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テンタ・モードン3-1

 6の月に入り、使役している魔獣達と森で寝ていても、あまり寒さを感じなくなった。

 昨年の夏、カイデン領の領都近郊の迷宮で、使役していた50匹以上の魔獣達のうち20匹以上殺され、丁度30匹が生き残っていた。

 使役する魔獣達を増やし、いつかダフト王国を潰してやろうと思っていた俺様にとって、大変な痛手ではあった。

 しかし生き残ったのは、使役し始めてから長く経っているものばかり、つまり、長く一緒に森の中を移動しながら狩りを続けているものばかりなので、仲間の魔獣達の中では強いものばかりだった。

 戦力の低下は殆ど無かったに等しい。

 なので、俺と残された30匹の魔獣達は、森の中を移動しながら狩りを続けていた。

 今では仲間の魔獣達は、60匹を超えるまでに増えていた。

 以前もそうだったが、これだけの魔獣達が1カ所で狩りを続けると、すぐに周辺の魔物共が狩りつくされてしまうので、俺様達は常に森の中を移動して狩りを続けていた。

 魔獣達の中には昼行性のものもいれば、夜行性のものもいる。

 そのため1日の移動距離は多くはないが、その反面、1日中狩りが続いている状態だ。

 その借りによって得られたS(スキル)P(ポイント)を、俺様を含め、魔獣達に均等に配分しているのだから、俺様も魔獣達も益々強くなれるし、食料用の肉も十分に得られる。

 勿論、森の中で盗賊団などを見つけたら、魔獣達の訓練がてら潰している。

 しかし、ダフト王国を潰すという大きな目標の第一歩として、そろそろ小さな村でも襲ってみようかと考えながら移動しているうちに、西部の中でも、シルクトレーテ公国との国境辺りにまで来ていた。

 国境と言っても、ダフトとシルクトレーテを結ぶ主街道沿いのアニモイスティン領ではなく、そこから北のキアーナ領だ。

 ここを治めるキアーナ男爵の、良い噂は聞いたことがない。

 5,000年前から、人の上に立つ者が下の者を虐げるということは殆ど無い。

 キアーナ男爵についても、領民に直接危害を加えたという話は聞かないが、貧しい領地の運営に関し、代々の男爵は文句を言うばかりで、改善策を打ち出したりすることは無かったらしい。

 しかも当代の男爵は、自分の生活の質を上げるため、増税したり賄賂を要求したりしているらしい。

 そんな領地で人口が増える筈もなく、その中でも辺境にあるこのカイナラウム村は、確か人口200人程と、村としてもかなりの規模の村だった筈だ。

 税を搾り取られてばかりの貧しい村人たちに、本来なら同情すべきところなんだろう。

 が、いずれこの国の者たちは、皆俺様に殺されることになるんだから、早いか遅いかだけの問題だ。

 少しでも早く殺してやれば、貧しい生活に苦しむ期間も短くなって、逆に俺様に感謝することになるかもしれない。

 しかもこの村は、一番近い町からもかなり距離があるから、救援が来ることもないだろう。俺様の魔獣達の強さを計るための踏み台に丁度良い。

 俺様の「使役」のレベルも4(「降した魔獣や魔物を、1%の確率で使役できる」)に上げたので、単純計算だが、魔物共100匹と戦えば、1匹は使役できる魔物が増えるようになった。

 おかげで魔獣達は大分増えたが、森の中で常に他の魔物共と戦闘をしているので、使役する魔物が殺されて減ってしまうこともある。

 その結果、魔獣達が現在60匹超という状況だが、その分、数多の戦闘によってどの魔物も強くなっている。

 俺様はあまり魔獣達の種類とかは詳しくないが、今は、犬数種7匹、狼数種6匹、猫数種10匹、大ネズミ5匹、ウサギ、角ウサギ2匹、大蛇、大トカゲ2匹、大蜘蛛数種6匹、大きな蜂10匹、蛾3匹、烏2羽、鷹1羽、梟1羽、猿2匹、ゴブリン5匹の計64匹だ。

 魔獣達は、皆俺様の言う事にはよく従い、しっかりと成果を出す。

 俺様のことを馬鹿にするだけで、自分たちは何もできない人族とは大違いだ。

 ん?

 そこの猫、足を引き摺っているじゃないか。どうした?

 少し前の戦闘で怪我をしたのか。大事な戦いの前だ。治癒魔法・小で直してやろう。こうしていると、成人前に一緒に魔物狩りをしていた猫を思い出すな。

 大蛇、お前も胴体に結構でかい傷があるぞ。

 ああ、そうか。手足が無いと、敵の攻撃をさばけないのか。お前にも治癒魔法・小をかけてやろう。

 大きな戦いの前だ。食事休憩とはいえ、今はあまり喰うなよ。後でたっぷりと憎い憎い人の肉や、人に飼い慣らされて戦いを忘れた馬や牛の肉が喰えるから。


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