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ファルーサ・カイデン8-1

 6の月になった。

 暖かい、なんていう時期はとうに過ぎて、薄着の人が大分増えてきた。

 先月、11歳になった時には、角ウサギ事件からもう1年か、等とこの1年にあったことを振り返り、しみじみとしたような、してないような日もあったが、迷宮探索は続けている。

 魔力量回復速度向上と、疲労回復速度向上、合成魔法を、それぞれレベル4(魔力量回復速度が50倍早くなる。)、3(疲労回復速度が10倍速くなる。)、5(レベル5までの複数の魔法を合成して使える。)に上げ、新たに状態異常回復魔法をレベル3(レベル1「軽度の毒を回復させる。」、2「軽度の麻痺を回復させる。」、3「軽度の精神異常を回復させる。」)まで取得した。

 そろそろ迷宮の最初の階層を踏破できそうだったんで、次の階層に進んだ時、今までより強い魔獣等が出てくるかもしれない可能性を考え、それに備えた。

 そして今日、遂に1層目のマッピングが完了した。

 枝分かれした全ての通路の先に、行き止まりを示す「×」印が付いたのだ。

 今回の行き止まりには宝箱があり、中には弓と数本の矢が入っていた。

 これまでにも宝箱を見つけたことはあったが、中身はポーションばかりで、「治癒魔法5」が使える俺にとっては、傷の表面だけを塞ぎ、失った血液を補充してくれないポーションは、無用の長物とまでは言わないまでも、それ程ありがたい物ではなかった。

 まあ、弓矢であればそのうち使うことがあるかもしれないとアイテムボックスに入れ、それよりも、下の層へ進む階段(と俺が勝手に思っている。何せ、実際にその階段がどこに通じるかは行ってないので知らない)の事を考える。

 4の月から勉強の時間の開始を早める替わりに、武術の時間を午前中にしてもらっている。つまり、午後は丸々俺の自由時間になった。

 しかし今日は、13時過ぎに家を出て、ここまで既に2時間くらいは経っている筈。

 17時までには家に戻ってなければならないことを考えると、そんなに時間があるわけではない。

 今日は早めに帰るべきか。

 しかし、次の階層があるのなら、ちょっとだけ見てみたい。

 でも、あの階段は本当に次の階層への階段なのか。そして、あの階段を降りるのに、どれ位時間がかかるのか。

 しばらく悩んだ結果、下に向かうであろう階段の行き着く先を一目見てから帰ることにした。

 そうと決まれば、先ずはトイレだ。

 この後何が起きるかわからない。敵に囲まれた状態でおしっこが我慢できなくなるかもしれない。そんな状況だけは避けたい。

 もう、魔法でのトイレ作りにも慣れた。

 最近では、この迷宮の魔獣等が、俺が土魔法で作ったトイレの壁や床を破ることが出来ないのが解ったので、家のトイレの便器みたいに座って使うタイプの便器を作っている。

 トイレと言うのは、用を足すだけでなく、一人きりの憩いの時間を与えてくれる、無くてはならない空間だ。

 しかも、極稀にではあるが、大きい方の用も足したくなる時がある。

 そのため、便器から排泄物を流すタンクまでのパイプについて、最初は下を向いているものを、緩やかに上を向くように曲げて、すぐに再び下へ向けて、タンクにつながるようにした。

 要は、用を足した後にまとまった量の水を便器から流せば、排泄物をタンクへ流した後に、パイプの最初に曲げた部分に水が溜まり、タンクから臭いが戻って来なくなって、トイレがしばらく休憩もできる快適空間になるのである。

 家にもある水洗トイレの構造を調べて、試行錯誤の末、似た様なものを再現できた。

 大変、満足している。

 まあ、そういうことで、「土魔法」でトイレを作り、「水魔法」で流し、再び「土魔法」でトイレを潰して元の洞窟のような地面に戻した。

 ここからなら、魔獣等を倒しながらでも5分はかからない。


 さて、下の層に向かっている(であろう)階段を下りてみる。

 階段の一段の高さは、家や一般的な建物の階段の高さと、そんなに違わないような気がする。

 一定の段数毎に踊り場のある折り返し階段で明かりは全くないが、最初の洞窟部分と同様に「照明魔法3」を使い、見えなくて困ることは無い。

 普通の建物なら4階分くらいは下りた頃だろうか。会談が終わって、緩やかで真っ直ぐな下り坂になり、その先はとても明るい。

 その明るいところへ行くと、つまり洞窟部分を出ると、「外」だった。

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