↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/80

上級神1

 初めまして。私はこの宇宙の管理者です。神と名乗った方がわかりやすいでしょうか。

 神と言っても色々ありまして、一つの恒星系を管理する下級神(係長)や、それら恒星系の集まりである銀河を管理する中級神(課長)、そして私のように宇宙全体を管理する上級神(部長)です。

 私の上(上司)にも複数の宇宙を統括する超上級神(役員)や、全てを生み出す最高神(ボス)もおられます。が、上級神(部長職)である私もそこそこ偉い神だと思ってくださって結構です。

「・・・・・」

 そうですよね。状況がさっぱりわかりませんよね。

 実は、あなたは他の宇宙のとある星で生活していたのですが、残念ながら亡くなってしまいました。

 そこで、この宇宙のとある星で新たな人生を送っていただこうと思っているのですが、それに際し、特殊な力を授けておこうと、ここに来てもらいました。

 もう、既にあなたの前世の記憶は消していますので何も思い出せないでしょうが、前世を過ごした他の宇宙の恒星系を管理する下級神(係長)のミスにより、あなたの前世は、他の同種の生物に設定されるはずだった身体的なハンディキャップを持ってスタートしてしまったのです。

 しかしながら、あなたは異性間の交尾により子をなす種族であり、あなたを産んだ双方の親の努力によって、特にあなたを実際に出産した親の献身的な育児により、もちろんあなた自身の努力もあったのですが、ハンディを乗り越えて立派に成長し、そればかりか多くの同種族を助けるなど、立派な前世を送っていたのです。

 その下級神(係長)も、その星に暮らす生物の実際の生活には干渉できない、と言うか干渉してはいけないのですが、お詫びの意味もあって、あなたに悪い運勢が近付かないように間接的に手助けしていました。

 が、少し目を離した隙に、悪行により魂を浄化するしかなかった他のものとあなたが接触してしまい、あなたは、まだまだ余命が残っていたにも係わらず、巻き込まれて命を落とすことになってしまいました。本当に申し訳ありませんでした。

 本来であれば、生を終えた魂は、自分が存在していた宇宙の中で新たな生を再開することとなっています。これは、最高神(ボス)が各宇宙を生み出す際に与えられた魂の量を減らさないようにと定めたためなのです。

 各宇宙において、そこを管理する神々の管理がうまくいっていれば、また新たな生を謳歌したいと死した魂が再生を望み、魂の量は減らないものなのです。でも、逆にうまく管理できていないと、死した魂が再生を拒み消滅することにより、その宇宙の魂の量が減ってしまうのです。

 もちろん補充はなく、魂の量が減れば神々への信仰も弱まり、その宇宙の神々の力も弱まります。そして、あまりに力の弱まった神は他の魂総量の少ない宇宙への左遷ならまだましで、降格処分とされることもあるんです。

 実は、あなたの前々生は善行に満ちており、本来であれば何の苦労もない満ち足りた前世を肉体の寿命まで送れるはずだったのですが、これもかの下級神(係長)のミスにより、先程言ったハンディを背負った人生となっていたのです。

 ミスが重なったことで、しなくてよい苦労が多かった上に、若くして死んでしまったことにより、記憶を消す前のあなたの魂は大変疲弊し、再生するかどうか悩んでいましたので、こちらの宇宙で死した魂と交換して、今度こそ幸福に満ちた人生を送る、そのために一つだけ特殊な能力を授ける、ということで折り合いが付き、記憶を消してこちらの宇宙に送られ、今、私の前にいる、ということです。

「・・・・」

 間接的な手助けの方法、ですか。

 これにはいくらか方法があります。

 私たちが直接その星の事象、所謂下界に手を出すことは禁じられています。そこで、例えば信仰心の強い種族ですと、我々を信仰するための組織を持っていますので、その頂点やそれに近しいものに啓示、つまり神のお告げという形で、私達がその時々でなすべきことを助言したりします。

