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テンタ・モードン4-1

 6つ目の村を滅ぼしたところで、壁にぶち当たった。と言うか、現実が見えてきた。

 いや、前々から薄々解ってはいた。

 「使役」のスキルを使って魔獣達を率い、その魔獣達が他の魔物共を倒していく中で、さらに「使役」できる魔獣達が増えていく。

 今ではその魔獣達が、150匹を超えるまでに膨れ上がっている。

 皆、俺様の言う事をよく聞くし、長い付き合いの奴はかなり強くなっている。その中でも一番最初からいっしょにいる犬が最強で、リーダーとして他の魔獣達をまとめ上げるとともに、いつも俺様の傍を離れず、俺様を守っている。

 村なら、いくらでも潰していける位には強い、まさに軍団になっている。

 しかし、それでも、この戦力で町を攻め落とすことは出来ないだろう。

 今まで6つの村を滅ぼし、2,000人近い人族を皆殺しにしてやったから、ダフト王国中で大騒ぎになっている。これまでに寄って来た町の住民の噂話や、そこで買った新聞から得た情報なので間違いない。

 しかしその大騒ぎは、何が起きたのか解らないのと、次に自分たちの住んでいる場所で起きるかもしれないという二重の恐怖があるからだ。

 襲う俺様達からすれば、今の魔獣達の数では、人口が1000人未満と少なく、防衛力も無いに等しい村でないと皆殺しにできない。

 皆殺しにできなければどうなるか?

 例えば、襲った村で誰か一人が生き残ったとしよう。

 俺様は魔獣達が村の住人を皆殺しにするまでは村に入らないようにしている。そんな俺様が全員殺したと勘違いして村に入り、その俺様の存在を村の生き残りが目撃し、それが領主や国に伝わると、魔獣達を「使役」している者が存在することに気付かれる可能性がある。

 そうなれば、国軍や雇ったハンター達を差し向けて、魔獣達を「使役」している者を全力で討ち取りさえすれば、「使役」されていた魔獣達は四散する。

 少なくとも俺様ならそうする。

 そうならない為には、襲った村の住人達と、その近くで俺様達を見た者は、全て殺しておかなければならない。

 そのため、100や150匹程度で襲えるのは、村レベルに限られてしまう。

 住人が何千人もいて、周囲を硬い城壁に囲まれている町レベルになると、俺様たちの戦力では手が出ない。町に入り込んで多くの人族を殺せたとしても、町の住人全員を殺すのは難しい。いや、不可能だ。

 それでも俺様を馬鹿にした人族を殺すのは楽しくて仕方がないので、襲えそうな村が無いか探しながら、ハンターのいなさそうな森の深い部分を移動する。

 それも、150匹もの魔獣達が一所(ひとところ)に留まれば、餌として近くの魔物共を喰い尽くしてしまうので、常に移動していなければならない。

 今の魔獣達の軍団が数千匹まで増えれば、国軍とだって戦えるだろうし、町だって滅ぼすことが出来るだろう。

 しかし、そこまで増やすのに何年かかるか?その間、どうやって誰にも見られないように過ごすか?

 そんなことを考え、妙案も浮かばないまま、気が付けばカイデン領に入っていた。

 ここの迷宮には、1年と少し前に痛い目にあわされた。今思い出しても腹が立つ。

 腹いせにカイデン領にある村の住人を皆殺しにしてやろうと思い、一つの村の様子を遠くから窺ったが、カイデン領は、村の住人が居住しているエリアも比較的頑丈な城壁で囲んでおり、しかも俺様達(という表現が正しいかどうかは不明だが)への警戒か、領軍の小隊とハンターの集団が、警戒のために各村に詰めているようだ。

 やってやれないことは無いと思うが、戦いの最中にでも救援要請が他の町に走り、俺様達の存在が明るみに出る危険性がある。

 そんなことから、カイデン領で事を起こすのは諦め、再び森の中を移動し始めた。


 ふと、魔獣達がいつもより騒がしいのに気付いた。

「ヴァウッ!!」

 俺様の横にいる犬もそれに気づいたのか一声大きく吠えると、俺の周囲にいた古参の魔獣達が急いで前方に移動し始める。

 俺様も何が起きているのか確かめるために、その後を急いで追う。

 少し走った先で見たのは、二人の若い女が俺様の魔獣達と戦っている光景だった。

 一人は犬の獣人族。短槍で戦っている。

 もう一人はエルフ族。魔法で戦っている。

 二人ともかなり若い。駆け出しのハンターだろうか?

 いや、あいつら、見た目の若さの割にかなり強いぞ。それどころか、俺様の魔獣達が次々に倒されている。どうなってるんだ?

 獣人族の女は、木の多い森の中だというのに、2M(メタ)程の長さの槍をかなり上手く使っている。その上、こちらの攻撃の合間に、槍で衝撃波?斬撃?刺突撃だったか?も放ってくる。

 エルフ族の女は、「土魔法」だと思うが、土から小さな塊を生み出しては、それを高速で放ってくる。弱い魔獣達は一発で身体を貫かれ、すぐに動かなくなっていた。

 恐らく、もう30匹以上は俺様の魔獣達が殺(や)られているだろう。

 茫然としていると、ふと、獣人族の女と目が合った。

 まずい。見られた。

 こいつらは絶対にここで始末しなければならない。逃がしてしまうと、俺の存在がハンターギルドに伝えられ、そこから国へも伝わり、ハンターと国軍による討伐隊が編成されるだろう。

 俺様にしてみれば2,000人も殺していないので、まだまだこれからと思っているが、新聞の記事の書きぶりだと、国としては最優先課題になっているだろう。

「数で押せ!」

 たった二人に同時に攻めても、物理攻撃をしている味方に魔法攻撃を当ててしまう等、碌なことにはならないので、魔獣達が数匹ずつ順番に攻撃をしていたのだが、このままでは俺様の大事な魔獣達が殺られるばかりだ。

 なので、もっと多くの魔獣達で、攻撃と攻撃の間隔を極力開けないように攻撃の密度を上げさせる。

 それでも二人のハンター達にダメージを与えることが出来ない。

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