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マール2-3

 上の層への階段を目指して3人で速足で歩いとると、後方から殺気を感じた。

 急いで振り返ると、巨鳥がすごいスピードで飛んで来よった。

 一番後ろにおったファルはと言うと、巨鳥に向こて、さっきまで持ってなかった筈の弓矢を構えようとしとった。

「阿保ぅ!早よ伏せんか!」

 ファルに後ろから体当たりした勢いで前に押し倒し、そのまま覆いかぶさってファルを庇う。アルトも既に伏せていた。

 巨鳥はウチ等(ら)目掛けて物凄い速度で急降下して来て、ウチ等の少し手前、と言うか地面とぶつかるギリギリのところで上昇を開始する。

 ドンッ!!

 上から何かを叩き付けられたような衝撃が襲ってきた。

 広げた翼の先から先までの間が、10M(メタ)を超えるような巨鳥の衝撃波や。全身の骨が軋み、意識を持ってかれそうになる。

 でも、まだこれで終わりやない筈。

 バンッ!

 やっぱりエア・バッシュが来た。

 こっちに向かって飛んで来てる時に放ったんが、鳥本体より遅れて届いたんやろう。鳥の魔物は皆「風魔法」得意やからなぁ。

 胸の辺りに痛みが走る。合わせ技で、肋骨の何本かに罅でも入ったんやろなぁ。

「あんたは伏せとき!」

 ファルにそう言って、痛みを堪えて立ち上がる。

 アルトはすでに立ち上がってて、再度こちらに向かって来ようと、高空を旋回している巨鳥を睨んでる。

 どうやってあいつを地面に引き摺り下ろしてやろうかと考えていると、ふっと痛みが消えた。

 アルトも同じだったらしく、二人して同時にファルの方を振り返る。

 ファルがウチ等それぞれに掌を向けていたので、ファルの「治癒魔法」やろう。

 再度鳥の方を確認したら、旋回を終えて、ウチ等の方に飛んで来るところやった。

 今度はちゃんと迎撃するで。来るんがわかっとったら、なんぼでも対応できる。

 飛んできた鳥の高度が一番低うなった辺りを狙て、アルトが槍を投げ、鳥が通り過ぎる。

 すぐに衝撃波とエア・バッシュが来るやろうから、それに合わせてウチがエア・バッシュ連発で相殺する。衝撃波を完全に消すことは出来んけど、ダメージ受けん程度には軽減できる。

 振り返って飛んでいく鳥を確認すると、錐もみしながら地面に墜落した。

 アルトの槍が、翼の付け根辺りに刺さったようや。

 ファルが衝撃の余波で転がっとるようやけど、すぐに止めを刺しに行かないかん。

 ものすごい勢いで飛んでたんが墜落したんやから、地面を滑ったり転がったりして、鳥はかなり離れたところで止まっとる。

 アルトとウチがそれに向けて駆け出した。ファルも起き上がって付いて来とるようや。

 しばらく走って近寄ってみると、巨鳥はもう声も出ん位に弱っとった。

 アルトが刺さってた槍を引き抜いて、改めて頭を突き、止めを刺す。

 残りの魔力量もかなり減っとるけん、後はすんなり帰れたら良えなぁ、と思いつつ上の層への階段の入口を探しとると、ファルが神妙な顔でやって来た。

「マールさん、僕のこと庇っていただいてありがとうございます。大丈夫ですか?」

 ちゃんとお礼が言えるんは、良(え)えことやな。ちょっとだけ好感度アップや。

「当然や。守ったる、言うたやろ。ウチ等は3級のハンターやで。一般の人守れんでどうするん。

 それに、ファルが魔法で直してくれたやろ。おかげで大丈夫や。

 こっちこそ、ありがとな」

 そう言うたら、ファルが「そんな」とか言いながら、少し照れとった。なかなか素直でかわいい子やん。無事に帰れるように、しっかり守ってやらんとな。

 あれ? ・・・・・

 何か大事な事、忘れとるような・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 まあ・・・、良(え)っか。

 再び出口を目指して歩き出す。


 あと200M(メタ)で上の層への階段の入口というところで、またまたゴブリンが現れよった。

 しかも、ご丁寧にウチ等が向かう方向に。

 数は・・・・・8体。多いな。

 まだウチ等に気づいてへんようやな。今の内や。

「危ないけん、前に出んようにな!」

 ファルに小さく声をかけて、弓を構える。魔法より攻撃力は落ちるけど、しぁあない。省魔力量や。

 1射目。

「ギャッ?・・・ギャアアアァァァ!!」

 1体に当たったけど、肩や。まだ倒せてない。他の奴等がこっちに気付いた。

 2射目。さっきの奴狙い。矢が腹に刺さる。これでもう動けへんやろ。

 他の奴等がこっちに向かって走り出した。

 アルトも奴等に向かって走り出した。

 3射目。走って来よる内の1体の胸に命中。すぐに倒れて転がる。あいつももう動けんやろ。残り6体。

 これ以上はアルトを誤射するかもしれんけん、弓を放り出してアルトを追う。

 アルトはすごい勢いで駆けて行ったかと思たら、槍を振りかぶり、先頭のゴブリンの首を一撃で刎ねた。

 と思たら、その勢いのまま、次に近い奴の胴に回し蹴り。そいつが吹っ飛んだ後で、まだ追いつききってないウチに、骨が何本も折れたのが分かる音が伝わってきた。

 それを見た残り4体のゴブリン共は急停止した後、ゆっくりとウチ等を囲むように動き出した。

 ゴブリン4体なら囲まれても困らへん。ゆっくり時間かけて、1体ずつ倒していったら良え。

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