 あなたの場合は信仰心が強くない、というかほとんどなかったので、繰り返し夢の中でお告げを繰り返して、無意識にあなたが危険を避けるようにしたと聞いています。このように、時間や手間暇をかける方法もあるんです。

「・・・・・・・・・」

 どんな特殊な能力を、ですか。

 あなたには、魔獣等(ら)を倒した際に手に入れることのできるスキルポイント、略して「SP」と言いますが、これを他のものより多く獲得できるようにしようと考えています。

 あなたが新たに転生する予定の星では、生きていくうえで必要な、又は役に立つ様々なスキルがあります。その星で、あなたは人族という種族として生まれますが、その星では人族に限って、自分の獲得したSPを自分が能力を伸ばしたいスキルに割り振って、そのスキルのSP総量を増やすことによりスキルのレベルを上げ、自分の望む方向に自分を高めていくことが可能です。

 もちろん、勉強したり、練習したり、訓練したりすることで、ほんの僅かですが、そのスキルのSPを増やし、そのスキルの能力を上げることも可能です。でも、この方法では、スキルの能力レベルを1段階上げるだけでも長い、長~~~~い時間がかかるのが普通です。

 ですが、魔獣や魔物等他のものと戦って相手を倒すことにより得られるSP量は、それより明らかに多いのです。

 人族に比べて知能が低く、考えるよりも本能的に行動することの多い魔獣等(ら)は、その種族固有の能力が伸びる方向に、獲得したSPが自動的に割り振られていくのですが、人族に関しては先程も言いましたように、自分で選んだスキルにSPを割り振ることができるのです。

 ですから、獲得SP量が多くなることは、再生先での生活において非常に有利になると思うのですが、いかがでしょうか。

「・・・・・・・・・」

 魔獣等と戦わない平和な生活ですか。

 もちろん、戦いを避けて生活することも可能です。

 しかし、転生先の星では食べ物のうち、肉類は魔獣等を倒すことでしか得られません。

 倒さずとも採取することで得られる植物というものの中には食べられるものもありますので、それを採取したり育てたりして手に入れることもできますが、人族の多くは肉類を好みます。

 そして強い魔獣ほど、そのお肉は美味しいらしいので、より強い魔獣を倒せば美味しいお肉を食べられますし、それを売ることで貨幣というものを多く稼ぎ、それで得た貨幣との交換により自分の好きなものを手に入れることもできるようになり、より豊かな生活を送ることが可能となります。

 ですから、魔獣等と戦わない生活は、あまりお勧めしません。

 SPを多く獲得して強くなり、より強い魔獣を倒し、それによってさらに多くのSPを獲得してもっともっと強くなり、もっと強い魔獣を倒し、生活も豊かになり美味しい物も食べられて、といった好循環こそ理想だと思いますがいかがですか。そんなすばらしい新生活にしたくありませんか。

「・・・」

 どうやらその気になってきましたね。

「・・・・・・・・・・・・・」

 いや、普段は私がこのような実務をやることは、まずありませんよ。

 転生特典の付与は、ある意味、転生先の世界で飛び抜けた能力を持つものを生み出すわけですから、さすがに天使(ヒラ職員)には任せられませんので、神が行うよう規定されています。

 本来であれば、あなたが転生予定の恒星系を管理する下級神(係長)が行うのが常なのですが、その下級神(係長)が現在バカンスのための長期休暇で不在なのです。

 こういった場合、普通はその上司である中級神(課長)が代理を務めるのですが、生憎急な出張が入ってしまってたまたま不在なのです。

 なので、その上司である私が、すごく久し振りではありますが、実務を行うこととなったのです。

「・・・・・」

 そんなに不安がらなくても大丈夫ですよ。

 私もこれまでに、天使(ヒラ職員)として50億年ほど下働きをこなし、その後下級神(係長)としても30億年、中級神(課長)としても20億年ほど実務にも携わっていましたので、経験は豊富な方だと思いますよ。

