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テンタ・モードン1-4

 ある日、王都近郊の草原で、怪我した子犬を見つけた。

 全体的に毛は黒色だが、鼻や口の周り、腹などの毛は茶色で、痩せていてガリガリだ。

 この草原では弱い魔獣で、他の魔獣等に襲われて、怪我をしながらも何とか逃げて来たのだろう。

 しかし、子犬とはいえ魔獣だ。俺様に対して唸っているが、動けそうには見えない。

 長く苦しませるよりは一息に殺してやった方がこいつのためかと思い、「火魔法4」で火の玉を右手の上に作った。

 すると、視界の左下に文字が浮かんだ。

「魔獣が降伏しています。使役しますか?」

 生まれつき持っていたであろう「使役1」が作用したんだろう。

 一人で狩れる魔物共の数に限界を感じていたこともあって仲間を求めていたのか、昔一緒に狩りをしていた猫の事を思い出した。

 この犬がいれば、狩りも捗るのではないかと思い、使役することにした。

 視界の左下に新たな文字が浮かんだ。

「獲得SPは使役者が総取りしますか?使役されているものと均等に分配しますか?」

 この犬を強くしなければ足手まといが増えただけの状況になるので、ここは分配することにした。この設定は、使役者が望めばいつでも変更できるらしい。

 犬の傷に治癒魔法・小を何回かかけると、自力で歩けるようになったので、この後も狩りを続けた。

 犬が望んだ時には、倒した魔獣を喰わせてやった。もちろん生で。

 その後、犬を街に連れ帰り、ハンターギルドで従魔の登録をして、夜寝る前には、さらに何回か治癒魔法・小をかけてやった。

 次の朝にはほぼ傷も癒えたようで、すっかり元気になっていた。

 それならばと、俺様は早速狩りに犬を同行させた。

 犬は思ったより役に立った。

 驚いたことに、戦闘状態になるとこの犬は、身体の大きさが倍位に大きくなるのだ。

 しかも、牙や爪での攻撃力が強く、スライムやウサギ程度なら易々と倒していた。

 食事は倒した魔獣の内望んだものを、水は魔法で出して与えていると、目に見えて大きくなった。

 1月も経てば、犬は背中の高さが俺様の腰位になった。また、飯が喰えなくてガリガリなのかと思っていたら、大きくなってもガリガリのまま、と言うか、かなり筋肉質な身体つきで、走るのも早ければ、力も強い。

 犬と協力することにより、一日に狩れる魔物共の数が増えたので、これは良い方法だと思った俺は、「使役」をレベル2に、またしばらくしてSPがたまればレベル3に、とレベルを上げて行った。

 これによって使役できる魔物達が増えていき、それに伴い倒せる魔物共の強さや倒せる数も上がって行った。

 しかし、使役する魔物達が増えたことにより、家に、と言うか街に連れ帰れなくなった。鳴き声等に対する苦情が来るのである。

 いずれはこの町に住んでる奴等は殺す予定なのだが、今はまだ問題を起こすわけにはいかない。

 そこで俺は、魔物達と一緒に森の中で野営をすることが多くなった。

 しかも、魔獣達が倒した魔物共を魔獣達の餌にしているので、森の中でも同じ場所に留まっていると、その辺りの魔物共を喰いつくしてしまうから、毎日少しずつ森の中を移動するようになった。


 そうやって移動を始めて10年近くが過ぎた頃、森の中で、偶然盗賊のアジトを見つけた。

 10人程度の小規模な盗賊団の、小さなアジトだった。

 盗賊と言うのは大抵、軍に入ることも出来ず、ハンターとしても食うのに困るような、強くなれなかった人族の集団だ。

 それに対し、俺様の使役する魔獣達は順調に強くなり、数も20匹を軽く超えていた。

 盗賊を殺したところでどこからも責められることは無い。と言うか、逆に感謝されてしまうだろう。

 ならば、魔獣達を使役して、人族共を殺せるかどうか実験してみようと思った。

 夜になって盗賊共が寝入ったころを見計らい、魔獣達に襲撃を命じた。

 俺様が何もすること無く、簡単に盗賊共を全滅することができた。

 当然、盗賊共には魔獣達の餌になってもらう。

 そうしてまた、数か月森の中を移動していると、再び10人程度の盗賊のアジトを見つけた。

 前回は闇に紛れて奇襲したが、正面から潰しにかかればどうなるかを試してみた。

 真昼間に盗賊のアジトに奇襲をかける。

 少し時間はかかったが、今回も俺様が手を出すこともなく、魔獣達の被害も殆どなく、盗賊共を全員殺せた。

 確かな手ごたえを感じつつ、俺は再び森の中を移動しながら、少しずつではあるが、使役する魔物を増やしていった。

 また数か月が過ぎ、魔獣達が30匹を超えた頃、3つ目の盗賊団を見つけたのが少し前だ。

 人数は多かったが、その盗賊共が行商人と思われる奴が数人乗った馬車を襲って皆殺しにした後、馬も殺し、馬車に乗っていた荷物を運び出そうとしていたところで、今度は俺様達が盗賊どもを襲った。

 もしかしたら、こんな風に人目を避けて森の中に隠れてなくても、街を襲ったら簡単に滅ぼせてしまうんじゃないか。

 そんな風に考え始めていた。

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