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ファルーサ・カイデン4-3

 先程の角ウサギと同様に、俺がいることに驚いたのか、ビクッとして動きが止まった。

 俺は、丁度試そうとしていた土の槍を、その角ウサギの真下から真上に向けて放った。

 土の槍は、角ウサギの顎下から脳天を突き抜け、今回は2M(メタ)を超えるほどの長さまで伸び、太さに至っては、地面と接する根本は直径500M(ミリ)M(メタ)程には太くなっていた。角ウサギの頭があったであろう、地上から300M(ミリ)M(メタ)あたりでも結構な太さとなっており、土の槍に貫かれた角ウサギの頭部は何も残らず即死したようだ。

 これは、もの凄い攻撃を手に入れたのではないだろうか。相手が動いていない時しか使えないというのが難点ではあるが。

 先程と同様に、穴を作って角ウサギを埋めながら、そう考えていたのだが。

 いや、待てよ。

 全ての魔法の効果を高めることが出来るのなら、当然「重力魔法3」の効果も上がるはず。

 地面から50M(ミリ)M(メタ)程度しか浮かび上がらなかったが、今、森の中のどのあたりにいるかが、蜘蛛と蜂から逃げ回って分からなくなっていたため、近くの城壁がどの方向に見えるか調べなければならないと思っていたので、丁度良い。

 そう思って、高く浮かび上がるイメージを持って「重力魔法3」を使った。

 結果、浮かんだのはこれまでと同様に50M(ミリ)M(メタ)程度だった。

 えっ? 何で? 「魔力」を上げても「重力魔法」の効果には影響が無いの?

 いやいや。待て待て。根拠があるわけではないが、「魔力」を上げれば魔法の効果が上がるというのは間違いないと思う。

 ならば魔法の使い方が悪かったのか?

 さっきは、どう魔法を使おうとした?

 「重力魔法3」の効果の説明どおり、俺の身体を宙に浮かせようとした。説明どおりなので、これも間違っているとは思えない。

 ただ、「重力魔法」において、「浮く」とはどういう現象なんだ?

 意識を集中し、「重力魔法」のレベル毎の効果の一覧を、視界に表示させる。

 すると、レベル7の効果が「自身に対し、任意の複数の方向から重力を作用させることができる」となっていた。

 なるほど!解った!

 普通、この星の上にあるものは、俺を含めて、全てこの星の重力の影響を受け、この星の地面から離れられない。飛行能力があるものにしても、その能力を駆使している間だけ飛べるのであって、永遠に飛び続けられる訳ではない。

 しかし「重力魔法7」までレベルを上げると、この星の重力以外の、つまり下(地面)向き以外の重力を作用させることができる訳だ。

 と言うことは、「重力魔法6」までは、この星の下向きの重力を利用しなければならないということになる。

 では「重力魔法4」の「浮かび上がる」とはどういうことか?文字通り「浮かぶ」のではなく、この星の重力に「反発」することではないのか?

 試しに、この星の重力の地面に引き付けようとする力に対して、強く反発することをイメージして「重力魔法3」を使ってみた。

 一瞬で、この辺りの森の木々より高い場所にいた。と言うことは、10M(メタ)ほどの高さにはなっているだろうか。

 下を見ると、地面がずいぶん遠くに感じられた。

 この高さから落ちたら、痛いじゃ済まないぞ。そう考えた瞬間、とにかく魔法の維持に努めた。

 しばらくその高さに浮いていると、次第に冷静になってきて、重力魔法の使い方が分かったような気がしてきた。

 「重力魔法2」の、本来の攻撃魔法としての「重力魔法弱」も、敵を上から押さえつけるのではなく、下に引き付ける要領で使うのだろう。

 そんなことを考えながら、城壁までの一番近い方向を確認した後、魔法を徐々に弱めて、ゆっくりと地面に降りて行った。

 今日は少し時間を使いすぎたか。急いで帰らないとまずいかもしれない。

 そう思って、全速力でまずは城壁を目指す。次は城壁沿いに穴を目指す。

 あまり疲れないのをいいことに、ほぼ全速力で走り続けたら、結構早く城壁の穴に辿り着いた。

 這って穴を抜けながら、時間的に余裕ができたので、また余計なことを考えてしまう。

 この穴を放置していたら、小型の魔獣等が外から街に入って来て、いつか大変なことになるんじゃないか?

 今の俺なら、この城壁位なら跳んで(浮かんで)超えられるんだから、この穴は塞いでおいた方が良いのではないか?

 「土魔法3」で城壁のコンクリートが何でできているのかを調べてみると、砂利や砂と石膏、石灰等、この辺りの地面からでも抽出しようと思えば、物によって多寡はあるが抽出できる物ばかりである。

 そう言えば以前に本で、コンクリートはそのような材料を水と共に混ぜ合わせ、乾燥させたものだと読んだことがある。

 子ども用の図鑑の粗々な説明だが、後は水魔法があれば俺でも何とか出来そうな気がしてきた。

 水魔法か。

 「攻撃」のスキルの一覧を見た時に、最初に惹かれたのは「火魔法」だった。何だか強そうだし。

 しかし、俺が行くのは殆どが森の中。そんなところで火魔法を使えば、大きな火事になるかもしれない。そう思って「火魔法」は取らなかった。

 でも、高レベルの水魔法があって、少々の火事なら自分で鎮火できるのであればどうだ。

 よし。今日獲得したSPが、角ウサギ2匹分の600残っているし、水魔法を取ってみよう。

 「水魔法1」「水について理解できる」、「水魔法2」「水の温度を下げる方法を理解できる」、「水魔法3」「魔法で水を生み出せる」、「水魔法4」「生み出した水を任意の場所に飛ばすことができる」を取った。

 これで喉が渇いた時に「水魔法3」で水を生み出して飲むことができるし、「水魔法4」で攻撃もできるようになった。

 ここで最初の目的を思い出す。

 「水魔法3」と「土魔法4」でコンクリートを作って、城壁の穴をふさいでやろう。

 出来なかった。

 「水魔法」と「土魔法」を併せて使うには「合成魔法」が必要なのである。

 そして残ったSP100では、「合成魔法3」しか取れない。「レベル3までの複数の魔法を合成して使える」のだが、今回「土魔法」はレベル4が必要。つまり「合成魔法」もレベル4、SPが500必要なのである。

 甘かった。

 まあ良い。今まで穴が放置されて何事も起きていないのだから、今すぐ俺がどうこうしなくても大丈夫だろう。

 明日にでも稼いだSPで「合成魔法4」を取ればいい。

 それよりも、家に帰って、ゆっくりと「水魔法」での攻撃の仕方を考えよう。

 あれ?そういえば、明日はセリスお母様が休みの日だったっけ?森に行けるかな?美味しいものを食べに行くのも捨てがたいんだよなぁ。

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