ファルーサ・カイデン1-1
「思い出した!」
目が覚めると同時に叫んでいた。
そうだ。俺は神様と会ったんだ。どうして今まで忘れてたんだろう。
と考えた時、
「痛ってーーーー!!!!」
身体中を、いや、正確には左腕と背中を激痛が襲ってきて、思わず絶叫してしまった。
ずっとうつ伏せで寝ていたらしく少し息苦しいが、寝返りを打とうなどとはとても考えられない。
痛いだけじゃない。ひどく寒気がする。寒いのに汗が出てくる。横になっているのに目眩がする。
何だ? 何でこんな事になってんだ? 俺の身体に何が起きたんだ? ひどい怪我でもしたのか?
確か、俺が10歳になったからと狩りに連れて行ってもらって・・。
痛い。痛い。痛い。痛い。
そんなことより、この痛みは何とかならないのか?
「ファルちゃん!気が付いたの?」
「「ファルちゃん!!」」
お母様達だ。側にいてくれたんだ。痛いよ!助けて!
「触ってはダメだ!!ファルはひどい怪我をしてるんだから!」
お父様がお母様達を止めた。確かに、触られたり揺すられたりするともっと痛いかも。
「あなたがファルちゃんから目を離すから、こんなことになったんでしょ!」
「そうです。何でファルちゃんから目を離したんですか?」
「ああ、可哀そうなファルちゃん。これもみんな、あなたのせいですよ」
お父様が、俺のせいで、お母様達にボロクソ怒られてる。
申し訳ない気持ちになるが、今はそんな気持ちがすぐに吹き飛んでしまうほど痛い。何とかならないのか?
そうだ。さっき思い出した神様との話では、人族は、自分が能力を伸ばしていきたいスキルにSPを割り振れると言っていたな。
この痛みを何とかするスキルはあるんだろうか? どんなスキルがあるのか知りたいと思った時、視界に文字が浮かんできた。
「基本」、「攻撃」、「防御」、「回復」、「生活」、「その他」と縦に並んでいる。
ここは「回復」だろう。
「回復」のスキルにどんなものがあるのか知りたいと思ったら浮かんでいた文字が切り替わり、またいくつかの文字が浮かび上がった。
一番上の「生命力量回復速度向上」がどんなものか知りたいと思ったら、また文字が切り替わった。
ええっと。「怪我や病気等で生命力総量が減少した場合の、生命力量回復速度を速める。生命力量が回復するにつれ、怪我、病気、血液量も回復する」って、これは有力候補じゃん。
他の回復スキルは、と考えると、見えていた文字が、一つ前の回復スキルの羅列に戻る。
次は「魔法量回復速度向上」、これは何か違う。その次は「疲労回復速度向上」これは絶対に違う。次は「治癒魔法」、これだ!絶対にこれだ!
念のため次も見てみると、「状態異常回復魔法」。違うだろうな。いや、違わないかもしれないけど、まずは怪我を治してこの痛みをとってから、まだ身体に異常があったら考えよう。
最後は「蘇生魔法」。いや、生きてるからこれは関係ないだろう。
では、一つ戻って、そこから「治癒魔法」の詳細を見てみる。
治癒魔法。「生命力を回復する。生命力量が回復するにつれ、怪我、病気、血液量も回復する」
さらに細かく。
治癒魔法1。「自分や他のものの身体の構造が理解できる」必要SP10。
治癒魔法2。「自分や他のものの怪我や病気の症状・原因等や、その治療法が(治療不可であることも含め)ある程度理解できる」必要SP50。
治癒魔法3。「治癒魔法・小(生命力量を100程度回復)が使える」必要SP100。
これだ!治癒魔法3を覚えて治癒魔法・小を使えば、怪我も治って、痛みも治まるんじゃあ?
いや待て。この怪我が、生命力量100を超えるような怪我だった場合、一回で治りきらないかもしれない。念のため次も見ておこう。
治癒魔法4。「治癒魔法・小が任意の範囲に使える」必要SP500。
何か微妙。複数人を癒す効果だと思う。なので今は必要ない。
治癒魔法5。「治癒魔法・中(小を15回程度かけて回復できる程度を1度で回復)が使える」必要SP1,000。
これはすごい。治癒魔法5まで覚えられれば、ちょっとやそっとの怪我くらい一発で治りそうだ。SPが1,000あれば覚えられるのか。
今の自分SP量を確認したいと思ったら、視界の右上に「獲得SP残量:700」と表示されているのに気付いた。
残念。治癒魔法5は取れない。それならば治癒魔法3を取って、とにかく痛くてたまらない現状を何とかしよう。そう考えると、また視界に文字が浮かんできた。
「治癒魔法3を取得しますか?」との問いかけ文の下に、「はい」「いいえ」の選択肢。
「はい」だ、と心の中で返事をすると、「治癒魔法3の取得で間違いないですか?」との問いかけ文の下に、また「はい」「いいえ」の選択肢。
丁寧な確認に感心しつつも、今は少しイラっとしてしまう。
それでも、再度「はい」と心の中で選択すると、「獲得SPを100消費し、治癒魔法1、治癒魔法2、治癒魔法3を取得しました」との表示に変わった。
よし。これでもう痛い思いをせずに済む。
スキルを取得したおかげか、その使い方は不思議と理解できているので、早速心の中で「自分に治癒魔法・小」と唱える。
少し待っても何も起きない。左腕と背中が痛いままだ。
どうして何も起きないんだ?と思った時、視界に浮かんでいる文字に気が付いた。
「魔力量が足りません」
はぁっ?・・・・・何だと?!
魔力量が足りないって、今俺の魔力量総量はいくらだ?
そう考えた時、今度は視界の左上に浮かんでいる文字に気づいた。
生命力量20/50。その下に魔力量3/3。
これを見た途端、理解してしまった。教えられなくても理解できてしまうのである。
俺は生命力量総量50のうち、30を失う大怪我をしていて、魔力量総量はもとより3しかない。
治癒魔法・小を発動するのに必要な魔力量が10であることも自然と理解できている。
つまり、SPを100も使って獲得した治癒魔法3のスキルなのに、俺の魔力量総量が少なすぎて使えないのだ。
それが分かった途端に、痛みが激しさを増した(ように感じた)。
さっき、もう一つ候補があったはず。
再度、「回復のスキル」と念じると、「回復」のスキル一覧の最初にある「生命力量回復速度向上」が目に入る。
いや、元々視界の中に浮かんでいる文字なのだから、目に入ると言うのはおかしいのだが、とにかく「生命力量回復速度向上を詳しく」と念じると、詳しい説明が表示された。
その中で、先程手持ちのSP700のうち100を使ってしまったので、残った600で取れるスキルを探すと、生命力量回復速度向上4、「生命力回復速度が50倍早くなる。」必要SP500とあった。
このスキルを取るんだ、と思ったら、また確認メッセージが浮かんできて、2回とも心の中で「はい」を選んだ。
「獲得SPを500消費し、生命力量回復速度向上1、生命力量回復速度向上2、生命力量回復速度向上3、生命力量回復速度向上4を取得しました」と視界に表示された。
と同時に、ほんのわずかではあるが、痛みが和らいだような気がした。
初めての投稿なのもあるのですが、この実質的な第1話を投稿しないと主人公が出てこないので2つ目。




