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ファルーサ・カイデン7-2

 馬車は次の角を曲がって、中央公園を目指している。

 「殺意を持つもの(・・)」達は居た場所から動かない。いや、細かくは動いているようなので、馬車が急に方向を変えたことに対して、どうすべきか相談しているのだろう。

 いくら街中で馬車がゆっくり走っているとはいえ、人の全力疾走よりは遅いだろうが、歩くよりは遥かに速いスピードで走り続ける馬車に、今から追いつくには相当な時間がかかるだろう。

 その後、公園で領軍の警邏隊に保護され、そのまま領主館まで警護してもらい、武装集団鎮圧の報を受けて、家に帰った。

 まあ、襲われて、俺の力がバレずに済んで良かった。

 が、見知らぬ武装集団ではあるが、俺はお前等を赦さない。

 俺のスイーツを返せ~~~~~っ!!


 少し取り乱していたようだ。

 迷宮を探索中、出てきた岩モグラをエア・バッシュで倒したのだが、側壁に残った染みだけになってしまった。

 少しやりすぎたか。

 いや、違う。これは、あれだ。

 昨日「魔力」のレベルを3から5に上げたから、魔法の威力が強くなっているんだ。

 その分、同じ魔法でも魔力量の消費が多くなっているようだ。

 まあ、魔力量は5,000を超えているから感覚的なもので、意識をした時にのみ視界左上に見える魔力量を見ても、減ったようには見えない。

 それに、魔力量の減りが少々増えたところで、どんなに頑張っても1日で魔力量の半分も使うことが出来ないんだから、気にしなくていいだろう。

 それよりも今日は、ずっと考えてきた重要な計画に取り掛かる。

 初めてこの迷宮に潜り始めて(何か、こう言うとカッコ良さそうな気がする)1月半、いや、もっとか。

 いつも筆記用具を持って来て、ちゃんとマッピングをしてきた。

 恐らく下の階層に行けるであろう階段も、既に見つけてある。

 しかし、マッピングで作った図面から考えると、この最初の階層もまだまだ広いと思う。

 まだまだ行っていない場所があるということだ。

 下への階段らしきものが見つかっている以上、この階層では、残り何処に行っても行き止まりになっていることだろう。

 それでもこの階層のマッピングは完成させたい。完璧な地図を作りたいのだ。

 俺って完璧主義。

 ・・・

 本音を言えば、下の階層に行って、急に魔獣等が強くなって、怪我とか痛い思いをするのが怖いので、簡単に倒せるこの階層の魔獣等を倒し、少しでも防御や回復を上げておきたいのだ。

 そこで、重要な計画だ。

 この迷宮のこの階層は結構広い。

 入口から下への階段と思われる場所まで、全力で走って20分ほどかかる。

 家から入り口までも30分程度はかかっていると思われるので、中で新しいルートのマッピングをしていると結構な時間が経っているし、その日の作業終了と決めた場所から家に帰るまでも少しばかり時間がかかる。

 何が言いたいかと言うと、10歳の子どもの膀胱がそんなに保つ筈がない。

 なので、時間的な意味でも、場所的な意味でも、どこかで用を足さなければならない。

 しかし、森の中や迷宮の中で用を足していると、いつ魔獣等が襲ってくるかわからない。

 「今は来るなよー、今だけは来るなよー」と心の中で祈りながら、(自分としては可能な限り)急いで終わらせて、「水魔法3」で出した水で手を洗う。

 こんな嫌なハラハラ、ドキドキを何回も味わううちに、とても良い考えを思いついた。思いついてしまった。

 地上で用を足そうと思うからダメなんだ。

 それなら、空中で用を足せば良いじゃないか。

 早速森の上で試そうとして、自分の馬鹿さ加減を思い知った。

 森の上には鳥とかの空を飛ぶ魔物がいる。

 木々と言う障害物が無くて見通しも良いので、遠くにいる魔物も早く見つけることが出来るのだが、その分、その魔物がこっちに向かってくる速度も速いのである。

 それはまあ、良い。

 小さな問題でもないが、最大の問題でもない。

 では、最大の問題とは何か。

 森の上は、さっきも言ったように木々と言う障害物が無い。

 そのため、風が結構強いんだ。

 常に風向きを考えて体の向きを調整し続けないと、自分の出したものが自分に返ってきてしまう。

 そんなことしてると、周囲への警戒が疎かになって魔物に襲われるかもしれないし、そちらに気を取られると、風向きへの警戒が疎かになって濡れるかもしれない。

 そんな恐ろしい結末は嫌だ。試す前に気付けて良かった。

 結局、地上で用を足すこととなるのだが、結局それはハラハラ、ドキドキで落ち着くことが出来ない。

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