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ファルーサ・カイデン12-4

 倒れていた弓の人が、手をついて立ち上がろうとするが、力無く崩れ落ち、勢いで仰向けになる。

 右腕にひどい怪我をしているな。そう言えば、さっき狼に噛み付かれていたっけ。

 慌てて、弓の人に駆け寄る。この人も女の人だ。

「あんたは何や? 魔物か? 人か?」

「人間です。怪我を治療します」

 訊かれたことに答え、「治癒魔法・小」をかけようと思ったが、この弓の女の人を噛んでいた狼の衛生状態がよかったとはとても思えず、菌や他の何かが身体に入って、後から何らかの症状が出てもいけない。

 まずは「状態異常回復魔法5」をかけて消毒(?)。

 次に「治癒魔法・小」で傷を治療する。傷はあっと言う間に塞がった。

 狼に噛まれた上に、地面を結構転がったのか、血や土などの汚れが髪、顔、服、体にこびり付いていたので、「浄化魔法5」と「浄化魔法6」もかけておいた。

 立ち上がって、しばらく体のあちこちを確認していた弓の女の人だったが、キッと俺の方を見て

「怪我を治してもろとってこんなん言うんも何やけど、君は一体何なんや?

 今、何かすごい魔法を何個か使(つこ)たみたいやけど、何したんや?」

 弓の女の人に訊かれたが、ここでのんびり話をしていると、また魔獣等(ら)が寄ってくる。

「とりあえず魔獣等が来ないところへ移動しましょう。話はその後で」

 そう言って辺りを見回すと、安全地帯の一つの目印として立てた石柱が1K(キロ)M(メタ)程先に見えたので、そこを目指して歩き出した。

 槍のお姉さんは素直に付いて来たが、弓の女の人は俺のことを物凄く警戒しているようだった。

 さて、この歩いている間に、「君は一体何なんや?」等に対する答えを考えなければ。

 俺が明日以降もこの迷宮に来るため、領主の息子だとバレず、かつ、この迷宮の存在がハンターギルドにバレないようにするためには、どう答えれば良いんだろう?

 獲得S(スキル)P(ポイント)100倍の俺のスキルは、恐らく普通の人と比べたら、12歳にしてはとんでもないことになってると思うから、そこも何とか誤魔化さないと。


 15分程歩いて、石柱に到着した。そこまでは、幸いにも、魔獣等に出くわすことはなかった。

 石柱の近くで3人して腰を下ろすと、お姉さん達は、まずはアイテムボックスから出したコップに「水魔法」で水を汲んで飲んでいる。激戦で喉が渇いていたんだろう。

 俺は何となく槍のお姉さんの方を見てみる。

 肩位までの長さの黒い髪、頭の上部両側に楕円形の大きな黒い耳。耳の中からはふわふわの柔らかそうな白い毛が生えてる。

 獣人族だ。

 肌は薄い褐色というか、赤と黄色と白を混ぜたような色というかで、大きな垂れ気味の目に黒い瞳。

 印象としては・・・・・

 かっ、可愛い~~~~っ。

 年上のお姉さんに可愛いなんて言うのも失礼だと思うが、可愛い~~~~っ。

 ふと、目線を下にやる。

 胸が大きい~~~~っ。

 無茶苦茶大きいとか、作り物じゃないのかと言うような不自然なモノではないが、存在感を周囲にしっかりと示せる(知らしめる)だけの大きさはある。

 胸部を金属片で強化した皮鎧を着ていても、その存在感は十分だ。

 いや、俺は何を考えてるんだ。見るんじゃない!失礼だろ!

 俺は意志の力を総動員して視線を外し、隣の弓の女の人を見た。こちらも若いお姉さんだった。

 背中の真ん中あたりまでの長さの真っ直ぐな銀髪を、首の後ろで一括りにしている。

 長くて先が尖ったような耳。エルフ族だ。

 白い肌に切れ長の涼しげな碧眼。

 すんっっっっっっごい綺麗な人。

 思わず視線が下に行き、ローブと言うのか、ダボっとした服を着たエルフ族のお姉さんの胸の辺りを見てしまった。

「君はなかなか、エッチな子やな」

 しまった!見てたのがエルフ族のお姉さんにバレた。

 慌てて視線を横に逸らしたが、その先にあったのは、獣人族のお姉さんの存在感溢れる胸だった。

 いかん!これでは変態と思われるかもしれない!

 そう思って、再度視線をそらしたが、それはエルフ族のお姉さんの胸の辺りに視線を戻しただけだった。

 うん? 胸の・・・辺り・・?

 あぁ、そうか。そこまで存在感が有るわけではないので、まだ、確実に胸を凝視したわけではない。

 セーフだ。 セーフか? たぶんセーフだ。

 いや、無いわけではないぞ。獣人族のお姉さんと比べると存在感が無い、もとい、薄いだけで、どこに胸があるかちゃんと分かる。

 比較対象が悪かっただけだ。

「何か、失礼な事考えとんちゃう?」

 ひえ~っ! 考えてることが読まれてる。

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