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マール1

 ハンターになって早や1か月。

 まだまだなり立ての新人やと思とるやろうけど、ウチは3級のハンターや。

 3級と言えば、魔獣や魔物を倒して、その肉や素材を売って、余裕をもって暮らしていける一人前のハンターや。

 1級から6級まである中で、何で新米のウチが3級かと言うと、ハンター養成学校を優秀な成績で卒業したからや。

 ハンター養成学校のカリキュラムは2年間。戦闘訓練は勿論、魔獣や魔物に関する特徴や弱点と言った知識、それ等から取れる肉や素材に関する知識とその捌き方、そんな獲物を売る時に騙されないために、読み書き計算も叩き込まれるし、料理も裁縫も教えてくれる。

 卒業試験を合格できれば4級のハンター資格、極々稀に、特別に成績が優秀だった者には3級の資格が与えられる。ウチはぶっちぎりの首席で合格できたんで、卒業と同時に3級のハンターになれたんや。

 ウチは13歳から2年間学校に通って、卒業と同時に成人としてハンターギルドに登録し、ハンターになった。

 ここダフト王国は、4の月から翌年の3の月までに15歳になる者が新成人として扱われる。

 ウチの出身国のシルクトレーテ公国では、国民の大部分を長命のエルフ族が占めとんで、成人年齢がものすご高い。

 因みに、エルフ族はその長命故に種族保存本能が低く、よっぽどお互いの波長が合わん限りなかなか結婚せんけん、人口が多ない。

 それに対してダフト王国は、人口の大部分を人間族が占めとるんで、皆よく子どもを産んで、人口が多い。

 なんで、最初この王都ダフトに来た時、道路を行き交う人が多すぎて波のように見えて、これはハンター養成学校に辿り着くんは無理やっ! て思たわ。

 ウチも首都シルクトに住んでたんやけど、こんなに人はおらなんだ。人間族の性欲求スゲー。

 何年か前に恋愛小説を読んだことがあって、好きな男の子に「君を必ず一生守って見せる」とか言われてみたいと思たことがあるにはあるけど、そんなんよりは、どっちかと言うと冒険小説の方が好きで、笑いあり涙ありのエピソードを交えつつ、強敵を倒して世界を救う主人公になりたいと思てる。

 そやからウチには、まだ何十年か、恋愛には縁が無いやろ。

 それと、エルフ族は眉目秀麗・頭脳明晰で、寡黙な種族やと思われとるみたいやけど、これは大きな誤解やで。

 ただ、他の種族の持っとるイメージを壊したらイカンと言うことで、他所の国に行ったらあまり喋らん、て言うんがエルフ族の暗黙の了解になってしもたんや。

 確かにエルフ族には、他の種族と比べて見た目の良(え)え者(もん)が多いけど、これは種族維持本能の低さを補うための努力の結果やと思う。

 頭が良えんは、長命やから興味のある事を長いこと研究しとるだけであって、若く見える時期が長いから頭良さそうに見えるけど、単なる年の功や。

 寡黙なんも誤解や。エルフ族は大抵がお喋りやで。

 昔、他国との外交使節団が、あまりわいわい喋り過ぎたら他の国の者に迷惑やって言(ゆ)うて、気い使(つこ)てあまり喋らなんだんと、ウチ等の首都シルクトで使われとる言葉が、他の国での地方の方言と似とったんで、それを恥ずかしがった外交官がおったらしい。

 ここ王都ダフトで使われる言葉やって、ウチの国ではある地方の方言にそっくりなんやけん、気にせんでええと思うんやけど。

 一応、ウチもエルフや。

 顔は結構美人さんやと思うで。

 スタイルやって結構イケてると思う。

 ただなあ、一緒にパーティー組んどる獣人族のアルトは、顔は可愛いうえにボンキュッボンで、同じ女のウチから見ても良え女なんや。

 そのアルト言う娘(こ)やけど、ウチと同い年で、小さい頃から何度か顔合せとったんで、話したことはあったんやけど、まさかシルクトレーテ国のウチとキーフィア帝国のアルトが、ダフト王国のハンター養成学校で同級生になるとは、思てもみななんだわ。

 自分で言うんもなんやけど、ウチもアルトも所謂、ええとこの子や。

 ウチは魔法が得意なエルフ族の中でも、小さい頃から魔法が得意な方で、よく近くの田んぼや畑に行っては、そこに寄って来る弱い魔獣や魔物を魔法で倒してたもんや。

 エルフ族は農業や研究が好きな者が多い(おかげで農業のための研究に没頭する者(もん)も多い)けん、首都や言うても農地が多い。

 果樹の林作ったり、森でキノコとかの栽培や採取する者も多いけん、町の城壁は作ってない。

 そのおかげで魔獣共も入って来放題なんやけど、ある程度の魔獣とかやったら農家さんは皆、倒せんまでも魔法で簡単に追っ払ってまう。

 そやから、町の外れまで行かんでも弱い魔獣共はよう見かけたんで、大人の目を盗んではそれらを探して倒してたんや。

 おかげで魔法は強うなったんやけど、勉強は昔から苦手、って言うか大嫌いやし、農業も好きになれそうになかった。

 ウチが小さい頃にハンター言う職業に興味持ったんは、まあ、当然やったんやろな。

 アルトも聴いたら、ウチと同じような状況やったらしい。

 ただウチとは違(ちご)て、獣人族の多くがそうであるように、アルトは物理攻撃が得意、と言うか、獣人族の中でも攻撃力が突出しとったらしい。

 で、ウチと同じように、ハンターに興味持ったと。

 因みにアルトも、卒業試験の成績がウチと僅差の2位で、3位との差はふっちぎりやったから、当然3級のハンターや。

 で、顔見知りやったことから学校でもずっと一緒に行動して、仲良くワンツーフィニッシュ決めて卒業。そのまま2人でパーティー組んどる。

 魔法が得意なウチと、物理攻撃が得意なアルトは、要は相手の得意な事が自分の苦手な事なんで、お互いを補い合(お)うて良(え)えパーティーやと思う。

 そんなウチ等が王都ダフトのハンター養成学校で会(お)うたんは、入学後しばらくして分かったんやけど、決して偶然ではなかった。

 あれは、ウチが12歳の年の秋やった。

 夜寝ていると、声が聞こえてきた。

「お前は、ダフト王国の王都に行き、そこでハンター養成学校に入るように」

 目が覚めて、何となくやけど、今のは神託やってすぐに分かった。

 しかもそれが10日も続いたら、「今のは夢や」と思える奴は、まずおらんやろ。

 学校に入学してしばらくした頃、学校の寮のアルトの部屋でこの話をしたところ、同じ時期に、アルトにも全く同じ神託が下りとったらしい。

 それで、「ハンターになる」言うたら家の者に反対されるんは目に見えとんで、家出同然に王都ダフトまで来たんも一緒やった。

 ここに来たんは、アルトに会うためやったんや、っていうのが解って、今も2人でパーティーを組んで、結構稼いどる。


 さて、そんなウチが、今何をしているかと言うと、起き抜けやけど、宿のアルトの部屋(隣)に向かってる。

 何でか。

 昨夜?今朝?新たな神託が下った。

 なんで、アルトにも同じ神託が下りとるかどうかを確認しに行っとんや。

 内容は、

「カイデン領の領都に行き、狩りをしつつ、町の北東にある迷宮を探すように」

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