存在した。新聞やニュースを見ず、世界の情勢などに興味を持たないブブは知らなかったが、このアプリの様な存在はこの世界の人々なら誰しもが知っていることである。実はこの世界にはアプリだけでなく石や木等の自然物、それから家や冷蔵庫など人工物までデーター上で作り出され、ある時急にこの世界に物質として具現化する現象が何千年も前から起きていた。それらの現象は全てブレイブウェーブを介して起き、噂ではブレイブウェーブを牛耳っているブレイブ協会が起こしているか、もしくブレイブウェーブ自体が意思を持って行ってるかと言われていた…。
ジェイス「実際にはこのことに関して何も分かってないらしいけど…、歴代のブレイブピックの優勝者はほとんどこのCBAAを手に入れた者達らしいぜ。それがブレイブフォンにインストールされるかどうかは完全に運次第で、何が原因でどういう場所で起こるか全く分かってないみたいだ。完全にランダムってことだな」
ブブ「す、凄い…。そんなアプリが有るなら是非手に入れてみたい…」
コンピューターやゲームに関して目がなかったブブは、ジェイスの話を聞いて是非ともそのアプリを手に入れてみたいと思った。どうやらブレイブフォンに選ばれたことはブブにとってこの上ない楽しみとなりそうだった。
ジェイス「はんっ、何言ってるんだ…。ブレイブフォンも持たないお前がそんなアプリを手に入れらるわけないだろう。まぁ、そのアプリはこの俺のブレイブフォンにインストールされることになるだろうよ…。それも今まで出たこともない最強のアプリがな。まぁもしインストールされたら特別に見せてあげるよ。なぁ…、ブブ君」
ブレイブフォンも持たないくせにCBAAを手に入れると言ったブブが気に触ったのか、ジェイスは急に高圧的な態度になりブレイブフォンを持たないブブを罵倒した。今までの自慢話のこともあったが、何より最強のCBAAを手に入れるという発言にブブのゲーム魂に火をつけたのか…、次の瞬間とうとうブブはジェイスにむかってアレを取り出して見せつけた…。
ブブ「ふっふっふ…、これを見て驚くがいい…。でやーーーっ!、これが僕のブレイブフォンだーーーー!」
ブブのブレイブフォンはブブの魂の躍動に反応したのか何故か取り出す瞬間発表会の時のように急に輝きだし、まばゆい光を放ちながらジェイスの前に現れた。今まで情報収集のためジェイスまで遠慮して、我慢を強いられていたのがよっぽど苦痛だったのか、ブレイブフォンを取り出したブブの顔は驚くほどの凛々しさで、“ふっ”っと少し口を歪めて半笑いでジェイスを挑発するような目で睨みつけた。
ジェイス「なっ、なにぃーーっ!。その銀色に光輝く物体は正しくブレイブフォン!。お、お前もブレイブフォンの所有者だったのか…。そ、それにしても何て眩光なんだ…」
ブブ「ふっ、どうだ僕の銀色に輝くブレイブフォンは…。貴様の青いブレイブフォンとは桁違いの輝きだろう…。その通り…、今まで情報収集のため伏せていたが、この僕が昨日ブレイブタウンにてこのブレイブフォンを託されたブルー・レイブン、通称ブブだぁーーー!」
ジェイス「な、なに…。確かブレイブタウンの所有者はレイス・カーメイスで決まりだと聞いていたが…。まさかお前の様な奴が選ばれていたとは…」
ブブ「ふふ、確かにレイスの奴は強敵だったぜ…。だが最終的にはこの僕にブレイブナンバーを交換してくれと頼んでくるはめになった…。まっ、男の番号なんて聞いても仕方ないから断っちゃったけど…」
ジェイス「な、なんだと…、レイスとのブレイブナンバーの交換を断っただと…。こいつ…、かなりの実力者と見た…。ええいっ!、そんなことよりよくもさっきまでたぶらかしてくれたな…。この代償は高くつくぜ!」
ブブ「ふっ…、こっちこそお前の胸糞悪い自慢話を小一時間も聞かされてたんだ…。思いっきりスカッとさせてもらうぜ」
ジェイス「なにを〜。ならばっ、貴様にブレイブバトルを申し込んでやる!。まさか逃げやしないよなぁ…」
ブブ「ブ、ブレイブバトルゥ…!」
ジェイスと口論になってしまったブブは、ブレイブバトルというものを挑まれてしまった…。なんのことかさっぱり分からなかったブブだが、果たしてどうなってしまうのであろうか…。




