ファルーサ・カイデン13-5
「いえ。家族にも、誰にも話したことはありません。
成人するまで、内緒でハンターとしてやっていけるだけの実力をつけて、ハンターになりたいと言った時に反対されないようにしようと考えてましたから」
マールさんが真剣な顔になる。
「ほな、これからも絶対、誰にも言うたらいかんで。
もし将来、ウチ等のパーティーに加わる奴がおったら、そいつだけはかまんけど、それ以外は絶対や。
もし、他の者がそのスキルを知ったら、ファルのことを利用して強うなったろう言う奴が出てくるやろう。
いや、ちゃうな。そんな奴はウチとマールで何とでもできる。
一番怖いんは・・・・・・・・・・」
マールさんの声のトーンが下がる。
「5,000年前の勇者のことは知っとるな?
ファルは多分、今の段階で、1級のハンターでも足元にも及ばんような力を持っとると思う。
人は、自分等が絶対敵わんような存在が現れた時、それが自分達にとって必要不可欠でなければ、必要不可欠な状況でなくなれば、それを恐れて、力を合わせてそれを抑え込んで、排除しようとする。
しかも人っちゅうんは他人の悪い噂が大好きでな。聞いた話をよう確かめもせんと、そのまま別の者に広めていく、頭の悪い奴等ばっかりなんや。
皆が皆そんなことないと思いたいけど、悲しいかな、それが歴史が証明しとる人の・・、この世界の人族の・・・本性や。
そやから・・・、絶対に・・・、他人に言うたらあかんで」
5000年前の勇者か。その例を出されると、確かにそのとおりと思わされる。
「わかりました。
誰にも話さないようにします」
「絶対だよ、ファル君。
これは、とても大事なことだからね」
アルトさんが、本当に心配そうな顔で念を押してくるので、頷く。
しばらく神妙な雰囲気になっていたが、急にマールさんがニヤリと笑う。
「ところでファル、聞いた限りやと物理でも魔法でもウチ等はファルの足元にも及ばんと思うんや。ウチ等もファルに頼れる部分は頼らせてほしいんやけど、良えかな?」
「勿論良いですよ。僕にできることならお手伝いします」
マールさんがまた、とても真剣な表情になったと思ったら、俺の返事を聴いて、今度は情けない顔になる。
「お願いや。魔法でトイレ出して」
神に祈るかのように頼まれてしまった。
ここまでの雰囲気が・・・・・。
残念な美人さんだ。
そして現在-
二人とも、会ったばかりの2か月前と比べて、とても強くなったように思う。
あれから週10日のうち、6~7日は一緒に迷宮で狩りをしていたので、その時は通常の20~30倍のSPを得られているから当然か。
一緒に狩りをしてない時は二人で森で狩りをして、そこで得た肉や素材をギルドに売ったら、結構な稼ぎになると言っていた。
そして今では、3人でボス部屋へのタイムアタックをするようになっている。
必ずしも連続ではないが、第1層、第2層、第3層の魔獣等ををそれぞれ2日かけて掃除して、その次の日はタイムアタックというローテーションだった。
しかし、初めて第3層に下りた時は、注意事項を伝えるのを忘れていて、2人が声を合わせて叫んだ。
「「くさっっっっっ!」」
すぐに「浄化魔法7」で2人を保護したのは言うまでもない。
そして今日、実は第2層用の新しい戦術を思いついて、準備をしていた。
魔力を7(「魔力が1,000加算される」)に、そして重力魔法を5(4「自身と仲間をを浮かび上がらせることができる」、5「自身と仲間以外のものを浮かび上がらせることができる」)に、それぞれレベルアップしておいた。
そしてその第2層で、おあつらえ向きに狼が10匹程現れた。
「僕に任せてください」
俺はそう言って、「重力魔法5」で狼達を10M位の高さまで浮かび上がらせる。
ちょっと足りないかな。もう少し。20M位。
そして一気に重力魔法を切る。
狼達は地面に叩き付けられて、1匹も動くものはいなかった。
「どうですか?昨夜思い付いたんですよ」
俺は褒めてもらえると思って2人の方へ振り向いたが、見えたのはアルトさんの困った顔と、マールさんの怒った顔だった。
「アホか? ウチとアルトのすること、何も無くなったやないか!
パーティー全員で協力して戦う言うたん、また忘れたんか?」
今日も怒られてしまった。




