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ファルーサ・カイデン12-3

 時計を見ると、まだ14時だ。

 ・・・

 よし、もう一度確認に行こう。

 こっそりと確認して、もし本当に人だったら、残念だけどこの迷宮はあきらめて、これからは森の中で倒せる魔獣等(ら)でS(スキル)P(ポイント)を貯めることにしよう。

 そう決めた俺は、再び迷宮に入る。

 第1層は接敵することもなく、すぐに第2層に下りる。

 しかし、この広い第2層でどうやって探そう。

 そうだ。空を飛んで、向こうから見つからないように、できるだけ高いところから探せばいいんだ。

 早速「重力魔法」で浮かび上がって、「風魔法」であちらこちらと移動する。

 10分くらい探した頃だった。

 いた!

 見つけた・・・。

 残念ながら人だった。背中合わせになった女の人2人が、狼の群れと戦っている。弓を担いだ女の人と、槍を構えた女の人だ。

 俺の迷宮でのSP稼ぎは終わった。

 さあ、もう諦めて家に帰ろう。と思って、もう一度女の人達の方を見ると、どうやら7匹の狼に囲まれているらしい。

 苦戦してるのか?

 いや。近くに狼が3匹倒れているし、少し離れたところにも1匹倒れている。

 きっと彼女達は、実力のあるハンターなんだろう。

 それにしても、7匹の狼の内3匹は、背の低い草しか生えていない場所で戦っている彼女達を、少し離れた背の高い草が生い茂る場所からじっと見ている。

 もしかして、彼女達には、今戦っている場所にいる狼達しか見えてないんじゃないか?もしかして、マズいんじゃない?

 そんなことを考えていると、「探索」に反応があった。

 そちらの方向を見てみると、また大きな鳥が、今度こそ俺を目掛けて飛んできている。 

 が、まだ時間はあるので、彼女たちの方を見る。

 弓の女の人に3匹の狼が襲い掛かったが、弓の人はしゃがんで地に手をつき、土の槍を発動。3匹の内、2匹を貫いた。

 後の1匹は、それまで背中合わせだった槍の女の人が反転し、刺し貫いていた。

それだけじゃない。

その槍を引き抜く反動で、先程まで槍の人が向いていた方向、つまり真反対から跳びかかって来た狼を、槍の尾の部分(石突と言うんだっけ?)で突き、跳んで来た勢いが無かったかのように、跳んで来た方向に2M(メタ)程ぶっ飛ばし返した。

 それに留まらず、ぶっ飛ばした狼を追撃、5M(メタ)は蹴り飛ばした。

 残り、3匹。

 と思ったら、女の人たちは顔を見合わせ、やり切ったかのような雰囲気になった。

 これはマズい。やっぱり見えてない。

 いや、それだけじゃない。

 土の槍に突き上げられた2匹の内、1匹は腹の肉と皮の間を刺されていただけなのか、自重で皮が裂け、地面に落ちた後、血だらけの重傷ではあるが、弓の人に襲い掛かった。

 弓の人もそれに気づき振り返るが、腕で顔を守ることしかできず、腕に噛み付かれて、勢いで押し倒される。

 この時俺は、「助けなければ」という気持ちだけで、自分がここにいることがバレたら、とかいう考えが頭から消えていた。

 丁度、大きな鳥がすぐ近くまで来ていたので、その頭をウォーター・ガンで撃ち抜き、即死したであろうその鳥が女の人達の方に落下しないように首を右手で掴み、別方向に投げ捨てようとした。

 でも、丈の長い草に隠れていた3匹の狼達が、槍の人に向かって駆け出したのを見た瞬間、その方向に向かって、つまり斜め下に向かって急降下していた。

 間に合え~~~~~っ!!

 狼達が丈の短い草原に出た瞬間、俺は掴んでいた鳥を、狼達に思いきり投げつけた。

 それと同時に、地面がすぐそこに迫っていたので、「重力魔法3」を全力まで強めて制動力とし、ふんわりと着地した。

 狼達を確認すると、3匹とも鳥の下敷きになっていた。

 鳥は叩きつけた勢いで、仰向けで、羽が空に向かって広がっているような状態だった。

 これなら槍の人は無事だろうと考え、弓の人を見てみると、マウントを取っていた狼の下から腹の辺りに手を添え、ウォーター・ガンのようなもので撃ち抜いていた。

 俺もあれ、以前にやったなぁ。腕を噛みに来た狼の顎の下からファイア・アロー。頭から煙出してたっけ。

 そんなことを考えながら、すぐ近くにいる槍の人を見る。

 綺麗なお姉さんだった。

「天使・・様・・・・・ですか?」

 槍のお姉さんから訊かれたが、訊かれてることの意味が分からず、ヒントが無いか周囲を確認する。

 何もなかった。鳥の死骸が、力なく、徐々に羽を畳んでいるだけだった。

「えっ?」

 俺が槍のお姉さんに訊き返すのと

「アルト、大丈夫?」

 弓の人が話しかけてきたのは同時だった。

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