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ファルーサ・カイデン5-3

 さて、空を飛んでいると、何かが身体にトントントンと連続で当たる感じがした。

 風魔法を操作し、その場で浮いた状態で止まり、周囲を見渡す。

 見つけた!

 広げた翼の先から先までが1.5M(メタ)程ありそうな大きな烏が2羽、こちらに向かって跳んで来ていた。

 また俺の身体にトントンと何かが当たる感覚がしたが、何も見えない。たぶん風魔法で俺を攻撃しているんだろう。

 俺は「ウォーター・カッター」で1羽を撃ち落とす。

 もう1羽は慌てて方向を変えて逃げ出したが、逃がさん!

 再び風魔法を操作して逃げる烏を追いかけながら、「ウォーター・カッター」。

 しかし、烏が細かく上下に動くため、なかなか当たらない。鳥としてはデカい方だと思うのだが、図体の割にすばしっこい奴め。

 距離が離れると「ウォーター・カッター」の威力が弱まるので、5分程森の上を追いかけまわしてやっと仕留めた。向かい風は我慢した。向かいたい方向の反対から強い風を吹かせて飛んでいるので、飛んで行く方向の空気と相殺して風を切るのを感じることは無いと思っていたが、実際には常に「ゴォー」と言う音と共に風を切り続けていて、前が見にくい。

 さてここは何処だろうと飛びながら周囲を確認。城壁からはさらに離れたようだ。

 ふと下を見てみると、小さな山?丘?のようなものがある。地面の下からおわん型に50M(メタ)程か?突き上げたような形状をしている。

 目を引いたのは、その丘の地面に近い一部には木が生えてなくて、むき出しになった山?肌に大きめの穴が開いているのである。

 何だろうと疑問に思った俺は、近くの地面に魔獣等がいないのを確認してから、その穴の付近にゆっくり降りる。

 穴の入り口は、高さ3~4M(メタ)、幅が5M(メタ)といったところか。

 入り口から中を覗いてみるが、陽の光が射して見える範囲では、穴の大きさは変わらない。

 入ってみるべきか?入らない方が良いか?

 正直、中に何があるのか、とても興味はある。しかしそれ以上に、中に強い魔物とかがいて、襲われて怪我とかするのは嫌だ。痛いのは嫌い。

 どうしよう・・・・

 ・・・・・・・・・・

 好奇心、いや怖いもの見たさには勝てなかった。少しだけ中に入って、強い魔物とかがいたらすぐに逃げよう。

 「生活」の「照明魔法3」「光球をつくり、周囲を照らす」で穴の中を昼のように明るくしながら穴の中に入った。

 穴の中は、上下左右の土が石や岩のように固い土で出来ていて、大きさは入り口とほぼ同じ大きさが続いている。

 変な表現だが、直径5M(メタ)程度の穴を地面に少し埋めたみたいな感じだ。本で読んだ洞窟とか洞穴ってこんな感じなんだろうか?

 いつでも逃げられるように、ゆっくりと、周囲を警戒しながら、「空間魔法2」のアイテムボックス小から出した短剣を手に持って進んだが、何も出てこなかった。

 緊張が少し緩んだところに、それは来た。

 何か小さいものが前方から飛んで来たと思い、咄嗟に目をつぶり、顔の前で手をクロスさせて顔を下に向けて防御態勢を取ると(怖さで顔を下に背けて、腰が引けた状態で固まっただけ)、ト、ト、ト、ト、トンと身体に何かがいっぱい当たった。

 ビックリしたー!

 何だ?

 何が起きた?

 もしかして攻撃された?

 クロスした腕の下から、そ~っと前を見てみる。

 何もない。

 何もいない。

 えっ!何が起きたの?

 下を見てみると、小さな石がいっぱい落ちていた。

 これが飛んできたのか?

