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テンタ・モードン3-2

 日が沈んだ。恐らく18時30分頃だろう。

 行動開始だ。

 本当に60匹程度の魔獣達で、200人の村を滅ぼすことが出来るのか、不安がよぎる。

 いや、憎い人族共を皆殺しにするんだ。まずは、こんな村一つ潰せなくてどうする。

 村は木で組んだ高さ2M(メタ)程の柵で囲まれ、村への出入り口は1つだけだ。

 その両側に松明が焚かれ、見張りが1人ずつ立っている。

 まずは蛾たちを送る。

 松明の明かりに誘われた振りをして近づき、見張りの風上から眠りに誘う鱗粉を振り撒く。

 しばらくして上半身がぐらぐら揺れだした見張り達は、そのうち倒れるように横になって眠ってしまった。

 俺様は魔獣達に命令する。

「行け!」


 襲撃の命令を出してから3時間くらい経っただろうか。

 俺様は、村で飼育(使役)されていた鶏の魔物を塩焼きにして、その硬いが旨味の詰まった肉を食っている。

 魔獣達も、そろそろ腹いっぱいになる頃だろう。

 村への襲撃にあたり、俺様は魔獣達に、「村人を皆殺しにするのが最優先。それが済んだら、喰うなり何なり好きにしろ」と厳命しておいた。

 見張りを眠らせた後、犬、狼、角ウサギ等に村の中に入らせ、外にいる者を殺させる。

 同時に猫やトカゲの火魔法を扱える魔獣達に、村の建物すべてに火を点けさせ、火災により中の者共を炙り出す。

 その間に、剣を持たせたゴブリンに、眠っている見張り達を殺させた後、村の中に送り込む。

 しばらくして家々に火が回り明るくなったら、普段は夜目があまり効かない魔獣達でも

周囲が見やすくなるようなので、追加で村に送り込む。

 村の出入口にはゴブリン2匹を配置し、出てこようとする者がいれば殺させる。

 全てがうまくいった。

 俺様は出入口から少し離れたところで不測の事態に備えつつ、成り行きを見守っていた。

 俺様の横には、すっかり俺様の護衛を気取っている、一番付き合いの長い犬がいた。

 ただし、戦いに参加していない俺様と共にいるからと言って、この犬は気を抜いているわけではない。普段は俺の肩くらいの体高が、今は戦闘モードで、見上げなければ顔が見えないくらいに大きくなって待機していた。

 1時間ほどで、村から家等が燃える音しかしなくなった。

 もう1時間もした頃には、火の勢いは収まり、所々で建物に使われていたであろう木が燻っている状態になっていた。

 俺様は風魔法を使える魔獣達に、風に乗せて風上から強い風を吹かせ、煙と熱気を風下に一気に吹き飛ばさせた。

 煙が晴れたら、風を弱めさせる。燻っている火が風に煽られて、再び炎上しない為だ。

 村の中に少しだけ入り、状況を確認する。

 人が多く倒れていた。動いている者はいない。

「やったぞ!!」

 思わず歓喜の声を上げていた。

 魔獣達を誉めてやろうと集合させた。

 少しして、魔獣達が集まった。

「よくやった、お前達。俺様の想像以上だ。これからも頼むぞ」

 俺様の言う事を聞かない、俺様のことを馬鹿にする人族共より、お前等の方が余程信用できる。

 俺様は、さらに声を大きくしていった。

「俺様は、お前たちの働きを誇りに思う」

 俺様の言葉に、魔獣達も心なしか誇らしげだ。しかし、よく見ると、何匹か怪我をした魔獣達がいるのが分かった。

 俺様は今回何もせず、見ているだけだったので、魔力量は減っていない。なので、怪我をした魔獣達に、順番に治癒魔法・小をかけていった。

 そして、人だろうが、家畜となっていた魔獣だろうが、好きなものを食っていいと許可を出して、俺様も鶏を捌いて焼いて食っていた。

 風魔法を使える魔獣達は、その間も協力してある程度の強さの風を送り続け、臭いや煙が村の中に滞留しないようにしてくれていた。

 魔物共は他の魔物どもに対して、人族に対してのように見つければ即殺しに来るようなことはないが、自分の縄張りに他の魔物共が入ってくれば戦いになり、排除にかかる。退かない敵は、当然殺しにかかる。同じ種族でも、別の群れだと排除対象となる。

 そんな中、俺様の魔獣達は俺様の命令に従い、自分達で役割分担を考え、本当に良くやってくれる。

 他者が信じられなくなっていた俺様にとって、今や魔獣達は、心から信用できる仲間となっていた。

 そんな中、皆が喰い終わる頃になって、使役していたウサギがいない事に気付いた。

 もしかして、村の者共に殺られたのか?

 使役している魔物が、集合を命じられても傍に来ていないということは、そう言う事なんだろう。

 せっかく村の有様を見て気分が良くなっていたのに、また、新たに人族に対する怒りがわいてきた。

 しかし今は移動だ。

 一番近い町の連中でも、この村が全滅したことに気付くには、数日はかかるだろう。

 そして、この村の状況を見て、小規模な魔物共の暴走(スタンピード)が起きたと想像するに違いない。

 まだ始めたばかりだ。今は人為的に滅ぼされたことに気付かせてはならない。

 そのためには、俺たちはまだまだ姿を見られるわけにはいかないのだ。

 なので、そろそろ森に入り、再び移動を開始しなければ。

 しかし、俺様の魔獣を殺しやがって!絶対に人族は皆殺しにしてやる!

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