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ファルーサ・カイデン7-3

 何か良い方法が無いか、もう一度考えた。

 考えた。

 考えた。

 そこで、今度こそ思いついた。

 魔物が簡単に入って来れないような、頑丈なトイレを作れば良いんだ。

 岩モグラだって、硬い岩の中をスイスイと掘り進めて行ける訳じゃない。時間をかけて魔法や爪で硬い岩を割ったり削ったりと、人族が歩く程度の速度だ。

 ならば、ちょっとやそっとじゃ入って来ることの出来ない壁や床に囲まれたトイレを作っちゃえば良いじゃないか。

 説明が長くなったが、これが重要な計画である。

 俺一人なので説明は特に必要ないのだが、やるべき事を明確に思い出すために長々と考えてしまった。


 まずは迷宮のある程度奥まで進みつつ、襲ってくる魔物を片っ端から倒していく。

 周囲に敵がいないことを「探索4」で確認出来たら、試作開始だ。

 まず、これまで貯めたS(スキル)P(ポイント)の一部を使って、「土魔法」をレベル6、「取り出し成型した土、石、金属を圧縮し、硬化することが出来る」に上げる。

 その「土魔法6」を使い、俺の周囲に一辺1.5M(メタ)、高さ2.5M(メタ)程の直方体の土の壁と天井を作り、可能な限り圧縮して硬化すると同時に、その範囲内の床(地面)についても地下1M(メタ)位まで硬化する。

 次に「土魔法4」にて、硬化した床の地下での高さ的にも、そして直方体の中の水平位置的にも真ん中辺りに、直径500M(ミリ)M(メタ)程の球状の空間を成形で作るとともに、床上で内部の壁面の一つに寄った場所に、同じ大きさだが半球状の窪みを作り、その二つを繋ぐように直径100M(ミリ)M(メタ)程の筒状の空間、つまりパイプのようなものを作った。

 これで頑丈な簡易トイレの完成。

 早速試してみる。

 周囲に、俺に対して殺意を持つ魔物等はいない。

 それを確認したら、立ったままの状態で、先程の半球状の窪みに向けての小用だ。

 終わって手を洗いながら、暫く考える。

 う~む・・・。何となく、これじゃない感がある。

 排出したものは、計画通り、半球状の窪みからパイプ状のものを通って、地中に作った球状のタンクのようなものに、滞りなく流れて行った。

 なのに、何かが違う。ような気がする。

 家のトイレと何が違うんだろう、と考えた時、すぐに答えは分かった。

 便器が無いんだ。

 家のトイレでは、床置式の小便器に用を足しているんだ。

 それに対して、半球状の窪みはいつもより目標が下に遠く、何となく落ち着かなかったんだな。

 ならば、次回からは壁の一面に小便器を併せて作り、地中のタンクに流すようにすれば良い。

 そんな事を考えながら、窪みの真上の顔位の高さから、「水魔法3」で水を流し続け手を洗っていると、窪みに落ちた水が色々な方向に跳ね返って飛び散った。

 これは手洗いの方法も考えなければならないと思った時、臭いが気になった。

 そりゃ、そうだ。

 いくら小用とは言え、広くもない密閉空間で用を足したのだ。

 地面の下のタンクに流したと言っても、真っ直ぐなパイプ状の物で窪みと繋がっているので、臭いも戻ってくるのだろう。

 考えるべきことがいっぱいあるなぁ、と思っていると、俺に殺気を持ったものが近付い来るのが分かった。

 3匹か?いや、3頭か?相手が何かわからないので、そこはどうでもいいや。

 折角なので、圧縮して硬化した土壁や床の強度が如何程のものか見てみようと、いつでも「ウォーター・ガン」を撃てる体制で様子を見てみる。

 壁にぶつかったり、叩いたり、削ったりしているのであろう、小さくて鈍い音が響いてくるのと、地下から近付いてきた奴からは何の音もしないんで、恐らく土魔法で硬化した床を崩そうとしているんだと思う。

 しかし、5分位だろうか、結構時間が経ったが、俺の作ったトイレに何の影響も与えられず、諦めたのか、そいつらはトイレから(俺から)遠ざかって行った。

 完全に殺意を感じなくなったところで、「土魔法4」で、トイレの設備を全て元の土に戻した。

 家に帰ったら、便器(のような何か)の形状や、臭い対策、手洗いの方法などをゆっくり考えようと思いつつ、マッピングの作業に戻った。

 ついでに魔物とかもいくらか狩って、SPを稼いでおこう。

 防御や回復のスキルのレベルを上げたいのに、中々そこに集中できずに、他のスキルのレベルばかり上がっているような気がする。

 まあ、長い目で見れば仕方ないか。

 安心で快適なトイレは、きっと人生に必要不可欠だ。・・・と思われる。

 無駄じゃない。

 無駄じゃない筈。

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