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テンタ・モードン1-1

 皆殺しにしてやった。

 これで3つ目だ。

 今回は20人程の盗賊団だったが、俺様の使役する魔獣達の敵ではなかった。今は魔獣達の餌になってもらっている。

 これなら、今でも小さな村程度なら滅ぼすことが出来るだろう。

 しかし、俺様の望みはそんなもんじゃない。

 天才である俺様をクビにしたこの国に、俺様のことコケにしやがったこの国の奴らに、目に物見せてやらなければ。

 俺様は天才なんだ。

 まだまだ「使役」のレベルを上げて、使える魔獣達も増やして、いつか王都を滅ぼしてやる。

 盗賊達には、天才である俺様の練習台になってもらわねば。

 世の中のゴミであるこいつら盗賊共が居なくなったところで、心配する奴なんか誰もいやしねえだろ。

 こいつらを殺したところで、逆に国のためになっているのは業腹だが、今の俺様では王都を滅ぼすには力が足りないんで、とりあえずの練習台にはなる。

 こいつらも、天才である俺様の練習台になれたんだ。あの世で喜んでいるに違いない。

 そう、俺様は天才なんだ。


 小さな頃から魔法が使えた。

 両親も、同年代の子どもや、見知らぬ大人たちも俺様の事を天才だと褒めてくれた。

 生まれ育ったのは小さな村だったので、「風魔法3」で風を生み出せるだけだったが、皆が褒めてくれた。

 そんな俺様は、物心が付いたころから猫を飼っていた。

 「使役」で何十匹もの魔獣達を従えている今だからわかるが、俺はこの猫を使役していたのだろう。

 薄っすらと憶えているのは、歩くのもやっとと思われる小さな子猫が、村のすぐ外で、俺様を威嚇しているであろう風景だ。

 思うに、他の魔獣か魔物に襲われて動けなくなっていたところに俺様が通りかかって、その後、俺様が戦って勝ったのだろう。

 親に、自分が世話をするので猫を飼いたいと必死にお願いしていたことも、何となく憶えている。

 これも今だから解るのだが、俺様が魔獣共を倒して得たS(スキル)P(ポイント)も、使役している魔獣達が魔獣共を倒して得たSPも、全て一旦は俺のSPとなる。

 その後、俺が許可をすれば、そのSPは俺様と、俺様の使役する魔獣達全てに均等に分けられることになる。

 この頃の俺様は、事情も分からず、この猫とSPを分け合っていたのだろう。

 俺様は小さな頃から、村にいる小さな虫の魔獣や、畑のミミズなどを捕ったり、ネズミや鳥の魔物なんかも罠で捕って殺すのが好きだった。

 猫だって、元は野生の魔獣である。小さな魔獣共をよく獲っては、俺様に見せに来ていた。

 そうやって、お互い、1ポイントにまるで届かない、ほんの僅かなSPを何年にも渡って貯め続けていたのだろう。

 忘れもしない、俺様が13歳になってしばらくした頃、「風魔法」をレベル4に上げることが出来た。魔法による攻撃が可能になった。

 猫の方も「敏捷」と「筋力」が上がっていたのだろう。素早さと攻撃力が以前とは全く違っていた。

 そうなると、俺様には欲が出てくる。

 猫と一緒に村の外の草原に出て、スライムや大芋虫、ウサギやネズミ、蛇やトカゲ、鳥や蜂等の魔物共を狩りまくった。

 俺様が食べられる魔物等を狩って来るので、村の大人達は村の外に出るのを怒らないばかりか、ますます俺様を天才だと褒めてくれるようになった。

 貯まったSPで「魔力量」を3に上げ、一つでも多く魔法を撃てるようにすると同時に、「魔力」も2に上げ魔法の威力を上げることにより、少ない魔法で魔物どもを倒せるようにした。

 そうやって、猫と協力して朝から晩まで草原で魔物どもを狩っていると、15歳になる前には、「水魔法」も4まで覚えることが出来た。

 俺様の家は、飯を食うのに困るほど貧しくはなかったが、決して裕福ではなかったことから、俺様は成人と同時にダフト王国軍に入ることとしていたし、親達もそれを望んでいた。

 14歳になる年の春を過ぎた頃から村長を通じて入隊の申請を出していたところ、冬になって入隊の許可書が届いたので、猫を従魔として一緒に連れて行こうと考えていたのだが、入隊日が迫ったある日、草原で狩りを終えての帰りに、気が付くと猫がいなくなっていた。

 これまでもいなくなることはあったが、暫くすると帰って来ていたので、気にしないことにした。

 その後は入隊の準備に忙殺され、結構慌ただしく旅立った憶えがある。

 入隊後大分経ってから、親からの手紙で、村から結構離れた場所でゴブリンと猫の死体と思われる骨があったらしいと知ったが、もう猫の事を思い出すことも無くなっていたので、「ああ、そうか」程度にしか思わなかった。


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