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アウトゥイ・ウィアーズ2

 久しぶりにテンタ・モードンを見つけた。

 俺がこの大陸で蒔いている種はこいつだけではないので、各地を順番に見て回っている。

 最近はキーフィア帝国の帝都で見つけていた素材がうまく育ってきていたので、そいつをしばらく注視していた。そのため、テンタ・モードンからしばらく目を離していた。

 スラムに暮らす獣人族で、子供の頃から両親に虐待を受けていたらしく、屈強な体に反して、大人になっても親に対する恐怖心を持っていた。しかし、怒りも持ち続けていたので、そこをうまく突いてやったら、ある夜、両親を虐殺した。

 そのまま大虐殺を開始するかと思いきや、両親の残した僅かな金で欲望のままに生活し、金が無くなると強盗・殺人を行い、あっさり討ち取られた。

 己の欲望を抑えきれない頭の悪い奴は役に立たないな、と思いながら新聞を読んでいた6の月のある朝、ダフト王国のとある村が滅んだという記事を見つけた。

 その新聞によると、村の住民は全滅で、魔物や魔獣の暴走(スタンピード)が原因ではないかと書かれているが、俺は直感的に分かった。

 テンタ・モードンだ。

 ちょっと様子を見に行ってみるか。


 暑くなったと思ったら、8の月も半ばになっていた。

 少し時間はかかったが、やっと見つけた。

 きっかけはまたまた新聞だ。ダフト王国のある町で読んだ新聞に、ニジェルと言う村が滅んだという記事があった。

 ダフト王国の北部、ゼントマイス領のニジェルと言う村で、300人余りの村人全員が一人残らず魔物共に殺されたらしい。

 2か月くらいの内に2つも村が滅んだことから、王宮から全国の領主に、魔物共の動向に注意するよう通達が出されたようだ。

 それを読んだ俺は、取り敢えずゼントマイスの領都に行き、そこを中心に周囲の森を上空から、俺の使役する鳥の魔物と手分けして探索した。

 テンタ・モードンも魔物共を「使役」していたので、今では多くの魔物共を使役している筈。その魔物の集団を誰にも見つかることなく維持し、活動し続けるとなると、森の深い部分を常に移動し続けているだろうとの予測からだ。

 予測通り、彼等はニジェル村から南東方向の森の中にいた。

 ただし、彼らを見つけた時に、俺の使役する鳥の魔物は、彼の使役する鳥の魔物等(ら)によって殺されてしまった。

 一般的に、魔物共は人(ひと)族に対しては容赦無く襲い掛かって来ると言われているが、それは正しくない。

 元来、魔物共は仲間ではないものは排除する。同じ種であっても、仲間でなければ縄張り争いが起きるので、命懸けでの生存競争をする。

 何故人族が自分達だけが狙われていると誤解しているかと言うと、人族を倒した時に得られるS(スキル)P(ポイント)が高いことを自然と知っているため、魔物共が見つけた人族を我先にと襲うからである。

 俺の使役する魔物は、彼の使役する魔物等に殺されたが、その前に感覚共有で彼等の場所は把握できていたので、そこに向かった。

 ただし、彼の魔物共に察知されないように高高度を飛行して。

 彼の魔物共の集団は、森の中なので上空からは正確に把握できないが、100匹を軽く超える規模になっている。

 最早集団ではなく、軍団レベルだ。

 その軍団の中には、元から彼に寄り添っていた大きな犬に加えて、爪長灰色熊(ロング・クロウ・グリズリー)や大猿(ビッグ・エイプ)、氷狼(アイス・ウルフ)等、通常、使役できる筈のない魔獣なんかもいる。

 王国も国軍を各領に送り、各領も領軍を領内の町や村に送り、ハンターギルドも王国からの補助金を財源とした領主からの依頼を受け、ハンターを町や村の防衛に当たらせているが、これだけの魔物共の軍団相手では、止めることは難しいだろう。

 ふふ・・・・・。

 テンタ・モードンは期待以上に育ってくれたなぁ。

 また、多くの人族が死ぬところを見せてもらえそうだ。

 くくくくく・・・。楽しみで仕様がない。

 彼等はこのまま進めば、ホウステュータス領に入るだろう。ここの領主も領地の現状維持が精一杯で、大した統治は出来てないとの噂なので、領軍が出てきたとしても大したことはないだろう。


 5日後の夜、テンタ・モードン達は、人口500人位のシャッテオアス村を襲った。

 案の定、領軍の兵士もハンターもそれぞれ10人程度しか詰めていなかったので、全く相手になっていない。

 他の町へとつながる道を、テンタ・モードンと最側近であろう犬が抑え、救援などは呼びに行かせない。

 村の出入口も全て魔物共が抑え、村人が逃げることも許さない。

 そんな村の中を、強力な魔物共が、村人を殺して回っている。

 村人の恐怖する顔が、絶望する顔が、苦痛に歪む顔が、あらゆる負の感情を俺に伝えてくれる。

 テンタ・モードン、お前は最高にいい仕事をする。こんなに良い気分になれたのは久しぶりだ。

 2時間くらい経って、村人を全て殺せたのか、魔物共が全て村に入って食事を始めた。食事と言っても、魔物共が喰うのは当然殺した村人達だ。

 さらに1時間が過ぎ、食事が終わった魔物共とともに、テンタ・モードンは再び森に入っていく。

 楽しいショウだった。

 俺も、しばらくは他国のことは放っておいて、ダフト王国に蒔いた種を中心に観察を続けよう。

 そうすれば、ちょくちょくテンタ・モードンの様子を見に来ることが出来るからな。

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