 「年」って解りますか?これは時間の長さの単位です。

「・・」

 ああ、何となく解るんですね・・。

 まあ、あなたも、宇宙は違っても、同じ時間のスケールで前世を生きていましたからね。

 60分で1時間。24時間で1日。360日から370日で1年。これは、どの宇宙の、どの銀河のどの恒星系に行ってもほぼ同じです。

 昔は同じ宇宙の中でも、星によって時間の進み方は異なっていたのですが、各管理者の集まる会議等において、様々な不都合があったらしいのです。

 同じ宇宙内での中級神(課長)の集まる会とか、異なる宇宙間での上級神(部長)の会とか色々結構ありまして、内容も、某神の管理する宇宙の発展が著しいから、その管理方法を学ぶ研修会であるとか、某神の管理する星の生物はお互いに殺し合って数が激減しているのに未だ憎み合うことしか出来ていないため、再生の余地なしとして一度全生物を滅ぼすかどうかの審判の会とか、結構私達も忙しい思いをしているのです。

 で、そのような会において時間のスケールが異なっていると、〇〇をするのに××万年かかったとか、△△億年かけても□□がまだ出来ないとかの話をしたときに、相手の言っている時間のスケールを調べて、自分の時間のスケールに計算し直さなければ、凄いものか大したことのないものかの判断がつかないんです。

 それだけならまだしも、聴いている相手を慮って、相手の時間のスケールに計算し直して話をしたけど、それを相手に伝えるのを忘れたとか、ちゃんと伝えられたにもかかわらず、聴いた方がさらに自分の時間のスケールに計算し直したとかで、いろいろ大問題が発生したことがあったらしくて、時間は全宇宙共通にしましょうとなったそうですよ。

 そこで生物が生きるための星にする場合の時間の基準として採用されたのが、生物のためとして最高神(ボス)が一番最初に作った星の時間です。

 生物のいる惑星が自転で一周するのが1日、それに要するのが24時間として、その惑星が属する恒星の周囲を一周するのが1年、それに要するのが360日から370日となるよう、惑星の大きさや自転・公転の速さが決められ、調整されているんですよ。

 話が逸れましたが、何が言いたいかというと、あなたが何となく感じている以上に、私は実務の経験を積んでいるということです。

 それに、上級神(部長)になってからも、まだ1億年ほどしか経っていない成り立てですから、実務も忘れてはいません。

 ・・・・・多分・・。

「・・・」

 いや、冗談ですよ!冗談ですって。

 やり方は完璧に憶えてますよ。失敗なんてしませんよ。ハッハッハ。

 ゴホン。それでは転生先の星へお送りしましょう。よろしいですか。

「・・」

 では、あなたに「獲得SP100倍」を付与します。

 ・・・・・・・・・・・・・

 完了しました。

 もうお会いすることは無いと思いますが、時々様子は見させていただきます。

 それでは、再生後の新たな生活をお楽しみください。

「・・・・ ・・ ・ ・  ・   」


 行きましたか・・・


 申し訳ありません。あなたにお伝えしていないことがあります。

 これから向かう星は、これから大変なことになるでしょう。しかし、あなたがそれに自ら突っ込んで行かない限りは、あなたに大きな影響は無いはず・・・。

 まあ、突っ込んで行ったとしても、お渡しした能力があれば簡単に乗り越えられるでしょう。

 その場合は、周りの同種族から畏怖の念を抱かれるかもしれませんので、「周りの同種族から好かれる」という能力も付与しておきました。

 転生先を担当する下級神(係長)が、少し前に起こったことを気にしてましたので、同じことが起こらないための予防策です。安心して転生先での生活を満喫してください。

 それでは・・・・。

 初めて投稿します。

 数年前から、仕事が終わった後に少しずつ少しずつ、自分が読みたいと思うものを書いていたものです。

 すぐにストックが尽きて、投稿間隔が長くなると思いますが、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。