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ファルーサ・カイデン12-2

 4日連続で迷宮に来られた。

 1週間も王都に行って領都から離れていたので、お母様達もいろいろと忙しいみたいだ。

 迷宮の入口から第2層への階段まで、最短ルートを一気に駆け抜ける。

 流石に昨日まで3日連続で狩りまくっていたから、魔獣等(ら)は1匹も出て来なかった。

 さあ、今日からは第2層だ。また3日位はかかるんだろうな。

 第2層はいつもどおり、とても地下の迷宮とは思えない程に広がる青い空。

 どこかで魔獣等と戦っていれば、いつものように他の魔獣等が勝手に寄ってくるだろうと思い、とりあえず第3層への階段めがけて走り出す。

 あれ?「探索」に何も引っ掛からないな、と不思議に思いながらしばらく走っていると、遠くの空に大きな鳥が浮かび上がってきたのが見えた。

 やっと出て来たかと思い、走るのを止め、アイテムボックスから弓矢を取り出す。

 あの鳥もすぐに俺を見つけ飛んでくるんだろうと考えながら、その鳥に狙いをつける。

 距離は2K(キロ)M(メタ)強だろうか。

 普通なら、いくら「射程距離が格段に長くなる」「弓術6」でも、とても届く距離ではない。

 しかしながら、「風魔法」と併用することによって、2K(キロ)M(メタ)位なら軽いもんだ。

 「弓術3」により、遠くの鳥が拡大されたように、自然とはっきりと見えてくる。

 さあ射ようとした時、鳥の動きが俺の方向ではなく、俺より少し左に向かっているのが分かった。

 俺が狙われているのではないが、もうほぼ矢の射出にかかっていた俺は、瞬時に鳥の動きを予想して、狙う個所を補正し、矢を放った。

「ドンッ!!ーーーーー~」

 大きな音がして、矢が空気を切り裂きながらすごい勢いで飛んでいき、大きな鳥を貫いて、さらに遠くに飛んで行った。

 鳥はすぐに落ちた。

 俺を襲うつもりじゃなかったんだったら、倒さなくてもよかったのかな、と一瞬考えたが、ここには第2層の魔獣等を片っ端から倒すために来たんだった。よしよし。

 ところで、あの大きな鳥は、俺を狙っていたんじゃないなら、何を狙っていたんだろう? と思って左の方を見てみる。

 人がいた。人が2人いるのが見えた。

 ヤバい!

 俺がここにいるのが見つかる。

→お前は誰だと問い質される。

→領主の息子だとバレる。

→お父様やお母様達に連絡が行く。

→黙って迷宮に通ってたのがバレる。

→危ないと怒られて、迷宮行きを禁止される。

 ヤバい!ヤバい!ヤバい!

 何とかしまきゃ!

 ・・・・・・・・・・・・・

 そうだ。見つからなきゃ良いんだ。

 逃げよう!

 どこに逃げる?

 第1層に戻って、そのまま家に帰るか?

 いや、第1層への階段に向かうより、第3層への階段に向かった方が、あの人たちから離れられる。

 第3層に逃げ込もう!

 俺は全速力で第3層に向かって走り続けた。

 途中、たくさんの魔獣等が俺の方に向かって来ているのが「探索」で分かったが、「敏捷5」、「持久力5」、「体術6」で走り続ける俺に追いつける奴はいなかった。


 迷宮の入口に戻ってきた。

 あの後、無我夢中で走って、第3層への階段に辿り着いた。

 階段を駆け下り、第3層も、道を塞ぐ魔物以外は、見つけても脇を通り抜ける等して、すぐにボス部屋に入った。

 ボス部屋も、いつものボス達4体の上に、幽霊や魔獣の骸骨達がそれぞれ10体ずつ位はいたような気がするが、動揺してたためか、正確な数は思い出せない。

 ボス部屋の敵をすべて倒して、魔法陣に乗ってここまで戻ってきたが、やたら簡単に倒せたような気がする。

 「光の剣」が、やたら眩しかったような記憶があるので、過剰に魔力を流し込んでいたんだろうか?

 まあ、良い。少し落ち着いてきたので、色々考えることが出来るようになった。

 さっき第2層で見たのは、本当に人だったんだろうか?

 今までこの迷宮で他の人(ひと)族に会わなかったのは、この迷宮が誰にも知られていないからだろう。

 さっきのが人族だったのなら、きっとハンターなんだろう。

 あの人達から、ここに迷宮があることがハンターギルドに伝わり、ハンター達が大勢やって来るようになるんだろう。

 そうなると、俺はもうここに来られない。領主の息子が来ているのが、すぐにバレるだろうから。

 残念だが仕方ない。お母さま達にバレて、怒られるよりはマシだ。

 ・・・

 しかし・・さっきのは・・・・・本当に人だったのか?

 人に似た何かを見間違えた可能性は無いか?

 さっきのが人でなければ、ここに迷宮があることがバレることもなく、俺はまたここに来ることが出来る。

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