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アルト2-4

 で、この件についての原因調査というのが、ギルドからの依頼の内容だ。

 依頼というのは、達成できればその難易度に応じた報酬を得ることが出来るが、失敗した場合は違約金を課され、評判も落ちるし、ギルドへの貢献度もマイナスになり、次の昇格が遠のいてしまう。

 こんな、いつ、どこで起きるかわからないような事象の原因調査なんて、達成できるわけがない。

「その件はまた今度な。今日はウチ等、午前中しか時間無いけん」

 ナイスだ!マール。

「え~~~~っ! はぁ~、わかりました。

 次来たときは絶対お願いしますね」

 これはしばらくギルドに近寄れないな。

 私達はギルドを出て、昼御飯用の弁当を買って森に向かった。


 いつものように、森の中の迷宮の入口よりも深い所で、マールと二人で狩りをした。そろそろ昼食のための休憩だ。

 迷宮の入口付近だと、迷宮の中の魔物等(ら)よりはかなり弱い奴等しか出て来ない。それでも、以前は私達二人掛かりでやっと倒せる程度だったので、他のハンターを見かけたことは無い。

 しかし今では結構強くなれたので、森の深い部分まで来ている。この辺りだと、迷宮の魔物等よりも少し弱い位の魔物等と遭遇するので、その分、ここで狩った魔物等の肉や素材は高く売れる。

 今日も既に熊と黄金猪を1頭ずつ仕留めている。熊は皮と内臓が、黄金猪は皮と肉が高く売れるので、1日の成果としては十分だ。

 どちらも毛皮に傷を付けると値段が落ちるので、私が殴ったり蹴ったりして弱らせたところで、マールが眉間にウォーター・アローを打ち込んで止めを刺す。

 どちらも最初は私達を殺すために襲い掛かって来るので迎撃するだけなのだが、殴り続けるうちに逃げ始めるので、途中からは追いかけて殴ったり、追いかけて蹴り飛ばしたりと、倒すのに結構時間がかかる。広範囲に走りまわるので、私は平気でも、マールはすぐに息が上がって辛そうだ。今も肩で息をしてるし、汗もかいているようだ。

 ファル君から借りている懐中時計、紐で首にかけて服の中の胸元に入れているようだが、それを取り出して時間を確認しながらマールが言う。

「もう12時過ぎとるわ。そろそろ昼ご飯にしよか。

 あ~~っ、疲れた。ウチも少しは「持久力」上げないかんかなぁ。止めを刺すためとは言え、一緒に走り回るんは骨が折れるわ。やっと座れる~~っ。

 はぁ~、よっこいしょ。

 まずは「浄化魔法」で身体をきれいにして。

 汗かいて喉が渇いたわ。水飲も。

 はぁ~、滲みるわ~。ホンマは冷えた酒が良(え)えんやけどなぁ。しゃあ無いわなぁ。

 さて、今日の「日替弁当・上」のおかずはは何かな?おおっ!ローストビーフと魚のムニエルやん!美味(うま)そう。益々酒が欲しなるな。

 アルトはお昼、何にしたんやったっけ?」

 マールは狩りの時以外は、本当によく喋る。

 見た目はパンとワインを静かにいただく、というイメージなのに、お米とビールが大好き。

 座るときにもおっさん臭い掛け声をかける。

 この世の「美」と言うものを全て集めたのではないかという見た目をしているのに、言動が悉く見た目を裏切る。

 食べてる間もずっと喋り続けているのに、殆ど喋らない私と同じくらいの時間で食べ終わるのが不思議。

 そしてマールは、余程の事が無い限り、昼食後は15分程昼寝をする。これが効いているのか、午前中にどれだけ疲れていても、昼寝から起きると嘘みたいに元気になっている。

「さぁ、頑張るでー!」

 マールがいつものように気合を入れたところで、魔物か何かの気配に気付いた。

 アイテムボックスから槍を取り出して、しばらくその方角を警戒していたが、時間が経つにつれ、感じる気配の数が多くなっていく。

 取り敢えずマールとともに、木の陰に隠れて様子を窺うが、敵が匂いに敏感な魔獣であれば意味は無い。

 先頭の魔獣が茂みから出てきた。

 犬だ。私達に気づいているのか、既に唸っている。

 続いて猫が出て来た。えっ?猫?

 いや、それで終わらない。他の犬や狼、猿、猪等、様々な種類の魔獣が出てきた。

 それだけじゃない。空には大小の鳥の魔物が飛んでいる。

 まだ見えていないが、他にも100体位は魔物等の気配がする。

 おかしい! おかしすぎる!!

 普通魔物等は、同種でも縄張り争いで殺し合う。別種の魔物や魔獣であれば遭遇しただけで殺し合いになる筈。

 何故、こんなにも多種の魔物等が行動を共にしているのか?

 そこで、ふと思い付いた。

 少し離れた場所に隠れているマールを見た。

 マールも同じことを思い付いたのか、目を大きく見開いてこちらを見た。

 もしかしてこれが、このやたらと数の多い混成の魔物等の群れが、村を6つも全滅させたものの正体?

 しかし、どうやって? 何をどうすれば、これだけの魔物等の群れを統率できる?

 今見えている範囲では、私とマールで倒せない魔物や魔獣はいないだろう。

 取り敢えず一当てして、様子を見てみるか。もしかしたら何か情報が得られるかも。

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