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マール2-4

 少し落ち着いたところで、ファルは? と思て探してみると、すぐ近くに居(お)った。

 え? アルトはともかく、ウチの全力疾走に付いて来たん? ウチも結構走るん早い方やと思てたんやけど、キミ凄いな。

 さて、弓を置いてきて無手に見えるやろうウチが、攻撃する素振りを見せずに、一番近いゴブリンにウォーター・アローを放つ。

 ホンマは指を向けたり、掌を向けて撃った方が狙いを付けやすいんやけど、これから魔法使う言(ゆ)うんがバレバレになるし、5M(メタ)から10M(メタ)位ならこれでも外さん。

 眉間を貫かれたゴブリンが倒れると、他の3体が揃ってそちらを見た。

 そんな隙をアルトが見逃す筈がない。一番近い奴に、まるで跳んだかのように近づくと、槍で胸を一突き、後ろ跳びにすぐに戻って来る。

 残り2体。

 何とか出来る。

 そう思た時、身体が急に重うなった。これ、今日2回目や。またビッグモスか?

 身体が痺れ、立ってられんようなって、片膝立ちになる。

 周りを見ると、アルトも槍に寄りかかってかなり苦しそうやけど、残りのゴブリン共も倒れて藻掻いとる。

 動かん首を無理矢理動かして周りを見回してみると、100M(メタ)は離れた斜め上空にビッグモスが2体飛んでて、こちらに向こて羽をはためかせとった。

 状態異常回復ポーションは・・、さっき使てしもた。これは・・・マズいかもしれん。

「僕がやります!」

 え? ファル?

 キミみたいな子に何ができるん?

 と言うか、ビッグモスの麻痺攻撃の中、何で動けるん?

 そんな疑問を持ちながら、もう口も動かせんので、ファルをじっと見つめていると、ファルを挟んで視線の先にいたアルトが、フッと安心したように微笑み、そして、へたり込んで倒れた。

 そのファルが、掌をアルトに向けると、次にウチに向けてきた。

 うん?

 身体が動く? と言うか、痺れが無くなっとる? こいつ、麻痺も回復できる?

 とか考えて、身体の具合を確かめようと、色々身体を動かそうとした矢先、ファルが弓を構えとるんが見えた。

 そうや。さっき、巨鳥が襲ってきた時も、こいつ弓で戦おうとしとった。鳥との戦いのドサクサですっかり忘れとったわ。

 それにしてもコイツ、その弓と矢はどこに隠しとったんや?

 と言うか、こいつ、そのゴツそうな弓引けるんか?

 それよりも、100M(メタ)は離れた斜め上空に居(お)るビッグモスに、矢が届くわけないやろ。

 なんて考えているうちに、

「ドンッ!!~~~ーーー」

 空気も地面も振るわせるような凄い音がした思たら、ビッグモスの1匹が弾け飛んで、矢はどこに行ったか見えんようになった。

「ドンッ!!~~~ーーー」

 もう1匹も、同じ様になった。

 次に、ファルが持ってたゴツい弓が消え、・・・違う、あれはアイテムボックスに入れたんや。そんで、まだ麻痺したまま、地面でピクピクしとるゴブリンに右手の人差し指を向けた。

 先の尖った小さな石が生まれたと思たら、これまた目に見えるか見えんかの速さでゴブリンに飛んで行って、その頭を貫く。

 最後の1体も同じように倒してしもた。

 そしてアルトの方に歩いて行って、上体だけ起こしてるアルトに手を差し伸べて、立ち上がるのを手助けする。

「ありがとう。

 また、助けてもらったね」

 アルトがにっこり微笑んでそう言うた後、ファルが私の方に来て、私に手を差し出す。

 私も立ち上がらせてもらおうと、反射的に手を差し出すが・・・

 ちょい待ちぃ!

 さっき巨鳥の衝撃波から、身を挺してあんたを庇たん、ウチやで!

 ウチを先に助け起こしてくれても良(え)んちゃうん?

 いや、それよりも、今の何や?「土魔法」の凄いやつか?12歳で何でそんなもん使えるんや?

 いやいや、そんな事より、さっきのは「状態異常回復魔法」違(ちゃ)うんか?何でそんなもんまで使えるんや?

 それよりもや。あんたと会(お)うてからこっち、魔法使いまくっとるけど、あんたの魔力量総量どないなっとん?

 色々どころやなく、一杯訊きたいことがあったけど、

「大丈夫ですか?」

ニコニコ笑ってウチを助け起こしてくれるファルの顔を見てたら、

「ありがとな。また今度、色々と話聞かせてもらうで」

としか言えんかった。

 くそぅ、何やコイツ?かわいい顔しよって。


 第1層の洞窟部分に戻って、迷宮の出口(入口?)が見えてきた。

 ここまでは1匹も魔物等(ら)は出て来んかった。

 あと20M(メタ)程で出口や言うとこで、ファルがウチ等に訊いてくる。

「ちょっと、トイレに行って良いですか?」

「え?ここの迷宮、トイレが有るん?」

「いや、今から作ります。ついでに着替えてきます」

 は? こいつ、何言よん?

 ていう顔をアルトがしてるということは、ウチも同じ様な顔しとんやろなぁ。

 そんなウチ等に背を向けてファルが床部分の地面に向けて手をかざすと、床から2M(メタ)四方位の箱が生えてきて、高さも2M(メタ)を大分超えたくらいで止まった。

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