 何が起きたのか解らず、石が飛んできたと思われる方向(当然、穴の奥側になるのだが)をしばらく見ているしかできなかった。

 何があったか解らないままなのは恐怖だ。

 心臓がバックンバックンいってる。

 このまま真後ろを向いて逃げ帰ろうかと思った時、何かが複数、突然20M(メタ)程先の地面から飛び出してきて、また地面に消えた。

 それと同時に、小さな石と思われる物が、俺に向かっていっぱい飛んで来ていた。

 俺の動体視力を舐めるなよ!「体術3」で上がっているうえに、「敏捷」をレベル3まで上げているのが影響しているのだろう。早く動くものでも、結構はっきり見える。

 今のはきっと岩モグラだ。

 土魔法と鋭く頑丈な爪で硬い石や岩でも掘り進め、その爪や土魔法で攻撃してくるらしい。

 先程ちらりと見えた前肢の爪は、決して長くはないが、太く、先端は鋭く尖っていた。

 怖い・・・

 そうこうするうちに、また「土魔法」によるであろうと思われる小石がいっぱい飛んできて俺に当たるが、当たったなと解る程度の感触があって、パラパラと下に落ちた。

 よし!「土魔法」は大したことない。

 ならば、逃げ帰らずに岩モグラと戦ってみるか・・・

 怖いけど・・・・・

 そんなことを考えていると、突然1匹の岩モグラが10M(メタ)程先の地面から現れて、俺に向かって突進してきた。

 それを迎撃すべく、右手に持っていた短剣を岩モグラに向かって突き出すと、体長700M(ミリ)M(メタ)程の岩モグラが、頭から胴体に向かって串刺し状に短剣に刺さっていた。

 エグっ!!

 すぐに短剣を右下に振り降ろし岩モグラを落とすと、別の岩モグラが5M(メタ)程先の壁面から現れようとしているのが見えたので、「火魔法4」「生み出した火を任意の場所に飛ばすことができる」で左手に火の矢を作る。

 カッコよく言ってるが、要は500M(ミリ)M(メタ)程度の長さの、火で出来た細い棒状のものだ。

 因みに、魔法で生み出した火は熱さを感じないが、それが何か別のものに燃え移った火は普通に熱い。

 「ファイア・アロー」と名付けた火の矢を投げると、凄いスピードで壁から出てきたばかりの岩モグラの頭に刺さり、岩モグラは動かなくなった。刺さったところから一筋の煙が上っている。

 一息つきたいが、先程はもう1匹見えたような気がする。

 まだ油断は出来ないと思った時、俺の足元の地面が沈み込むような感じがしたので、反射的にそれを感じた側の足を後ろに引くと同時に、下を見た。

 今まで俺の片足があった場所が崩れて直径300M(ミリ)M(メタ)程の穴が出来ると同時に、その穴から岩モグラが跳び出してきた。

 ビックリしたーーーっ!

 思わず回し蹴りのような形でその岩モグラを思い切り蹴り飛ばすと、近くの岩壁まで飛んで行ってそこに打ち付けられていた。

 俺はその岩モグラに、全力で「エア・バッシュ」を叩き込む。そう、思わず全力で叩き込んでしまった。

 岩モグラは岩壁に、赤い大きな染みを作って、何となく岩モグラだったことがわかる形を残して壁に貼り付いていた。

 さっきのより見た目がエグい。

 この穴は俺の心臓に良くない。まだバクバクいってる。

 一度、この穴から出て落ち着こうと考え、元来た道を全力で駆け戻る。

 結構穴の奥まで進んだつもりだったが、戻ろうとした途端に穴の出口である外の明かりが見えて、実は全然進んでいなかったことに気付く。

 穴から出た俺は、大きな深呼吸を繰り返しているうちに、ようやく落ち着いてきた。

 どうするか?

 もう一度穴に入って中を調べるか?

 しかし自分が大変疲れているのにも気付いている。

 さっき、穴の中で緊張していたからだろう。

 今日はもう帰って、明日以降でもう一度ここがどんな所なのか調べに来るか。

 しかし、広い森の中で、もう一度この穴を見つけられるか不安になった俺は、森の上まで浮かび上がって周りを見てみる。

 大丈夫。

 この丘?の部分だけが周囲より盛り上がっているので、今のように木々の上に浮かび上がって探せばすぐにわかるだろう。

 よし。帰って、おやつ食べて、お風呂入って、晩御飯食べて、それから考えよう。

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